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RPS法の解釈見解に疑問
経済産業省見解と異なる見解を示す電力業界

『RPS法の適正運用を阻む大手電力各社』 2006.06発表

大手電力各社は、株主総会及びHPで、RPS法上の新エネルギー相当量には、環境価値と電気そのものに分かれ、環境価値には京都議定書の温暖化効果ガスのCO2排出権も含まれると方針発表し、大手電力各社は、自然エネルギー利用発電所等からの電力買い取りについて、RPS法の違法解釈により、自然エネルギー利用発電所からの電力買い取りを抑制する方針を打ち出した。

 事の起こりは、平成15年4月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」により、電気事業者(電力会社、特定規模電気事業者及び特定電気事業者)に対して、電気の供給量に応じて、一定割合の新エネルギー等電気を利用することを義務づけて、新エネルギー等の更なる普及を図ることを目的として施行されたわけですが、RPS法の運用に関する留意事項により、大手電力会社と個人太陽光発電所等の売電契約が一方的に電力会社により破棄され、RPS法の留意事項の中にある自然エネルギー利用等の発電所からの電気は、電気そのもの(発電単価)と環境価値に分けられ、両方を合わせたものでなければ電力会社は電力の買い取りをしないとして、四国電力は、一部の太陽光発電所からの電気は引き取るが、売電した電気料金の支払を拒否している。今回、四国電力が、関係各機関に報告しているとされる内容を確認して驚いた。「電気料金を振り込む、振込先が特定できないので振り込むことができない」と報告していた。しかし、太陽光発電所に聞くと「電気使用料金は口座から引き落とされているが、売電料金は振り込まれていない」とのこと。RPS法の設備認定申請を電力会社が代行申請し、太陽光発電設備にかかわる全ての権利を電力会社が管理することに反対する、設備認定代行を拒否した太陽光発電所に対して、売電料金の支払を拒否している。

商法に照らし合わせると、違法行為であり、電気事業法の職権乱用にあたると思われる。公正取引委員会は、これらの行為に対して沈黙をしているが、今回の大手電力会社各社の判断、CO2排出権がRPS法の環境価値に含まれるとする見解は、経済産業省の判断「新エネルギー等相当量の環境価値と京都議定書のCO2排出権とは別物とする」見解とは、真っ向から対立する見解である。

 2006年6月27日と28日の両日、関係各機関の訪問と東京電力株主総会に出席する機会があり、疑問点をそれぞれ、ぶつけることができればと思い、国会議員に対してのロビー活動と、関係各機関に対する活動を行いました。

今回は、与党の衆参国会議員2名、野党参議院議員1名の三カ所事務所を訪問いたしました。突然の訪問にもかかわらず多忙な職務時間を私どもの為に割いていただき、与野党の国会議員2名と直接意見交換を行い、また、与党議員1名には直接お会いすることはできませんでしたが、秘書の方に、私どもの意見を託すことができました。経済産業省RPS対策室の訪問では、私の処理事項の指導と、自然エネルギー発電等の見解「新エネルギー等電気相当量の環境価値と京都議定書で言うCO2排出権は別物である」の認識確認を確認しあうことができました。また、環境省を訪れ、環境省地球環境局地球温暖化対策課を訪問いたしましたが、多忙とのことで、名刺交換のみになりました。同課の歴代担当者と会うのはこれで3回目になるが、新任者は、着任間もない為、私どもは認識されておらず、残念なことである。環境省は、企業、NGOやNPOは好むが、民間ボランテァ団体はあまりお気に召さないようである。

2006年6月28日の東京電力株主総会出席にあたり、国会議員との意見交換を行い、その中での意見を株主総会会場で質問する予定でいたが、質問時間内に挙手をするも、東京電力株主総会議長(会長)は、進退の危険を察知したのか、挙手をしている私と、幾度となく私と目線は合わせるが、質問者として私を指名することはなかった。(国会議員との情報交換内容が漏れた?)

今回は、株主総会会場の雰囲気を一変する質問を、用意していたのに残念。

今回の株主総会では、RPS法上での自然エネルギー利用発電等に対しての解釈が電力会社と経済産業省の資源エネルギー庁とは違うことがハッキリした。

 各電力会社の言う「RPS法上の環境価値にCO2排出権が含まれるとする意見」私どもと、新エネルギー対策課の意見「環境価値とCO2排出権は別物」が対立する形となった。環境価値にCO2排出権が含まれるとする電力各社(電事連)の見解、先に独占禁止法違反として、公正取引委員会により「注意」を受けているにもかかわらず、全ての権利を奪おうとする電力各社行為は、RPS法の悪用に拍車をかけ、RPS法の代行申請を電力会社に代行させた者だけが自然エネルギー発電等で発電した電力を大手電力会社が一定条件で、買い取ることができ、代行申請者だけが、大手電力会社の許可を得て自然エネルギー等の環境価値を利用できるとした見解は、独占禁止法に違反する行為である。

大手電力各社の強硬姿勢に疑問

 東京電力株主総会に出席し、多くの意見が発せられる中、気になった意見が多数あったが、電力会社の経営姿勢に対する意見は、反原発グループの株主の意見のみで、何が何でも、株主総会の会場内で経営姿勢に対する質問は受け入れないようにする姿勢が見え、企業関連グループと思われる方々の意見を優先して質問を受け、時間経過とともに採決を要望するヤジに従い採決となった。

 私も、質問事項を2点ほど用意して挙手をしていたが、指名されることはなかった。今回の質問に際して、経済産業省、国会議員と意見交換を前日に行った上での質問事項だったので、心残りの株主総会となってしまった。

(次回も出席し、質問受付時には挙手をする予定です)

このような強硬姿勢に電力各社が姿勢変更したのには、株主総会では触れることのなかった部分、電気事業法の改正が予定されているのではないかと推測される。原油高騰により発電単価の上昇を受けて、大手電力会社が電気料金の値上げを燃料費の高騰に合わせてスライドできるようにすることで、原子力発電の必要性をうたい、原子力推進の妨げになりうる自然エネルギー発電等の抑制を行う為に、RPS法の法改正や、電気事業法の改正を提案すると予測される。

特に、普及の著しい太陽光発電については、法的の位置付けが無い家庭用は、RPS法の違法解釈で、全て大手電力会社に権利を譲渡し、権利を大手電力会社に譲渡した住宅用太陽光発電所からでないと、発電した電力の余剰電力の買い取りを拒否し、RPS法の代行申請を拒否した太陽光発電所等に対しては、系統連系の仕組み上、電力は受け入れるが買い取りは拒否する姿勢に方向を変換した。このことにより、独占禁止法の適用を逃れる為に、NPOを利用し、全ての権利を取得するかわりに、一般家庭で太陽光発電を導入して、自家消費する電気の部分を証書化し、第三者に売ることができると認めている。環境価値のある電気を自分で発電し、自分で消費した環境価値分を他人に売りつけて良いとする電力会社の見解は、本末転倒の考えである。

 私たち、太陽光発電設置者は、環境に優しい電力を発電し、環境に優しい電気を使うことで、地球温暖化防止を願って、太陽光発電の普及に努めてまいりました。自分たちが率先し、環境に優しい太陽光エネルギーを利用し、発電して自分が使い、余った分を大手電力会社に買い取りをさせ、安定した新エネルギーの普及を目指すのがRPS法の目的であったのに、「自分が消費した分を他人に売りつけて良し」とする電力会社の姿勢は疑念を拭うことはできない。

RPS法での環境価値と京都議定書の温室効果ガス排出権(CO2排出権) 

 RPS法は、新エネルギーの利用促進を図る為に、大手電力会社に一定量の新エネルギーの利用を義務づけた法律であるはずが、いつのまにか、大手電力会社により、RPS法の設備認定を代行申請させ、新エネルギー発電における権利を譲渡しないと「新エネルギー利用発電により発電した電気の買い取りを拒否したり、新エネルギー利用発電所からの電気の供給は系統連系上、受け取るが、権利を譲渡しないと売電料金の支払を拒否している」このように、新エネルギー利用促進の阻害に利用されている。また、権利を譲渡した太陽光発電所に対しては、独占禁止法違反を逃れる為に、自らが発電し、消費した電力分は、他の人にその権利を証書化して販売できるなどとしている。

RPS法の中にある、地球環境に優しいエネルギーの利用を促進するのではなく、発電方法に関係なく、電気エネルギーの消費拡大に利用している。

 RPS法では、発電方法により、新エネルギーとして認めており、新エネルギー発電により発電された電気には、発電方法により「環境価値」があるとしている。当然、大手電力会社が、地球温暖化効果ガスを発生しない発電方法だとして傷だらけの原子力発電所で、発電した電気や火力発電所で発電された電気には「環境価値」は認められていない。

今回、東京電力の株主総会に出席して驚いた、「新エネルギー利用発電で発電された電気には、京都議定書の温室効果ガス排出権のCO2排出権が含まれる」と議長が説明していた。RPS法により発電方法から定められた「環境価値」と、京都議定書の地球温暖化効果ガスの内の、CO2排出権(主に燃焼現象時に発生する燃焼ガスに含まれる)がRPS法の発電方法からの「環境価値」に含まれると、堂々と説明したのです。一流企業のトップが誤認発言する情けなさ。

世界的に見ても、京都議定書でのCO2排出権が、日本のRPS法の「環境価値」に含まれると発言する東京電力の経営陣の発言は、株主として恥ずかしい。

京都議定書は、国際条約で決定された事項で、国際条約を補完する為に、各国に適合する国内法が整備されるのが本筋と解釈するが、国内法が国際条約を補完するとの発言「RPS法の環境価値にCO2排出権が含まれる」を行った東京電力株式会社第82回定時株主総会での経営陣の判断は、これからの国際社会に対する対応能力の低下を示し、国内地域独占企業を目指している。

浅川太陽光発電所 所長 浅川 初男
RPS法 電気事業者   浅川 初男
2006.07.09


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