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メガソーラー建設報告 P3

大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」
(大規模太陽光発電の普及・コスト低減の実現に向けて)

が、2006年9月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から北杜市とNTTファシリティーズに委託され、山梨県北杜市長坂町に誘致されました。


研究概要

 先進的太陽電池を中心に様々な種別の太陽電池モジュールにより、大規模太陽光発電システムを構築し、運用評価を行うとともに、系統安定化制御が可能な大型太陽光パワーコンディショナーの開発等により、将来の大規模太陽光発電技術の普及・コスト低減に寄与する技術開発、実証を行ないます。

 なお、設置する太陽光発電システムの規模は2MW程度を予定しております。

と研究概要が2006年9月発表になり、2007年8月より工事が始まりました。

これにともない、メガソーラー発電所建設への進捗状況を私どものホームページで皆様に紹介して、メガソーラー発電への理解を深めていただき、完成時にはぜひとも訪れて一度は体験していただきたいと思っております。

現在のメガソーラー建設状況はと申しますと、当初写真のように荒れていた農地は、地目転換され造成工事なされ2007年12月には造成工事がほぼ完了。





(写真 1102・1101・1871・1848)

太陽電池の設置工事へと移りつつ、それにともない配電工事が始まっています。





(写真 1869・1872・1874・1867)

現在最も大量生産が可能なアモルファス太陽電池の一部は、既に設置が完了して3タイプの角度設定で取付けられ、性能対照比較の為に単結晶の太陽電池が設置されているのが周りから見てもわかるようになりました。



(写真 1866・1865)

1865の写真で説明すると設置角度40°付近で設置してあるのが単結晶太陽電池で、後ろ3列がアモルファス太陽電池です。

特長としては光の長は波長を捉えやすいように、見る角度にもよりますが、赤みがかったように見えるのが特長です。

これに対して、黒みがかったように見えるのが単結晶太陽電池の特長です。

さらに、青みがかったように見えたり、キラキラ反射するのは多結晶太陽電池や積層太陽電池の特長と言えるでしょう。

この他にも、赤みがかった色素太陽電池や黒みがかったCIS太陽電池やCIGS太陽電池、その他積層太陽電池等があり、いろいろな色を楽しめそうです。

と書き上げ、今年最後の現場をのぞくと上記の説明のように太陽電池が並べられていたので驚いた。





(写真 1887・1889・1890・1892)

写真からすると、一番手前が積層太陽電池、真ん中が単結晶太陽電池、後ろ側の黒いのがCIS太陽電池と思われるが、取付け現場には立ち入ることができないので遠目からの判断になり正確ではありませんが参考にはなると思います。

積層太陽電池写真1889?単結晶太陽電池1890?CIS太陽電池1892?

(間違っていたならば笑って許してください)

これで日本国内の特長ある大手の太陽電池が揃ったことになります。

後は新作の到着を待つ残りの広い敷地を紹介することにいたします。




(写真 1893・1895・1896) 

私ども発電所でも、規模は小さいが、単結晶や多結晶の太陽電池が大小沢山あります。




(写真 1820・1877・1886)

最も大きいものでは、畳み一畳ほどのものがありますが、メガソーラーでも大きな太陽電池がありました。



(写真 1869・1874)

12月最後の現場訪問では、写真のように太陽電池の取付け工事が着々と進められ、中央高速からもその実態が確認できるようになりました。





(写真 1888・1891・1893・1894)

脇見運転をなさらぬようお願い致します。

現時点ではメガソーラーを建設している場所への取り付け道路は完成されておりませんので、一般の方が見学できるようになるのは施設完成後になります。


研究課題

大規模集約型のメガソーラーのように大規模に太陽電池を設置した場合、造成工事が必要になりますが、私どもの農業との共生型設置方法だと、造成工事は必要になりません。中山間地域の特長を活かした急傾斜の圃場には法面が必ずあり、ほとんどが南を向いているため、太陽電池を設置する絶好のポイントになり、法面に太陽電池を設置しても、法面自体や法面に囲まれた耕作地や作物には影響を与えないで、写真のように設置することができます。





(写真 801・799・1879・1880)

太陽光発電を他の産業と組み合わせて、有効資源として活用できる方向が見えてきたので、今回、メガソーラーの可能性について調査をしていたところ「総合エネルギー調査会新エネルギー部会資料 2000年(平成12年1月)」の資料を見て驚いた。

アドレス
http://www.env.go.jp/earth/repo#2724F6
http://www.env.go.jp/earth/report/h15-02/

いずれの資料にも、物理的限界潜在量の欄と実際的潜在量の欄に農地を利用した太陽光発電が記載されてないことが判明致しました。

私たちが始めた『荒廃農地を利用した太陽光発電』は1997年からはじまり、1998年10月21日の読売新聞全国版で紹介されていたのにもかかわらず調査会資料では農地であるがゆえに取り上げられずにいたのです。

農用地等を利用した太陽光発電の可能性が日本では全く考えられていない現状がここにあったのです。世界中で農用地等を利用した太陽光発電施設の建設が進む中で農用地等の利用を考えない消費大国日本の姿がここに存在したのです。

環境先進国等では、放牧地等を利用した大規模太陽光発電所の建設例が紹介されていますが、日本では私たちの施設が1998年新聞に紹介されただけです。私どもが進める農地を利用した太陽光発電施設は、中山間地域の法面に太陽電池を設置し、大規模集約型のメガソーラーから大規模分散型メガソーラーへとの進行することが出来る実証施設なのです。大規模集約型のメガソーラーは環境を変えることで設置コストを削減するように見えますが、環境に与えるストレスは増大致します。私たちが推奨する大規模分散型のメガソーラーは、環境に与えるストレスをも分散し、共有することにより地域全体でカバーするシステムです。地域分散型電源の考えから大規模集約型のメガソーラーの次なる課題は大規模分散型のメガソーラーシステムへの移行になると思われます。

 大規模集約型のメガソーラーの特長としては、発電電力が多いために消費地に近いか、高圧送電線に近いが大きなポイントになります。発生する電力を水の流れに例えると、集約型のメガソーラーでは太陽の上昇とともに一気に電圧が上がります。水で言うと水圧力が上昇します。上昇した圧力をうまく逃がすには大きな池か太い送水管があればストレスは無く水を流すことができます。

この場合の池は消費地(工場等)太い送水管(高圧送電線)になります。

太陽光発電では、気象状況によりいつも一定の光が地表に降りそそいでいるわけではないので、天候により発電量が左右されます。大規模集約型メガソーラーになると、太陽電池が一カ所に集中しているので、天候の影響は一般住宅の太陽電池システムとは比べ物にならないくらいの影響を受けるので、対策として、太陽電池の種類を変えたり、太陽電池の設置角度を変えたりして一つの対策にします。太陽電池の種類を変えることにより発電するピークに変化が生じますので短い時間ではありますが電圧をコントロールするシステムを設置しやすくなり、天候の変動による発電異常を捉えることが可能になります。

大規模集約型のメガソーラーでは、急激に上昇や下降する電圧調整の為に水圧で言うと調整池の代わりに、NAS(ナス)電池やキャパシタ、オイルコンデンサー等を使用し、天候によって生じる電圧の急激な変化を吸収し、緩やかに放電するシステムを取り入れて、天候の急変に備えるのが普通です。

私どもの太陽光発電システムでも、電解コンデンサーを使用して、天候の急変に対応するとともに、トランスを使用し、電圧の急激な変動に対応するシステムにしてあります。急変する電圧に対してどの回路にシステムを取付けるかで性能は格段に違うので、研究課題のポイントとなります。これらのシステムは、大型になればなるほど技術的に壁が発生しますので、今回のメガソーラー発電所では研究の重点項目になってくると思われます。

集約型メガソーラーが環境に与える影響としては、広大な土地を造成し建設するわけですから、一番の問題となるのが雨水の処理になります。

造成地では、いったん雨が降ると雨は一気に表面水となり流れ下ります。

今回の造成中の写真でもおわかりになると思いますが、この雨水の処理のために、写真のように溝が張り巡らされ、降水対策として砂利で埋められた溝が存在するのです





(写真 1797・1798・1807・1808)

今回は、荒廃農地を転用し(農地として利用できないようして)造成をしていますので、元々の水路を利用して洪水対策を取ることができます。また一部山林もありましたが全体面積からすると規模が小さく、野鳥等に与える影響等は最小限になっているようです。現場ではキジや、やまどりを見かけました。

太陽電池設置後は、芝生の種を植え付けると聞いておりますので、多く昆虫が発生し鳥類が太陽電池の下を駆け回ることが予測されます。

野鳥による太陽電池への害は、糞公害と太陽電池自体に対するクチバシ攻撃です。私どもの太陽電池では、太陽電池を保護している裏面のシートが野鳥のクチバシによって突つかれ、剥がされる事例が発生致しました。





(写真 1885・1881・1883・1884)

保護シートの種類によってはこれらの事故も予測されます。

また、昆虫が増えるのと対峙してそれを捉える捕食生物も太陽電池の下に集まってきます。私どもの太陽電池は荒廃農地に設置致しましたので、バッタを狙い蛙が訪れ、それを狙いヘビが訪れ、ネズやモグラ、小鳥たちも訪れます。

特に昆虫を餌とする、モズは太陽電池の周りを冬期は離れず、常に太陽電池の周りを監視しています。太陽電池が太陽の光を電気に変えるのと熱吸収と熱発散を行なうために、つねに周囲の温度が高く冬場でも一部の昆虫が活動できる条件を作り出しているからです。しかし、1月に入ると寒さが増しますので昆虫は姿を消し、暖かくなるまで見ることができませんが、太陽電池の下に植え付けてあるフキは、芽を驚異的なスピードで成長させ、2007年1月下旬にはフキノトウを収穫することができました。太陽電池を設置して5年のあいだ2006年まではフキノトウは収穫することは無かったので、2007年の1月の気温がいかに高かったか後で知ることになりました。これも地球温暖化が急速に進んでいる証拠なのかも知れません。フキノトウを収穫しつつCO2等の地球温暖化効果ガスの排出の無い発電方法を確立しなくてはと2007年早々感じました。

余談になりましたので、元に戻しまして、大規模太陽光発電所が生物から受ける影響は、各配管内に昆虫が進入することと、それを追って大型の生物が進入し、配線等を傷つけ短絡事故が発生することがありますので生物の進入には注意が必要です。私どもの発電設備においても、生物の干物を確認することが多々あり、直流施設においては特に注意が必要であることをおもい知らされます。

今回のメガソーラー研究施設は、このような面においても生物界との共存方法を探る絶好の施設となると思われます。私どの太陽光発電施設の周りで繰り広げられている生物による捕食行動を沢山見ることのできる施設になると思われますので、生物の生態学に興味のある方は、研究テーマとして共同研究を提案してみるのも良いかもしれません。

メガソーラー発電施設は、これからの施設なので多くの研究成果が得られると思いますが、太陽光発電の発電面だけではなく、その他の研究テーマもあることをお知らせして2008年新春の報告と致します。

2008.01.01

▲上に

浅川太陽光発電所 - 八ヶ岳・北杜市大泉 -
copyright 2001-2007・The ASAKAWA soler power station / ASAKAWA Hatsuo

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