| ホーム | ドキュメント | 施設 | 自然とあそぼう | リンク |

勇気ある決断 農業からの撤退と参入

最後の英断 出漁 停止

 私は、1998年から農林水産業の衰退状況を危惧して、私のできる範囲で、関係各機関に救済措置として、自然エネルギーを利用した発電システムを導入できるように農林水産省等を訪問し、要望をしてまいりました。また、それらの経緯を、インターネットを通して、公開してまいりました。農地に関しては、農地法を利用した保護主義を主張して、農業にたずさわる現場を理解せず、利権確保の保護に走る関係各機関の壁が立ちはだかってまいりましたが、その壁は、農林水産業を守るために法律があるとする壁であるが、いかにインチキなものであるかが、今回の原油高騰により明らかになりました。

 国の根幹である農林水産業の育成を目的とした法律を、我田引水のごとく利権だけを獲得する為に、指導監督すべき機関がインチキな方法で、仕組みを運用することだけに経費をそそいだ為に、今回、原油高騰が現場で農林水産業に従事する人々を襲い、コスト削減の領域を超え、生活をも窮地に追い込んだ。

 農業、林業、漁業、と生活に必要な物資を提供して来た現場が、国内から撤退を余儀なくされているのです。国は、農林水産業に多くの国税をつぎ込んでいるが、結果として、今回それらの税金が生産現場ではなく他の使用目的で使われているため、漁業で言うと、休漁と言う手段で訴えることになりました。

 生活に必要物資を生産供給する為に、農林水産業用の予算が正しく使われていないことがご理解いただけたと思います。

 フランスでは漁業関係者に直接支援を実施しても、漁民の怒りはおさまっていません。現在日本政府でも、直接支援の可能性を検討しているとしているが、1次産業での生産現場には、悲壮感が漂っています。政府の直接支援が望めない現政府政策では、中小の農林水産業は壊滅てき打撃を受けるでしょう。

 今回は、漁業が注目されていますが、漁業の次は農業なのです。

 私の近くでは、大規模農業を目指して来た農家が、今年の春、中山間農業から撤退して行きました。米作中心では、農機具の維持経費さえ難しく、その上燃料代の高騰により、お米を収穫しても乾燥に経費がかさみ大型農機具を使っての中山間農業は成り立たなくなったのです。

農業への参入

 しかし、一方では、年金を利用した農業をと、新たに農業に挑戦する方もおられますが、ほとんどが10年間の農業体験をするに留まり、実際の農業に挑戦する方はなく、年金を柱にした10年農業に挑戦かあるいは、趣味の段階にとどめ、荒廃した農地の復興には興味は余り示さないのが現状です。

 大規模農業を目指す方は、中山間地の特性である法面管理に経費が集中するのを避ける為に、平野部への移動が見られ、中山間地域の法面管理に大きな変化が見られるようになって来ています。

 複合経営を実施している農家も例外ではなく、生産経費の高騰による影響を受けて、ブランドが確立している農産物でも価格上昇は免れません。価格が上昇すると需要が冷えてしまうので、高価格の農作物がだぶつき、結果として値崩れを起こし、悪循環へと転がり落ちる危険性があり、腰を据えた救済措置を行なわないと、日本の農林水産業は壊滅的打撃を受けることになります。生産を調整すると海外市場からの仕入れが多くなり、価格競争の部分で国内消費が復活しても、国内産の農林水産物を消費者が選んでくれるとは限りません。国内価格に比べて、海外価格の方がはるかに安いのです。海外産の価格が上昇したとしても、国内産に比べて割安傾向にあり、国内産をと叫んだところで、価格競争でいったん敗れてしまうと生産現場は生産をやめるしか方法がないのです。政府の打つ手は、ただ一つ、食料品に掛けている消費税の内、国内産食料に対しての消費税の廃止を行ない、消費者を保護し、消費の冷え込みを押さえるとともに、農林水産業に対しての燃料を確保し、直接支援することです。国から各自治体に直接交付し各自治体は各規模に応じて、給油券などを発行し、直接生産者に配布するのが望ましく、外郭団体を通すと、既得権益の温床となり、直接支援には、ほど遠いものになります。

 私どもは、早くから農林水産業の衰退を予測し、農林水産業に自然エネルギー利用権を与え、自然エネルギーの利用から農林水産業の育成を図るべきとして、農業分野に於いて、農地での自然エネルギー利用の一端として、太陽光発電を導入し、農地での電気エネルギーの生産を確保すべく、実証研究をしてまいりました。また農業水路等を利用した発電システムの構築や、実現に取り組み、農地での電気エネルギー生産が、中山間地域は言うに及ばず、農業全体で取り組み可能なシステムであり、それらシステムから得られた電気エネルギーを供給することから得られる利益が、荒廃する農地の復興に役立ち、農業経営の安定化を約束するものであることに到達いたしました。

 農林水産業は国の根幹産業で、これを大切に育てなかった国が滅んだことは古代歴史に遺跡となり、ジャングルの中から今私たちに語りかけています。

 日本は、まちがいなく滅亡の道を歩んでいます。農林水産業が国の根幹である政策をとらず、消費社会にどっぷり浸かって、消費が美徳の社会を築き上げ、大量消費社会にいまだ夢を見ている人々、あと数年でこの社会は崩壊します。

 各国が、天然資源の保護に向い、輸出規制を強化し、自国の供給を満たしてから輸出に向かうのが、これからの農産物輸出国戦略となります。

 この戦略がとられた場合、最大の被害者は低所得者層で、高齢者の国民年金受給者を直撃し、大量殺戮を招く結果となります。

 現在の農林水産業政策は、低所得者と農林水産業の現場にたずさわる人々を排除する政策となって、今回の原油高騰から、今まで隠されていた問題が表に現れ、気付いた時には、日本の農林水産業の現場には従事者が、一握り残っているだけです。私どもが、今までに提言してまいりましたことについては

2008.07.16のTBS 18.55〜の食料危機〜日本人が餓える日々〜

 をご覧いただいた方は、おわかりになると思います。

 私は、現在減反政策90%を実施し、農地を保全してまいりましたが、減反政策にしたがい10年以上経過しており、もし、来春から米を作れと言われて復田出来るのは全体の20%位です。なぜかと申しますと、農機具が原油高騰により使用出来ない状況下にあるからです。人力で復田できるのはこの程度です。

 たとえ、農機具を使い復田したとしても、その土地が持っている地力が快復するのには5年以上かかります。一度荒廃した農地は簡単には、元には戻せないことを御理解ください。

 私どもは、5年間は維持できますが、それから先は何とも言えません。

 私は、都市と農村が行き来する農業が本来の姿だと思っております。

 私たちが推奨する「農地での太陽光発電」には、都市と交流する為に太陽光発電を農地に展開し、多くの人々が農業の現場に参加することを望んでいます。

2008.07.16
農業従事者 浅川初男

▲上に

浅川太陽光発電所 - 八ヶ岳・北杜市大泉 -
copyright 2001-2007・The ASAKAWA soler power station / ASAKAWA Hatsuo

ホームページ掲載の写真や原稿には、著作権等があり、無断で使用することは権利の侵害になりますので、営利目的に使用の場合はあらかじめ許可が必要になります。