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*農地における浅川第2、第3、第4、太陽光発電所と農地法

遊休農地と休耕地に1996年から随時展開している浅川各太陽光発電所等に対して、今回、農務部より指導を受けることになりました。

 私が、農地で太陽光発電を行うことについて、農地法、農振法、土地改良法違反では、の指摘がありましたが、私が農地で太陽光発電を行う目的は次のような事からです。

  1. 土地改良後の農地が、耕作者の高齢化にともない、5年以上放置され、荒廃している農地に太陽光発電を導入し、本来の目的である農地として利用できるように復元し、農地の効率的な利用を模索し、耕作者の農業生産力の維持と増進を目的とし、太陽光発電を利用する。

  2. 農地で太陽光発電を行うことにより、優良農地の確保保全、太陽光発電実施しながら農作物の生産活動を同時に行い農地の活用を図りながら、太陽光発電撤収後は、ただちに農作物の生産ができるように土壌改良を行う。

  3. 農地を農地としての生産活動ができ、なお太陽光発電を導入することにより、農産物の生産から得ることのできる収入と、太陽光発電から得られる収入により、農業生産者の生活の安定を目指すものです。

* 農地で太陽光発電を実施し系統連系するには
              発電所としての届が必要です。

 浅川太陽光発電所は、電気事業法第74条第4項、同法第52条第1項により
電気事業法施行規則第77条第2項の規定により一定条件を付して、関東通商産業局により承認された自家用発電設備であり、太陽光発電により、発電を行うことのできる発電所です。
発電設備の最大出力が500キロワット以上になったときは、承認の効力を失います。

住宅用太陽光発電設備は、電気事業法の改定により20キロワットを超えなければ、上記の電気事業法の適用を受けずに住宅や住宅地に設置できるようになっています。
 住宅地に太陽光発電を設置する場合は最大20キロワットまでしかできません。
20キロワットを超える場合は、自家用発電設備の承認が必要です。
私どものように、農地で太陽光発電を行う場合は、住宅地ではないので、自家用発電設備の申請が必要になります。この申請が承認された場合のみ最大総出力が500キロワット以内であれば、あらゆる場所(特別に許可が必要な場合もあります)に太陽電池の展開ができるのです。

 農地では実際に現行法上でどのようにすれば可能か、私の見解をお知らせいたします。

  1. 住宅地で20キロワットを超える太陽電池を設置し、自家用発電設備の承認を受け、自家用発電設備の発電所になることが必要になります。申請をしようとした場合は、現在の電気事業法では太陽電池の展開面積は最低約46坪の広さが必要になります。
    (太陽に照らされる部分が46坪以上の屋根面積を持つ住宅を手に入れることのできる方叉は、46坪以上の宅地を所有しその宅地内に建物を持っておられる方。または、隣接する土地を所有している方。以上の条件となりますので、まれだと考えて良いでしょう)

  2. 電気事業法では宅地での太陽光発電は認められていますが、農地では認めらていません。農業施設に使用する電気を発電する場合は、自家用発電設備の承認があれば可能です。(自家用発電設備の申請出力値は水力、風力、太陽光、バイオ等、でそれぞれが違うので注意)
    自家用発電設備の承認がなくとも、農業施設のみに電気を供給することは可能。
    (ただし、電力会社に発電して余った電気を買取ってもらうことはできません)

  3. 農地に展開する場合は、農業従事者で実際に農業を行っている農家であることが第1条件で、農地の面積が50アール以上なくてはいけません。

  4. 3、のそれら農地で実際に農業生産を行っており、それら意外に太陽電池を展開する農地を手に入れることが必要になり、太陽光発電設備を展開した農地での農業生産活動が求められます。農業生産活動につながらないで、太陽電池だけを設置し、農地を放置している場合は(資材置き場のように移動できるが農業生産が実際に全体で行われない場合)農地法違反です。

  5. 太陽光発電設備を展開した農地の周囲、周辺から太陽光発電設備展開後の農地に対して、管理体制や農作業に対しての苦情発生が無いこと。苦情が発生した場合は農地法違反となります。

最低限これらの条件を満たさないと、農地での太陽光発電は実施できません。
今回、私どもは、山梨県農務部の指導を受けることになりましたが、農地で太陽光発電を行うと、作り出しているのが電気だからと、する考えで農地法違反になるとしている一部見解には理解と納得ができません。

 RPS法では各省庁間(農林水産省、国土交通省、環境省)の領域を超え多くの自然エネルギー発電方法をみとめ、農業施設からのバイオマス発電、風力発電、農業用水路を使用しての小水力発電も農政の運用しだいで可能になっている。
 農業行政関係者の一部の方が心配されている農地転用目的に太陽光発電を悪用するのではないかと心配する関係者がありますが、それらの者には、現状の太陽光発電を農地で行う場合のむずかしさが理解されておりません。
農地転用を目的に太陽光発電を悪利用しようとする者に対しては、現状の法律で十分対応でき、農地を農地として守ることができます。
私どもの展開してる太陽電池の下では、季節ごとに農作物が育っているのです。
何もせずに、ただ、農地に太陽電池を並べているわけではありません。
 太陽光発電を農地で実施しするには、太陽光発電で自家用発電設備の承認許可を必要とします。太陽光発電で自家用発電設備の承認許可を取るためには、太陽電池の総出力20キロワット以上が必要で、現在の太陽電池価格からでは、2000万円以上が必要です。さらに農地に太陽光発電所を設置する費用が必要となります。農地に太陽光発電設備を展開するには、農業従事者で農地面積50アール以上も必要になり、太陽電池を展開した農地において(農地に展開した太陽電池の下でも)農業生産を行い農業に従事し、実際に耕作していなければなりませんので、さらに条件は限定され難しくなると思われます。

 一般農家が農地に太陽電池を設置し、農地で系統連系した場合は農地法違反と電気事業法違反になります。(住宅用太陽光発電のみ宅地と宅地以外の隣接地に条件しだいで展開可能)農地に電灯線を引き込み農業目的意外に使用した場合は農地法違反と電気事業法違反となります。また、現在自宅で太陽光発電を実施している農家であっても、住宅用太陽光発電所では農地に太陽光発電所を設置できません。自家用発電設備の承認が必要です。

以上の事から、現状では一般農家が自分の農地に太陽発電設備を展開し、系統連系(電力会社の配電線と接続する)しようとしても、難しいのが現状です。

*私どもは、荒廃する農地を日々目にする環境に暮らしています。

血税と言われる国税金を大量投入し、農地環境(耕作地)を機械化農業に適した農地に整備を行い農業の発展を期待し、農地改良や区画整理に協力し、農家も農地を提供し自費も支出し国策に協力し農業環境を整え、圃場整備事業に協力した農家の収入や作業環境の向上が期待できるはずでしたが、実際は、圃場整備事業後、農地を有効に活用できなくする国策(市場経済主義を導入せず減反政策等)が取られたために、農地が農地として利用されずに荒廃農地として現在姿を表しています。
その一端を今回、浅川第4太陽光発電所で確認できます。
 私たちのところでは、国策で圃場整備事業として区画整理されました。田んぼに囲まれた畑は、畑地として整備されましたが、圃場整備基準で区画整理されたので、雨が降ると畑の中は水浸しとなり、ほとんどの作物は作ることができない土地となりました。雨が降ると水浸しとなる畑は、耕作意欲を無くし、結果として放置されることとなりました。
私が、今回借りた農地の地目は、畑で以下のような条件の土地です。
圃場整備事業終了後、畑とは使用されず放置してあったままの農地に今回、太陽光発電所を設置し、荒廃農地を耕作地としての復興にチャレンジしました。   

経過報告

圃場整備事業終了後、畑としては余りの悪条件のために農家に見放された農地。
10年以上放置していたために、原野とかして直径10センチ以上の松ノ木が生い茂っていましたが、焼き畑農業を思いだしながら火を放ち、土が顔をのぞかせるまでになりましたが、原野を焼いた後は非常に危険な場所でした。木々のほかに生い茂っていた葦の焼き跡の株はまるで剣山のようにいとも簡単に作業用長靴を突き抜けました。
作業の安全を図るために葦の株等を重機により、掘りおこしの作業を行い、安全を確保した後に農業用トラクターでの開墾作業を行い、整地作業にへと進みました。
整地作業と平行し農地としての適応性を調査したところ、酸性度が高く、しかも、圃場整備事業で田圃として整地後、客土(粘土質の赤土)を行い畑としたため、保水性に優れた土地となり、雨が降れば水が沸き出す畑でした。結果として、作物の耕作には適さない土地でした。草を茂らせ3回ほど火を放ち、石灰も投入しましたが、酸性度が高く多少の土壌改良ではまったくの無駄であることが判明しました。作物を作ることのできる環境にするには数年単位の時間と労力が必要で資金も考えていた以上必要なことが判りました。
当初は、このような農地を土質改良からはじめ、農地に復元する方法を農作物の収益からと考えておりましたが、農産物からの収益が年単位で期待できない為に、太陽光発電を展開しながら太陽光発電所からの収益で農地の復元を模索しながらすすめるしか方法がないことが判りました。このような農作物が育たない圃場整備後の農地が点在しています。
ましてや、耕作者の高齢化が進み、この作物の生育に適さない農地を復元し、もとの農作物が育つ環境を整える力は、高齢者の農地所有者にはありません。では、子供達はと申しますと、農地の復興に支出できる経済的余裕はない。田圃には中山間地事業の補助金があるが畑にはない、放置する方が経済的に良いとまで陰口を言われている。
圃場整備事業を推進していた土地所有者は、お年を召して農業から引退しようとしています。多くの農地は、収益率の高い作物を作ることのできない農地となってしまい、農政からの補助金があるから農地として保全されているのが本音です。
農地は、整備したが、その農地で生産活動が継続的に営まれるような政策が取られず、農地を整備したから農作物を作りなさい。努力して収穫したらば、余ったのでいらない。
このような農業政策(減反政策)のために、多くの農家は、圃場整備の田圃に適した農機具を購入したのですが、作ろうとした物(お米)が作ることができず、会社に勤めて圃場整備後の農機具購入借金を返済するようになりました。また、お米を生産するのに主眼をおき、圃場整備事業を行い米作だけに主眼をおいて圃場整備をしたために、保水面の上昇により圃場は他の作物には適さない土地となってしまい、裏作や他の作物では収入を得るのが難しくなり、このために農業人口の減少、兼業農家が増えることになり、農業人口の高齢化と相まって益々農業離れが進行しました。
このような情況の中で荒廃甚だしい、原野とかした高齢者の所有する休耕地で(遊休農地)を借り受け、農地としての復興に自費で太陽光発電所を展開し農地の復元にチャレンジしております。
このような状況下で農地の復元に太陽光発電を利用する私どもに対して、農政部は指導を勧告してまいりました。
今回は、真摯に受け止め指導に従い対応いたしますが、指導主旨内容は私どもを納得させるまでには至っておりません。私どもの発電所に対応するためでなく、荒廃農地に対して、農政部としての具体的対応策を示し、高齢者が行える農作業で田圃なみの農業収益をあげる方策を示し、農業全体に魅力を示す必要があります。
私どもは、混迷する農業政策の為に荒廃して行く農地を少しでもなくし、農地としての多面的可能性を太陽光発電を通じて示しているのです。

作物を作るだけの今までと同じ道のりを期待しては、これからの状勢に農家が立ち向かうことができません。作物を作るだけの農業から、地域としての育てる農業に変換し、消費者と一体となった地域密着型の消費サイクルを取り入れた農業政策が必要です。
消費者のニーズに合った消費サイクルに農業を組み込み、消費者と農家の双方がお互いを理解できる消費サイクルで農産物を育て、旬を分かち合う農業政策にしていかなければ、農家の進む道はありません。
農産物の国内での生産には、人件費がかさむので、海外で生産し(農産物の種子特許を認めず海外に種子の持ち出しを許し)海外から安く供給し(国内の農家の生産圧迫を招いている)、農産物の品種改良だけ国内で行えば良いなとどする考えではなく、国内にある生産能力を活かした農業政策を行い、地域の特徴を活かした農業の道を作り、また一方では、農家の周りにある自然に目を向けて利用し、農家が新しい農業事業として、自然エネルギー発電(太陽光発電等)を導入し、自然を相手に農家としての農産物の生産と、バイオ自然エネルギーを利用したエネルギー生産等を取り入れ、自然サイクルにマッチした安定した農業経営ができるように、農業政策を広げるべきだと思います。
本気でこれら政策を行うのであれば、私どもは太陽光発電を通じ協力を惜しみません。

今日まで、地球環境に優しい太陽光発電を農地で実践してきた経験を皆様に公開し、今まで考えられていた以上に農地が持っている多面的利用の可能性を証明いたします。

以上

 浅川太陽光発電所
               所長 浅川 初男
                 2003.11.27

▲上に

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