1. 草原の風
      Wind from the steppes
  2. 舟屋の歌
      Funaya
  3. やすらぎの朝
      Peaceful morning
    月の組曲
     Moon suite
  4.  第一章 月の忘れもの
      Something left on the moon
  5.  第二章 月への思ひ
      Longing for the moon
  6.  第三章 月から舞い降りて
      Dancing down the moon
  7.  第四章 大地に浮かぶ月
      Floating moon above the earth
  8. じょんがらジャム
     Jhongara jam
  9. 豊饒の地
      Fertile land
  10. クレオ・ド・メロード
      Cureo de merode
  11. 月の散歩道
      Jalanan ke bulan
    東方への旅立ち
     Journey to the orient
  12.  part1  市場の幻想
      faantasy market
  13.  part2  フエの蟹売娘
      A girl selling crabs
  14.  part3  レバンタール
      Levanter
  15. ラストトレイン
      Last train
    ボーナストラック
  16. 八ヶ岳・星と虹歯科診療所
      Mt.Yatsugatake star and rainbow dental clinic

   全作曲:小馬崎達也
    All Composed by Tatsuya Koumazaki

東方への旅立ち / PMF-001
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東方への旅立ち
イメージイラスト:野路幸恵<のじ ゆきえ>
この絵が出来て三年後にチュジアのサハラ
砂漠に行き、この絵と同じで光景でした。
まるでデジャブでした。

小馬崎達也(acoustic guiter)

Febian Reza Pane(piano.pianica.percussion)

賈 鵬芳(二胡)

紺谷英和 (津軽三味線)

吉口克彰 (琉水鉦.percussion)

水野俊介 (bass)

呂 正博 (sopulano sax)

藤森義昭 (cello)

井上勝六 (myanmar bell)

producer:小馬崎達也
executive producer:井上勝六
タイトル題字:望月明

〜東方への旅立ち〜

 二胡、津軽三味線、ピアノ、ソプラノサックス、ミャンマーベル、バス、ピアニカ。そんな一見、奇異に見える楽器構成で制作された音楽CDが完成した。パンゲア・ミュージック・ファームから発売された”東方への旅立ち”がそれだ。
 パンゲアとは、今から約3億年前に地球に唯一存在した大大陸。人類がまだ存在しなかった時代だが、海も、また当然、国境や言葉もその大陸を分割することはなかった。そのパンゲアのような、文化の境界もジャンルも超越した音楽を作りたい、プロデュース・小馬崎達也氏はそういう。
 しかし、異なる異文化、風土の中で育ってきた人々が一つの共通語を覚えて話せばよいというのではない。このCD制作に携わった出身、国籍も様々なミュージシャン達は、あくまでも自分の楽器で自分の言葉で語っている。小馬崎達也氏自身、表現したいのは日本の心だという。
 かっては、“人種のるつぼ”といわれたニューヨークも、今では“サラダボウル”と形容するのが好まれている。集まった様々な文化が渾然と混ざり合ってしまうのではなく、それぞれが持ち味を活かし輝くモザイク画を構成しようという考え方からだ。“東方への旅立ち”も然り。ちぐはぐに思える楽器の組み合わせも、ミュージシャンが自身の音楽を持ち寄った結果。決して奇をてらっている訳ではない。それぞれが自分の言葉を翻訳するというフィルターを通すことなくつむぎ、その調和からまっすぐに心に染み込んでくる曲が生まれている。
 自分自身に返る余暇の一時、プレイヤーにかけたい1枚だ。 (モノ・マガジン 11/16・1996 330号より)

『東方への旅立ち』制作にかかわって

 今世紀、西欧合理主義を背景に経済の発展と便利な生活がもたらされた。しかし反面、地球環境の破壊は著しく、人間の心も傷ついたものとなった。地球という有限な星の中にあって、今までのような生活を続けるならば、残念ながら人類に明るい未来はないだろう。頑張って努力することはもはや善ではなく、人間中心の「煽る<あおる>文化」の時代は終わったのである。
 今、自然との共生を目指す東洋の思想、つまり「煽る文化」に対する「鎮めの文化」に関心が集まっている。「適当に」「いい加減に」と、肩肘はらずに自在にすごすことの意味が問われ、モノではなく心の豊かさが求められるようになった。この共生の発想こそ、来るべき二十一世紀の明暗を分けるキーワードとなるにちがいない。
 さて、今回は、はからずも小馬崎達也氏を中心とするグループのCD制作にかかわることとなった。当然のことだが、音楽を作り出すこととは、それを聴いてもらう人に作り手のメッセージを伝えることでもある。それは旋律として伝えられるが、各種の楽器から奏でられる彼らの 音楽には、オリエンタルな香りが濃厚に漂っている。聴く人によって東洋でもあり、西洋でもありながら、それでもオリエンタルであるのは、各地の人々の生活の息吹を汲み上げては、その融合と調和を計って世界に普遍する旋律まで昇華させたからであろう。西洋にとっていつの時代もオリエントはあこがれの夢の地であったし、それは東洋においても同様であった。今世紀への鎮魂と、来世紀への祈りと希望を込めて、アジアの地からアジアの演奏家によって世界に発信される「東方への旅立ち "Journey to the Orient"」は、生まれるべくして生まれたといえないだろうか。
 なお、今回の録音は八ヶ岳・星と虹レコーディングで行われた。スタジオオーナー・藤森義昭氏の多大な援助に心から感謝する。ジャケットの写真はイランの遊牧民・カシュガイ族のじゅうたん絨毯・GABBEH<ギャッペ>である。牧草先の草木で染色し、即興的に浮かんだ図柄を移動の合間に紡ぐことから、色も模様も一枚として同じものはない。世活の中から図らずも生まれた用の美は、大地の豊かな連なりともモダンアートともとれようか。「東方への旅立ち」の題字は、山深き谷あいで蹴ろくろを回し風と遊ぶ陶芸家・望月 明氏にお願いした。
 CD制作の機会と楽しみを与えてくれた亡き母に感謝をこめて。
1996年 盛夏  井上勝六

 レコーディングスタジオのオーナーという立場上、プロデューサーやディレクターの肩ごしに演奏中のミュージシャンの様子を身近かに観る機会が多く、それを私の大きな楽しみでもある。何が楽しみかというと、一つにはつい数時間前に挨拶をかわした演奏家たちが、楽曲に対する、またアルバム全体に対する共通の理解と目的とを胸に一つにして音を出す姿を見ること。そしてしばしば、初体面で私がうけた印象以上のすばらしい音色やフレーズを聴くことができることである。井上勝六プロデュース、小馬崎達也リーダーのこのアルバムは、ミュージシャンがインターナショナルだということもあってか、プロデューサーや作・編曲家の意図を皆がよく理解し、スタジオ内に常に統一感のある空気がただよっていた。やっぱり音楽は個々の演奏技術はもちろんだが、何より個人の人格というか、魂というか、そのようなものが集まった時に生まれる心の世界のなにものかが音になって現われたものだと、今回は強く感じたことである。
八ヶ岳星と虹レコーディング 藤森義昭 

Special Thanks to
矢崎幹夫(ベーゼンドルファー I.P.F. JAPAN), 藤森義昭(八ヶ岳星と虹レコーディング), 佐伯稔, 中尾貿易(株)オベーション, 茶位幸信(茶位ギター工房), 井上ひろ美, 下畑薫, 望月明


CD「東方への旅立ち "Journey to the Orient"」のお問い合わせは、Pangaea Music Farmまでお知らせ下さい。
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