Pray to Gaia
小馬崎達也&プラハスピリットクインテット
Tatsuya Koumazaki & Prague Spirit Quintet
PMF-010


Tatsuya & Febian Reza Pane

1st violin: Marcel Kozanek

Viola: Profesor Jiri Rajnis

2002年5月29日リハーサル風景

2nd violin: Eva Petru

Violoncello: Pavel Ludvik

Double bass: Jiri Rohan

Paulownia guitar: Tatsuya Koumazaki

piano: Febian Reza Pane

『ガイアに祈る』/The Pray to Gaia
小馬崎達也&プラハスピリットクインテット
Tatsuya Koumazaki & Prague Spirit Quintet
ボヘミアの香り豊かに
ー煽り<あおり>の文化から鎮めの文化へ
視聴コーナー
1.風薫る時/When wind Fregrant
2.森の精の誘い/The Invitation of the Forest Spirt ★
3.二月の森林/Forst in February ★
4.空と子供たち/Sky and Children ★
5.フェズの市場/Bazzar in Fez
6.ガイアに祈る/The pray to Gaia ★
7.氷柱の叫び/The Cry of Icicle
8.静かに舞う雪/Snow to Dance Quietly

All composed by Tatsuya Koumazaki
All arranged by Febian Reza Pane

小馬崎達也 / Tatsuya Koumazaki(Paulownia guitar)
Febian Reza Pane(piano)
吉口克彰 / Katsuaki Yoshiguchi(percussion)

Prague Spirit Quintet
1st violin: Marcel Kozanek
2cd violin: Eva Petru
Viola: Profesor Jiri Rajnis
Violoncello: Pavel Ludvik
Double bass: Jiri Rohan

9人編成 ★
1st violin: Marcel Kozanek , Vaclav Riedelbauch
2cd violin: Eva Petru , Jan Nykryn
Viola: Profesor Jiri Rajnis , Jan Nykryn jr.
Violoncello: Pavel Ludvik , Richard Zemlicka
Double bass: Jiri Rohan

Recorded:Studio Martinek.1~3 June. 2002 Prague
Engineer:太陽倶楽部 加藤明
アシスタント:池田玲子 十世
タイトル題字: 福島県三島町長 齋藤茂樹
Cover Photgrah:Dragan Dragin
Cover Design:野村直樹
Produced by Tatsuya Koumazaki (Pangaea Music Farm) 

Special Thanks:
Dragan Dragin Biljana Golubovic Dana Rohanova
桐の里三島町 齋藤茂樹、奥会津書房 遠藤由美子
茶位ギター工房 茶位行信、小林十三ギター工房、
中尾貿易オベーション 佐伯稔、ホワイトスクーナー矢部正人、
手塚正人、

『ガイアに祈る』によせて        井上勝六

 20世紀末、東西の冷戦構造があっけなく崩壊した。変って民族間や宗教間の対立が各地で顕在化し、21世紀は文明の衝突の時代と言われる。昨年9月のアメリカでの同時多発テロ事件以降は、目には目をの論理が大手を振ってまかり通り、共存の思想は霞んでしまった。経済面ではグローバルスタンダードの大合唱の中、競争的存在となった組織は生き残りをかけ、他者を倒して死にいたらしめようと右往左往している。「泣かない赤ん坊はミルクをもらえない」としても、泣く力のない子や泣き方のわからない子に対しての対応は、過去どの文化圏にもあったはずだ。文明の衝突は文化・文明の崩壊を予感させ、もはや未来の夢や希望は人口に膾灸されない。未来を失ってしまった不幸な時代、「覇者の思想」(西洋)に対して「王者の思想」(東洋)の意味が問われよう。

 『ガイア(地球)に祈る』はそんな状況の中、生まれるべくして生まれた。というのも小馬崎達也氏は、10年近く前から東西の音楽の調和と融合を目指して「パンゲア」を主宰してきたからである。パンは汎、ゲアは大地を意味するから、「パンゲア」は太古の時代、地球が巨大な単一大陸であったことを意味する。つまり、「パンゲア」という意味を彼が音楽活動の原点にしてきたのは、感情表現である音楽こそ人々が一体となれる感情を共有・交換できるもの、すなわち「世界共通の言語」であると強く意識してきたからであった。混沌とした不透明な時代での今回のリリースは、今までの活動の集大成でもあり、またこれからの活動の出発点として、まさに必然であったといえよう。
 当アルバムの録音は緑の風薫る2002年初夏、チェコはプラハのスタジオで、チュコ・フィルハーモニーの練達の弦楽奏者たちの協力を得て行なわれた。特筆すべきは、日本からピアニストのフェビアン・レザ・パネ、パーカッションの吉口克彰、録音の加藤明らの諸氏が駆け付けたことであった。現在、アルバム製作の際、全員が一堂に会して演奏することは経済的・時間的に制約が多く、そのため未完の録音をもとに後日、残りのメンバーが音を合わせて完成することが少なくない。録音技術の進歩のお陰といえばそれまでだが、しかし、それでは器用に音を作ることはできても「パンゲア」の理念に反しよう。第一それでは本当の音楽を創ったとは言えないのではないか。なぜなら、音楽は個々の演奏技術はもちろんだが、何よりもメンバー一人一人の魂が表現されて、それらが同じ空間で同時に溶けあって一体となった瞬間、それが凝縮して音となったものだから。

 東西の民族音楽のスピリットの融合を目指してきた小馬崎氏にとって、西欧ではなく東欧という歴史風土、スメタナやドヴォルジャークなどの民族主義音楽を生み、また世俗に背を向け自由奔放に生きたボヘミアンを誕生させたチェコは、製作現場としてここより他はないという最適の場所であった。クラシック音楽の素養を反映させた流麗な弦のアレンジによって、小馬崎音楽の民族色は大きく包み込まれて、ボヘミアの香り高く抒情豊かに奏でられる。心地よいリズムと、絶妙のハーモニー、そしてエスニックなメロディーに身をゆだねれば、あるいは自分にとっての「パンゲア」が見えてくるかもしれない。


CDの問合せ:<pangaea@sa2.so-net.ne.jp>
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