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日本放送協会 放送番組 プロジェクト X に異議あり

浅川太陽光発電所

所長 浅川初男 2005.11.29

第184回11月29日放送   「太陽に懸けろ」  プロジェクトX ~住宅用エネルギー革命~ について、日本放送協会のホームページで紹介されている番組予告内容に対して、実際に太陽光発電を行っている電気事業者として懸念を抱かざるをえません。日本放送協会の番組紹介ホームページでは次のように紹介しています。

以下日本放送協会ホームページからの抜粋

『 〜住宅エネルギー革命〜

 生活に欠かせないライフライン「電気」。日本は、これまで、多くを石油に頼ってきた。だが近年、新技術が脚光を浴びる。「太陽電池」。シリコンの板に光が当たると電子が発生。表面に塗られた電極で取り出せば、大きな電力となる。現在、国内20万軒以上の住宅に。海外では、砂漠の国でのラクダ用冷蔵庫や、命の水を汲み上げるポンプの電源に使われる。_  開発の始まりは、昭和48年、石油ショック。挑んだのは、京都郊外の小さな電気部品メーカーだった。国からの開発補助金ももらえず、導入した新技術は失敗の連続。それでも技術者達は、従来、家一件分1億円もした高価な製品を庶民のモノにしようと、30年間の闘いを続けた。

 昭和33年、京都郊外で小さな電機部品メーカーが産声を上げた。「京都セラミック(***)」。技術総責任者は、後にカリスマと呼ばれた稲盛和夫。当時、まだ研究がほとんどなされていなかった絶縁体部品・セラミックスを、たった一人で確立した不屈の技術者。仲間と共に、血判状をしたため、会社を創業した。「我々の技術を、世のため、人のために使う」。_  その後、***は急成長。しかし、昭和48年、衝撃が起きる。石油ショックで、メーカーからの受注が減り、ラインの半分が止まった。その時、稲盛は大決断をする。「資源無き国・日本には、太陽電池が不可欠だ」。セラミックスの会社に、エネルギーの技術者などいなかった。稲盛は、「ミスター太陽電池」と呼ばれた技術者・木村謙次郎を**ー*から招へい。さらに、アメリカで考案中の新技術を導入しプロジェクトを立ち上げた。  しかし、プロジェクトは困難を極めた。太陽電池は、元々、人工衛星の技術。家一件一億円もする価格を庶民のモノにする鍵は、重要部品シリコンの板をいかに安く作るかだった。だが、稲盛が導入した新技術は2年やっても芽が出なかった。「ミスター・太陽電池」木村には、**ー*から本社に戻れとの命令が下る。_  それでも、「技術で世のための、人のための仕事をする」。木村は、何と、**ー*を辞め、***に転職。稲盛も、せっかく導入した新技術をあえて捨て、再びゼロから出発。アジアの発展途上国に売り込む前代未聞の作戦で大量生産を図る。 番組は、30年間失敗に継ぐ失敗でも決してあきらめなかった技術者達の熱きドラマを描く』

  と、紹介しているが、太陽光発電を実際に行っている発電所としてあまりにも我々が知り得る実際の内容とかけ離れた経緯のお話内容で驚き耐えません。私の知る限りでは、太陽電池の開発は宇宙開発の場において、人工衛星の電力の供給をどのようにするかが問題になり、開発が始まったように記憶しており、この分野では日本では**ー*がトップランナーで頑張っているはずです。

 当初、宇宙開発では大電力を人工衛星が必要としていたために日本では優遇されている原子力発電が用いられましたが、事故発生時に地球の大気汚染を引き起こすので宇宙空間での原子力発電は自粛され一部の人工衛星(軍事攻撃衛星)を除いて現在では使用されておりません。宇宙空間では汚染を引き起こす原因なので自粛になっている原子力発電所を世界で一番使用しているのが我が国日本です。現在は、この様な環境下の中、地球温暖化防止と原子力政策に疑問を持ち、環境汚染を心配する人々に支えられ急速に太陽光発電が普及しております。 今回の日本放送協会の番組には、太陽電池の開発に関わった多くの人々に取材を行い、現在地球環境の悪化防止に歯止めをかけるためにも太陽光発電システムが役に立つことをふまえた上での番組制作であれば問題はないと思うが、番組予告では数あるメーカーの中から取材協力がとれた一社だけにあたかも的を絞り、今後普及する太陽光発電システム市場に一社だけに的を絞り強力にコマーシャルを流す目的で放映するように見えるのは私だけであろうか。 ここに大きな疑問が残り疑念が発生する。

  世界的に見ると1954年に米国でシリコン単結晶太陽電池が発明される。日本では公式に1958年に実用化されている。 日本での量産化の見通しがついたのが1960年代の半ばからであるから、日本放送協会の番組紹介で紹介している昭和48年とはだいぶ違うことになる。どのような取材を行ったのか疑問である。

 今回紹介しているメーカーの多結晶タイプでの話であれば少しは信憑性があるのだが、これらの経緯は経済産業省の外郭団体新エネルギー・産業技術総合開発機構の太陽光発電導入ガイドブックに紹介されているので日本放送協会の番組制作者は一読してはいかがか。また、開発当初の太陽電池はとても高価で一般には手に入る代物ではなかったが、第1次石油ショック(1973年)にみまわれた後の1974年から官民一体のサンシャイン計画から色々な太陽電池が生産され始め一般にお目見えし始めたのである。 現在販売されている太陽電池の価格が安く手に入るようになったのは、ただ一社の努力だけではなく、普及に際して環境問題に敏感な山小屋経営者に対して、単結晶太陽電池を日本の山小屋に紹介して歩いた営業マンであり、それらを推奨し官民一体となって努力した結果で、努力続をけた期間は30年以上である。

 日本の太陽電池メーカーは、開発当初特許がないために苦戦を強いられたが現在では生産シェア世界1位を勝ち取っている。そこには、番組で紹介する多結晶太陽電池の開発も有ったが、当初はアメリカ製の多結晶太陽電池の方が安く手に入っていたのである。 現在まで来るのには、各メーカーや研究者のたゆまぬ努力と研鑽があり、それらに讃辞を与え、環境技術の必要性を訴える番組作りであってほしかったが、予告編では、ただ一社の功績により太陽電池の価格が安くなり、一般に普及した様な紹介になっていて、これから太陽光発電を始めようとする消費者にとって強力にサブリミナル効果(暗示)を与えていることになることを番組制作部は注意を払うべきであろう。人気番組であるから番組に穴を開けるわけにはいかないと考えるよりも本来の趣旨を考えると、クオリティーの高い共感の良い物の再放送でも視聴者は許してくれるはずである。番組の制作に人気取りが入らず筋が通った物を放送し視聴者に共感を与え、満足感にしたしてくれたのがNHKだったはずです。

 私は今までにNHKの番組に出演依頼があるごとに太陽光発電が普及するためにと出演してまいりましたし、これからもその姿勢はかえませんが、誤った行動や報道をした場合は適切に陳謝し、教訓として引き継がなくてはならないのに現在のNHKにはそれらの姿勢が上層部に感じられません。

 トップが謝罪すればことは済む問題ではないのです。

 報道に携わる者としての尊厳が感じられないのです。

 私のところを訪れた各報道関係者は報道関係者としての尊厳を皆さんお持ちですばらしい報道魂を見させていただきました。 実際にNHKの取材時に遭遇したのですが、体調を崩しながらも良い番組を作ろうと体調不良をものともせず努力するスタッフの姿勢に驚いたり心配したりしました。

 良い番組を作る人は人気には左右されず的を射た取材をするものだと感じた反面、このようなすばらしい人材に対して人気取り番組を作らせる為に人材育成を忘れてしまうかもと一抹の寂しさを感じました。 横道にそれましたので軌道修正致します。

 今回、紹介しているメーカーの太陽電池を私のところでも使用しており製造から約30年目を迎えようとしておりますが、何ら支障無く発電をしており、今年度の計画でも番組で紹介しているこのメーカーの製品を使用し、新しいスタイルの太陽光発電所の建設を考えております。

 しかしながら、今回の番組の中で発展途上国に対しての太陽電池供給の話が有りますが、国内における他のメーカーも同様な販売を行っており、一社に的を絞り報道するのはいかがなものか疑問が発生致します。国内におきましても販売方法や委託販売において問題が有り、私たち太陽発電普及協会としても、製造販売メーカーとしての責任を追及して、襟を正させたり、研究開発にも不正が発覚し国費を無駄遣いし処分を受けたりした問題も有り、今日までの会社としての資質については良い感触は有りません。

 それらを払拭するためのイメージチェンジに利用されるように見える番組構成をNHKの公共放送が協力するのは納得がいきません。

 いくら良い物を作り上げても、それらを世に出す方法が間違っていれば、製品として消費者や視聴者には受け入れられないのではないでしょうか。

 私には、あまりにも偏った取材を行ったように見えてしまうのです。

 番組を放送するために、が先行し、太陽電池産業の一端しか捉えきれない状態での放送はまさしく、現在NHKが抱えている問題が表面化したにすぎず、受信料不払いの何ら本質を捉えることなく、体裁ばかりつくろうNHKの姿として番組が作られてしまったことに失望感が増し、更なる不信感を覚えてしまうのです。

 サンシャイン計画やニューサンシャイン計画等を無視した番組構成に怒りを覚えるのと、各太陽電池製造販売メーカーの努力を無視したごとくの番組構成には社会の本質を捉えられない現在のNHKを見る結果となった。

 今回の異議は、番組で紹介している太陽電池製造販売メーカーを誹謗中傷することではなく、製品は良い物であっても、それらを世に出す方法や、技術を手に入れる方法についての経緯を太陽電池産業界全体から取材することが必要と思うが、それが適切に行われなかったことと、そのことに気付く番組作りを行おうとする姿勢がNHKからは伺えず、諸先輩方が作り上げた放送倫理に沿った番組作りはどこに行ってしまったのだろう。

 努力して番組を作り上げる姿が無くなり、安易な外見ばかりを気に懸ける下請け任せのような体質では、今回の設計事務所に置ける強度計算偽装やそれを見抜けない関係機関と同じで、責任感が全くなく物作りへの信頼感は無くなり、物作りの空洞化が進み本来の目的を失い全てに狂いが生じシステムは崩壊して行きます。

 未だに公共放送としての襟を正そうとしないNHKの姿勢には報道人としての自覚が足らず、責任をなすり付け合う体質になっているのではないのでしょうか。このようなことを続けていくとしたならばNHKの公共放送としての役割を担うことは出来ずに、本来の目的であった公平中立の報道が行えず公共放送としての役割を終了することにつながると思います。

 2005.11.28 以上を書き下ろし、本日の番組放送を拝見したところ、番組紹介と多少異なった放映のような気が致しましたが、太陽電池製造販売メーカー一社の宣伝番組になってしまったことは、残念でもう少し環境問題とエネルギー問題に時間を配分し、太陽光発電のすばらしさを番組内で放映していただきたかった。

 見せる番組作りは成功しているが、問題定義の可能性を秘めた太陽光発電紹介番組にしてほしかった。

太陽光発電普及協会 山梨県支部
浅川太陽光発電所 所長 浅川初男
RPS法 電気事業者 浅川初男
2005.11.29


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