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「農業に未来を」2007
(無尽蔵エネルギー利用の農業経営で農地の荒廃を防止へ)

 私たち農家は、国策で農地から離れること無く、小面積の耕作地から生活に必要な作物を季節ごとに作り出し、今日まで提供してまいりました。

 代表例で申し上げますと、稲作地帯であれば、春から秋までが米作りを行ない、秋から春までが麦を作りと言うように、狭い国土を有効利用し、生産効率を上げておりました。また日本各地においては、各地域に根ざした農地の有効活用が図られ、特産品を育て上げてまいりましたが、生活の水準が向上するのにともない、経済優先の考えから、全国均一の農業政策が用いられ、各地方に根ざしていた農地の利用方法が全国レベルの均一化を求められた結果、地方色が無くなり、管理統制しやすい農村モデルを作り上げ、現在に至っております。

農地の均一化を目的として、農地改良や区画整理が行なわれ、機械化が可能な農地になり、生産性が一気に向上したために、米作においては生産過剰となり減反政策が現在も行なわれています。管理統制農業の成果として集団化産地化がなされ、同一作物を地域ごとに作り、特産品として、地域に供給してまいりましたが、輸送技術の発達により、地域特性より大量供給、大量消費に向けて農業生産を行ない、経済優先となり、日本国内で生産するよりは、海外で生産した農作物を輸入した場合、価格や数量が確保され、安定供給がなされるので価格統制がとりやすいとして、農産物の輸入自由化が図られました。

(輸送に伴う環境問題は、今日まで一切問題にはなっていない)

次に、国内における小麦の生産は、国内の小麦は麺食用で学校給食にパン食が導入されるとともにパン食には向かない国内小麦は減少の一途をたどり、現在にいたっております。打開策として国内で開発された小麦は、国内での生産には向かずに海外に広がり、国内向けに海外から輸入されております。国内での生産に向いた小麦も開発されましたが、価格競争では海外で生産された小麦に太刀打ちできないために国策で押し進めている農業の集団化や規模拡大で対応しようとしておりますが、規模拡大により、きめ細かい小規模高効率生産管理ができなくなり、小麦の生産は集団化がなされた時点で、生産管理が農機具の高率運転と労働時間から国内の生産能力の限界をむかえ、それ以上の作付けはなされなくなり、輸入小麦天下となり、その時点で輸入小麦製品の大規模値上げになると思われます。(小麦の生産が軌道に乗るのに3年は必要なので、小麦価格が上がったから作付けを増やそうとしても、それに対応できる農家が残っているか疑問)

私が、農業を営む地域の水田総作付け面積は約240haありますが、この中で小麦を生産しているのは1haにもみたないのです。土地の保水力の高さと収穫時期と田植え時期が重なり、2つの農作業を同時進行することのできる農家が居ないのです。それと、小麦の価格が安く、いくら補助金があっても、労力と生産コストを考えると、私どもの地域では、お米と麦を同じ耕作地で作り、効率的農業経営を目指すとしても、農作業に従事する者の健康管理を考えると平地の農業と中山間地の農業の違いが、この部分に一番強く現れ、次に農業機械のメンテナンスと消耗部品に現れ、特に、多目的農機具の開発は、多くの作物に使用することが可能で、高効率農作業に適しているとしているが、小麦の収穫に使用したコンバインを米の収穫に使用した場合、小麦が米に混じり商品価値が落ちてしまい、少ない収入がさらに削り取られ、人件費も出ない状態で、農機具のローンに追われる結果となります。このために同じものが2台必要になります(清掃を十分すれば使用可能と思うかもしれませんが、いくら清掃をしても限界があり、異物混入と言う形で最初の取り入れに混じり込み、収入減少につながり、結果として2台あれば効率運転ができると言う選択になります)

私たちの地域でも、大規模農業に挑戦しておられる方がありますが、稲作中心経営のために、米価下落とともに規模を縮小して、農閑期の有効利用で、他の産業に従事して収入を確保し、農機具等のローンや維持管理費に当てている方がほとんどで、専業農家で生計を立てるのが難しいのが中山間農業です。

では、効率の良い施設園芸農家に変われば良いと思われる方があるやも知れませんが、施設園芸農家では、施設園芸の農作業に追われ、広大な農地の維持管理ができなくなります。地域の風土に合った特産農業作物を育成する政策を取りやめ、地域特性を無視し、大豆など地域特性に合わない作物を作るように、補助金を示し、作付け指導する農政関係者に対して、中山間地域農家としては、それら指導に対してあきれはてているのが現状です。

また農家の質問に対しても、品種改良がなされており、収穫量も安定しており農作業も軽減されている等と答え、病気や連作障害、農薬の使用時の管理状況や経費等については答えず、ただ、補助金がありますから、奨励作物を作付けしましょう。農機具の購入においても支援いたします。収穫量に応じて補助金を出します、等の一点張りの説明

新しい農業として、遊休農地を集めて貸し出す制度を検討に入ると農政関係者が語っているが、農家以外の産業者に農地を貸し出した場合は、全ての貸し出し条件を全く考えないで、他の産業に広大な農地を貸し出した場合は、その農地で生産される作物は経済優先の考えから、経済性のあるものに限られ、農地の生産力を高めることよりも、採算性のある農作物の生産に向けられ、採算性のある農地には希望者は殺到しますが、採算性の少ない農地(中山間地)に関しては、ますます見捨てられ、荒廃農地の一挙拡大につながりかねません。

中山間地農業は、規模拡大を行なっても、農家の経済的救済には、つながりにくく、個々の農地の生産力と、収益を上げないことには中山間地農業は衰退します。個々の農地の生産性を上げるのには、他の産業と組み合わせた農業が必要になってきているのが、中山間地農業です。

 本年度から、牙を剥き始めた大規模気象変動に対しては、個々の農家の心配をよそに農政は何も指導する様子は無く、農家個人があらゆる方面に情報を求めて、本年度の作付けに必要な情報を集め、分析し、作付け時期の検討を行っているのが中山間地域の農家の現状です。しかしながら、旧体制の農政に頼っている、中山間地域の高齢者農家や兼業農家が、大多数を占めているのも現状なのです。大規模化をむやみに推し進めたり、大規模農地面積を貸し出す場合でも、失敗した時に責任を取ることをしなくて良いとしているのが、現在の農政で、私どもの周りにも、農政の指導で、施設園芸を誘致し、経営に失敗して撤退した施設園芸農家の残骸があり、農地を利用できない状態で、荒廃農地となった場所があり、私も幾度となく、農政との協議の場において、残骸の撤去を御願いしたが、農政の指導で、誘致はしたが、経営に失敗したのは農家の責任であるから、農政は関係無い。残骸には所有権があるので農政では対応が不可能などと言葉を濁しており、現在の農政の進め方には、信頼のおける農業指導が無くなっているのが中山間地域に対する農業行政です。

大規模農業の比較

大規模集落農業の手本が、日本一の広さを誇る北海道で行なわれていますが、その北海道でさえ、今期、農業製品の輸入自由化により大規模農業が成り立ちにくい状況下にあるのに、中山間地域の傾斜地における大規模農業や集落農業が成り立つことは、私たち中山間地域の農家は思っておりません。

北海道の大規模農家と比較すると、農業従事者一人当たりの農地の管理能力に限界のある中山間地域の農業は、大規模化を推し進めても、農業従事者に負担を増すばかりで、長期に見ると益々農業従事者の減少をまねく結果となります。

また、作付け可能品目には、補助金等で対応すると国会で言っておりましたが、国土を比較すると、農業立国と、日本の農地面積を比較すると、日本全土よりも数倍の広い耕作地をもっており、農業立国の農家の一戸当たりの面積と比較することができないほどの格差になります。それらの例を紹介いたします。

日本の玄関、成田国際空港を開港するにあたり、多くの農家が移転を求められ大きな問題となり、現在でも、移転問題が解決していないために、当初の計画と同じ規模の空港には未だなっておりません。世界の空港建設時に農業立国であるフランスのドゴール空港を開港する時に、移転を求められた農家は、たった3戸と言うのを聞いたことがあります。成田空港の規模を遥かに上回る空港です。このことに対しては、また聞きですから信憑性は余り無いとしても、農業立国のフランスと、日本の農家規模のちがいを語るのには十分だと思います。

自由貿易を訴える国は、当初自国の天然資源を輸出するだけでは、自国産業の育成につながらないとして、本当の目的は、日本に輸出している工業原材料と抱き合わせで自国の農業製品を買うように求めているのです。輸送手段の発達により、生鮮食料品までもが、広大な農地を誇る農場で生産され、日本に向けて輸出を待っている状況なのです。今回の、経済連携協定(EPA)には、大きな隠れたシナリオ、農産物の輸入自由化を求める交渉でもあるのです。

 今や、日本の農業製品は、農地面積の規模拡大をしても生産コスト面では、農業立国の農業製品に太刀打ちできない状況下にあるのに、国策は、大規模集約、集落農業に切り替えれば太刀打ちできるような幻想を農家に植え付けようとしていますが、農家が求めているのは、農地を農地として管理しながら、農家の経営が成り立つことを求めているのであって、補助金にすがり農業を続けて行こうとは思っておりません、補助金事業が農業政策において成功した例がないのです。大規模農業のなれのはてを八郎潟や、有明海の干拓事業に見ることができます。大規模農業に挑戦しても、採算性が取れない農政計画により、農家を育成する政策ではないので、農家の衰退が見て取れます。

都会周辺の農家は消費地に向けて、生鮮食料品を効率よく供給できますが、中山間地域においては、季節により作物を生産するので、効率が落ちて行きます。

効率が落ちて行くことにより、収益が減少し、農業経営を圧迫することになり、農家の減少につながります。中山間地域の私どものところでは、農業従事者の平均年齢は70歳を超えております。それに対して、行政サイドでは、農業後継者を育てれば良いとする政策を進めていますが、各農家の跡取りが誰も名乗りを上げないのが実情で、私どもの地域においても、百戸以上の農家がありながら、農業後継者として農業を継ごうとする者がいないのです。後継者育成制度を作り上げても、経済的に計算すると、いくら大規模に農業を展開しても、収益につながる作物の作付けが難しく、作付け、管理、収穫の農作業のわりには、大型化や機械化を進めれば、農機具のローンに追われ、農業経営が難しくなり、他の産業に従事し収入を確保ながら農業維持が中山間地域農業です。

今回の、EPA交渉は、日本の農業に大きな転機をもたらし、小規模多品種の農業を行なうことは可能だけれど、戦略作物(小麦・大麦・大豆・米・蕎麦・ジャガイモ・トウモロコシ・牛肉・乳製品・豚肉・鶏肉・塩・砂糖・果物・果実・飼料等)全てに関しての自由化を求めるもので、それらの戦略は、工業資源を輸出する代わりに、農産物も輸入するように求めてきているのです。天然資源の乏しい日本に対して、次に求めてくるのは、現地での製品の生産を求め、企業移転を自動車業界と同じように求めることになると思われます。これが経済連携協定(EPA)である。国会では、北海道農業だけが打撃を受けるようなことをいっておりましたが、大規模農家と言われる北海道の農家の存続が危ぶまれるのであれば、EPAの協議により、農産物の自由化が決定したならば、北海道に比べ、いくら大規模・集落農業を実施しても小規模の中山間地域の農家は一瞬にして経営が難しくなり、大規模化に備えた農業機械のローンだけが残ることに成りかねません。

私どもの考える農家とは

農業と、他の産業を組み合わせることにより、農家の収入の多様化を図り農業経営の安定化を実施し、もって農地の保全管理ができればと思っているのです。

1. 農林水産業において
自然エネルギー燃料バイオエタノール(E3)生産販売
 問題点
自然エネルギーを利用した、バイオ燃料に対して、日本の石油供給業界は、ガソリンスタンドでのE3燃料の供給に反対を示しております。エタノール燃料に対して税制がハッキリしいないために、石油業界は採算割れを懸念し、利益確保のために、ガソリンに直接エタノールを混入する方式に対しては、E3燃料の販売に反対しております。

私たち中山間地域の農家が協力することにより、バイオ燃料の開発は、休耕地や、休耕田、遊休農地にバイオ燃料の素になる作物を作り、供給することができます。もともと、農業生産の行なわれなかった農地を有効利用することで、バイオ燃料作物の生産に片寄ること無く、各、一定地域ごとにバイオ燃料作物を作付けすることにより、農林水産業従事者が一定規模の生産工場を持ち、地域特性を活かしたバイオ資源や作物を使うとにより、地域分散型の燃料工場でエタノールを生産し、各、地域ごとにE3販売を行なえば、配送距離を短くすることができ、CO2の排出を抑えることもできます。

現在の農地法では、農家が直接バイオ燃料生産にたずさわることは、農業以外の収入になるので、農地法違反と農業行政は言ってくるでしょう、農家の直接収入源としての、バイオ燃料作物の生産は、休耕地や、荒廃農地の解消につながるかに見えますが、大規模農業や集落農業を押し進めている現在の農業政策では、効率が求められ、効率の悪い場所での生産は、きわめて困難になるように思えます。
しかし、地球環境のことを考えると、農家が直接燃料生産まで係れれば、生産効率の向上や、農家の収入面での向上が図れれば、バイオ燃料生産は軌道に乗ると思われます。

2. 電力エネルギー供給
 農地を利用した、電力エネルギーの生産販売

 私どもは、荒廃農地を利用した太陽光発電により、太陽から無尽蔵の光エネルギーを利用し、太陽電池により電気エネルギーを生産し、電力会社に供給する実験を1999年より、休耕田において実施し、太陽電池の性能テストや耐久性、信頼性、システムの管理、休耕地における環境への影響、また、休耕地を復元して、耕作地によみがえらせ、農業生産の開始など実験目的に応じて、数カ所で、数多くの実験をしてまいりました。その結果、荒廃農地や休耕農地の一部を使用することにより、農業生産にはほとんど問題がないことが判明し、農家の収入確保につながることが確認できました。

このような実験を実施する中で、大きな問題点にぶつかりました。

問題点

 私たちが行なっている、荒廃農地を借りて、農地を耕し、農業行為を実施し、農地の一部分を利用して、太陽光発電を農地で実施する行為は、農政関係者からの指摘によると、「農地法違反」と判断するとのことで、農地での太陽光発電は農地法違反にあたるとの見解をいただきましたが、見解内容に不可解な部分が存在し、農林水産省に問い合わせたところ、農地法違反の捉え方に相違があり、現在、確認作業を急いでおりますが、内閣総理大臣が農業問題に対しての取り組みとして、先進的な考えで、農業に取り組む人々に対して、支援を考える等の回答を、予算委員会の農業問題等に対する答弁の時に、答弁しておられましたので、本当に、農業のことを考えているのかを含めて、関係各方面に対して、新年度に問い合わせを行ない、農地の有効利用として、自然エネルギーを利用した農業政策を実施できるように活動を致すつもりです。

農家自身が、他の産業に直接係ることで、収入を確保し、農地の保全や食料生産に安心して取り組めるシステムが必要になってきていることを、多くの方に知って、農業が抱える問題を共に理解していただきたいのです。

国の基礎となる、食料生産システムを持たない国は、いくら外貨をもうけても食料を確保するために、外貨を使用すれば、経済的には廻りますが、安定した成長は望めません。農林水産業が自立して、初めて国が潤うのです。

農業製品の自由化を求める対外国は、自国の自給率を高め、それを工業製品や材料と一緒に輸出することにより、自国を潤わせる政策をしているのです。

日本では、それらの政策は農業生産面積が少ないので、経済性優先の拡大農業政策は、できません。農業国の米を生産している農家の面積は、半径1.5kmの田圃を4区画から6区画を所有しているのが米作りの農家と聞いております。

日本の大規模農家の何倍になるか見当もつきません。農業生産量では勝ち目がないのが、日本の大規模農家と農業国の農家との違いなのです。

 日本農家は、耕地面積の小さい農地を効率よく管理し、他の産業と組み合わせた農業により、農家の収入源の多様化を図り、農家経営の安定化により農地の保全管理や、農業生産を確保する時期に来ているのです。農地を効率よく利用するには、自然エネルギーを利用した産業に農家自身が直接関わり、農地の確保と農業生産を持続し、荒廃農地を無くすことにより、国土の保全ができるのです。

日本が目指すべきところは、各産業の協力により、国土の保全と環境に配慮し、産業形態ばかりではなく、経済形態も考え、自然エネルギーを最大限利用したエネルギーの安定供給により、各産業の安定した産業の育成と、各産業従事者の雇用を確保し、環境立国を目指すのが、国際貢献の道と考えます。 

 農地での、太陽光発電は実力とも一番であり、農業と自然エネルギー産業がこれからの農家を支えることのできる柱であることを皆様にお知らせいたします。農家が他の産業(自然エネルギー利用産業)に直接加わる道を開き、農地の保全管理と、農業生産の維持を続けることにより、地球温暖化による気象変動にも対応できる農業を営むことが可能になるのです。幸いにして、我が国は周囲を海に囲まれた島国ですから、大陸気候による大規模な干ばつ等経験することはないので、農地の保全維持管理を行なっていれば、農業国が自然災害により打撃を受けた場合でも、我が国に最小限の農業が確保できていれば、国民を救うことができるのです。経済社会優先で、農業を考えると、国際市場から購入するのが良いのかもしれませんが、これからの農業を考えると、最小限の農業生産が可能な農業基盤を作る必要があり、現状の農家経済を救済するアイテムの一つとして、自然エネルギー利用(自然エネルギー利用産業に農家が直接加わること)を農地で認め、農家の経済的救済をすべきところに来ていると思われます。

自然エネルギー利用
太陽光発電所 所長 浅川 初男
農業従事者     浅川 初男
電気事業者 (太陽光エネルギー)
RPS法 電気事業者 浅川 初男
2007.03.28

▲上に

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