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太陽電池の破損状況と寿命・耐久性・系統連系時の異変

2007.07

平成6年(1994年)12月自宅で太陽光発電を開始しました。

平成6年当時は、太陽光発電が一般に認知されていなかったために、よく「太陽熱温水器」と間違えられ「どのくらいのお湯が出るのですか」と尋ねられたのが、懐かしく思い出されます。太陽光発電が一般に認知されるにしたがい「どのくらい耐久性があるのか」「寿命は」「設置費用は」など、多くの質問を受けました。当初、全国の一般住宅に取付けられた件数は約700戸あまりでした。
このような中で、太陽光発電を普及するためにはどのようにし、太陽光発電の必要性を皆様に理解をしてもらい、一般住宅に広く太陽光発電を普及するためにはどのような問題があるかを知るために、多くの仲間が集まり、太陽光発電普及協会が設立され、全国組織で発電データを公開するなどして、普及対策として補助金制度を維持して行きました。また、多くのデータ収集と、情報を皆様にお知らせするためにホームページを開設しながら実験施設を複数設置し、研究を続けてまいりました。

 太陽光発電が、一般住宅に導入されて10年以上が過ぎ、住宅用太陽電池の保証期限が一部のものでは過ぎようとしています。私どもが販売メーカーと保証期限20年を設定していた太陽電池の一部に異変が発生し、今回、太陽電池の損傷までに進行する事態になり販売メーカーと連絡を取り、損傷太陽電池を無償交換するとともに対応策について共同研究することにしました。


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写真は、メーカーによる破損した太陽電池の交換風景です。
私どもに太陽電池を供給している各社の内2社は、定期的に状況確認にこられ、双方向の情報交換を行なっておりますので、交換もスムースに行なわれます。
この様な環境が一般住宅の太陽光発電システムにも必要となってきております。実際に自主的に調査に訪れたメーカーは現在1社だけですが、各メーカーにも広がって行くことを期待致します。


 「中規模太陽電池発電の系統連系による太陽電池への影響」
(研究報告)
浅川太陽光発電所1994年〜

太陽電池の集中管理時に発生する太陽電池の異常原因の究明に、浅川各太陽光発電所では長年研究を実施してまいりました。これまで、研究期間中に、太陽電池の破損や損傷について機会あるごとに発表し、対策や注意事項お知らせしてまいりましたが、改めて、太陽光発電システムを取り付けた皆様にお知らせして、取り付けたままになっている太陽電池の状態を確認することをお勧めいたします。また各メーカーも製造責任がありますので、販売店等が無くなっていても、自主的に太陽光発電システムの追跡調査を実施し、破損や損傷した太陽光発電システムの取り替えを実施しすることをお願い致します。

*太陽電池の損傷原因について
 浅川太陽光発電所では、内外6社の太陽電池を使用しており、各社の太陽電池は、それぞれ、比較されながら現在発電中ですが、発電を開始して10年目に入った頃から、太陽電池の破損が始まりました。全体数から見ると太陽電池の枚数が数百枚と多いので、1〜2%程度の破損率になりますが、同一機種での発生が見られました。発生率は5%程度ですが枚数が多いために、製造販売メーカーとも相談して、無償で疑わしい物は全て無償交換することになりました。

原因究明への第一歩
原因別の損傷状況

  1. 施工ミスによる太陽電池の破損、及び配線方法のミスによる破損
  2. 施工後の自然環境等による破損
  3. 製造時の品質管理の不祥事による出力低下
  4. 製造時の技術的ミスによる破損
  5. その他

大きく、区分するとこのように区分されます。
1・3・については、メーカーの努力や、消費者の指摘により、改善されましたが、時間の経過とともに現れる2・4・については、近年遭遇することが多くなりました。当初、1・については、私どもの太陽光発電所でも発生し、施工方法の見直しをし、破損は無くなりました。

1. 施工ミスによる太陽電池の破損・及び配線方法のミスによる破損

 施工ミスによる破損は、大きく分けて、取り付け時の力配分による破損と、自然環境の変化に対応する取り付け方法を実施しない場合に破損が発生しました。特に、太陽電池パネルが大型化するにしたがい荷重配分を注意して、取り付けない場合に発生しております。大型の太陽電池パネルで説明しますと、縦1.5m横1.0m位のものになるパネルを、水平に設置すると中心部では約1センチメートル以上沈み込みます。各メーカーとも中心部の沈降は、最大で5センチメートル位迄破損しないような設計になっておりますが、積雪が30センチメートルを超えると危険になります。
私が失敗した例は、積雪を1.0m以下として左右の力配分を計算に入れなかったので、1m四方の太陽電池パネルに積雪が1.2mを超えた時点で発生いたしました。屋根の両側から降り積もった雪が一点に集まり、太陽電池の上に積もったために、重さと、雪の移動圧力により表面の強化ガラスが割れて、ひびが入り、ましたがそれ以上壊れることまるので補強をしたところ、変形はおこらず、破壊することはありませんでした。


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補強が完璧であったので、強化ガラスが破損した状態で、1年間の発電状況と、強化ガラスにヒビが入り、ヒビの隙間から水分が太陽電池に直接当たる状況での発電を行ない、実験データを得ることができました。その実験中にわかったことですが、太陽電池は、ラミネートされており(真空パックみたいなもの)強化ガラスが破損したことにより、真空状態が無くなり、太陽電池とガラスの間に水分が進入し、太陽電池の表面に形成されている酸化膜が剥げ


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直接シリコンが見える状況になるまで発電をつづけられることがわかりましたが、給電部に異常(発熱)が発生しますので、速やかに交換することをお進めいたします。

2.     気象状況による被害

 昨年の8月に私どもの地域に降りそそいだゴルフボール大の雹による被害からも太陽電池の表面の強化ガラスは持ちこたえました。


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しかし、写真でもおわかりになると思いますが、ビニールハウスはみごとに穴が空き、一番激しく降りそそいだ地域では車のフロントガラスが割れました。自然環境は何時何が起こるかわかりません。状況に合わせて、自己管理と点検することをお進めいたします。尚、この地域に点在する太陽光発電所の太陽電池が破損したということは聞きませんでした。実際に私どもの太陽光発電所の太陽電池も無事でした。
適正に太陽電池を取り付けることで、予想範囲の衝撃には問題がありませんが、近年、太陽電池パネルが大型化するにしたがい、太陽電池パネル中心部の沈み込みが発生するので、大型パネルの設置では中央部に支えが必要になるものもありますので、施行時にはこれらの注意事項に注意をはらい、適正な取付けが必要です。販売店においても、大型パネルの設置には、設置方法に配慮し、消費者が損害を受けるようなことがあっては、自然エネルギー利用が進まなくなり、地球環境の悪化に影響を与えることを忘れてはならないのです。
薄膜太陽電池は表面がフイルムで覆われていので、気象変動の激しい部分での使用は問題が発生しやすくなると考えられるが、衝撃吸収能力が高まれば多用使用が見込まれ、太陽発電の新しい世界を開くことにつながることになります。

3.     製造時の製品管理による設置後に起きる症状

 今回、私どものところで破損した太陽電池の一部は海外で製品化されたもので生産国の国民性が現れている破損状況でした。


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しかし、国産品においても、同様の破損状況が発生していることを忘れてはいけません。国産品の場合は、太陽電池の生産工程でラミネート(太陽電池と強化ガラスを密封時)に発生するガスを排出できなかった場合や、太陽電池の中にあるセル(太陽電池素子)をハンダ付けする時に使用するハンダにより、太陽電池が発電を続けることにより、セル温度が上昇すると、ハンダの種類により、ハンダ付けしている部分からガスが発生し、ラミネートした部分にガスが発生し、太陽電池表面に膜がはり、シミが走るように見える場合があります。


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発電そのものには影響はさほどありませんが、状況が長く続くと給電部の配線に負荷がかかり、ヒートスポットが発生し、配線が破損します。
太陽電池の裏側が見える場合は、破断している配線部分のラミネートが膨らんでいる場合や黒く焦げているのを見つけることができます。表面で見ると写真のようになります。


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私どもの太陽電池接合は、一般住宅に用いられている太陽電池200Vを300Vで使用しますので、ヒートスポットでの発熱量は2倍以上になり、この写真のように、給電部や破断した配線部分おいて発電時に高温が発生し、強化ガラスの膨張率を高温により局部的に変化させ強化ガラスが割れます。


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一般住宅の太陽光発電システムでは、電圧が低いので、このような破損は通常では考えられません。もし発生箇所があった場合は、太陽電池の組み合わせ枚数が極端に違った場合が考えられます。今一度、システム枚数を確認することをお勧めいたします。

4.   製造時の品質管理不備による太陽電池の破損

 当初、太陽電池の不良品の多くは、製造工程の不備や、人為的なミスによるものが大半を占めていましたが、製造ラインの自動化が進むにつれ、製造工程での不良品の発生が低く抑えられました。しかし、製造している国の環境レベル(技術水準)や、教育水準により、製造工程での不良品の発生は減少傾向にあります。製造時の歩留まりを押さえるためには、加工工程での製品の安定性をどのクラスに合わせるかにより、太陽電池セルの発電効率が大きく変動することになり、太陽電池として組み立てた場合、太陽電池出力のバラツキが発生し、均一出力の太陽電池パネルを供給することは難しく、一定の出力範囲以内の製品を商品として出荷するのが一般的です。太陽電池として使用可能だが、一定範囲以上出力変動大きい太陽電池を一般に出荷するかは、メーカーのモラルに頼るものがあることも事実です。
太陽電池の特徴として、発電電力を供給する配線に使用する電極線を細くするほど抵抗が発生し、太陽電池セルをつなぎ合わせ一カ所に集めて給電部を形成する部分の発熱量が多くなり、太陽電池を見る角度により、供給電力部付近の変色や偏光が確認されることがあります。
 太陽電池のセル加工の工程で、素手で作業にあたっているところを映像で見たことがありますが、素手でさわるとセルの酸化皮膜を変化させること等を従業員に教育していない部分があり、驚いてみていたならば、外国の映像だったので安心致しましたが、輸入された太陽電池の中には素手でセル部分の組み立てをしているところがあることを私たち消費者は知った上で、価格の安い太陽電池使用製品を購入し、商品寿命の短いことを理解し購入していただきたい。
それらの実態を園芸用品やガーデニング用品部等で夜間照明として販売しているコーナーで見ることができます。このごろあまり見かけませんが、価格の違いで粗雑の作りを見ることができます。

系統連系時の発電抑制システムによる発電能力の低下

近年、家庭用インバータ(パワーコンデショナー)の性能が上がるにしたがい系統連系時の発電能力の低下は、少なくなっているが、太陽電池を色々な角度で設置した場合や、太陽電池の接続枚数が不規則な場合等は、インバータの性能が100%発揮されにくくなり、発電に支障をきたす場合があります。
多くの場合は、系統(電力会社側)の電圧が高く設定されているために、発電が思うようにできない場合があり、そのような場合はお近くの電力会社に調査を依頼し、適正な電圧に整えてもらい、正しい電圧にすることでインバータが適正な運転をすることができます。
私どものシステムでは、一般住宅に比べてシステムが大きいために、柱上に専用トランスを設置していただいており、トラブルを回避しております。
(専用トランスの設置には、一部個人負担をして設置しております)
電力会社によっては、太陽光発電シスステムは一般家電製品なので、系統側の電圧が高すぎることを証明しない限り、対策にのりださないという話を聞いたこともありますが、私どもを管轄する電力会社は相談すると適切な措置を講じていただいております。電力会社により対応がまちまちなのも事実です。

今回、太陽光発電の歴史に近いものをまとめた書物が発刊されておりますので紹介致します。「なぜ、日本が太陽光発電で世界一になれたのか」
これは、NEDO 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構が発行しております。お手元に必要な方は、NEDOのホームページから申し込むことができますので、お取り寄せください。
これからの太陽光発電の未来も紹介されておりますので参考にどうぞ。
今回は、ここでまでと致します。

2007,08   浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男

追伸 
 私ども、太陽光発電普及協会は、太陽光発電の普及を目的としたボランティア団体ですので、持ち寄った情報の公開は、広く社会に発信することを目的としております。太陽光発電普及協会の活動も各方面に対して行なっておりますが、個人の営利目的のために動いておらず、太陽光発電を広めるために活動をしております。
一部の団体に見られるような会員を募り、その会員のみの情報交換を目的としておりません。
「太陽光発電普及協会」 会員は、自己責任において各自が情報を公開しており、営利目的に情報を発信してはおりません。

▲上に

浅川太陽光発電所 - 八ヶ岳・北杜市大泉 -
copyright 2001-2009・The ASAKAWA soler power station / ASAKAWA Hatsuo

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