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太陽光発電の普及拡大に伴うリスク配分 2012.08

浅川太陽光発電所  
所長 浅川 初男

2012年固定価格買取制度の始まりにより、多くの業者が太陽光発電事業に乗り出してきているが、電力網の仕組みを知らない業者もあり、安に土地があるから、そこに太陽光発電所を建設できるのではと言う業者もあり、地主は安易な気持ちで、設備を建設すると、将来大変な重荷になることもあるので、注意が必要である。

まずは、土地問題から考えると、今回の買取制度は最長20年と言うことなので、土地の貸し借りも20年単位になると予測されるが、ここのところで注意が必要になるので、地主諸君は注意して、賃貸契約をしなくてはならない。

不動産取引法等を参照し、特に賃貸契約や権利義務等を勉強していただき民間契約の場合は、占有権・所有権・保安規定などの取り扱いも細心の注意が必要である。
続いては、自前の土地での太陽光発電所開設について。


主要電力幹線から、できるだけ近いことが最大の利益を生むと言うことを知っていなくてはならない。


太陽光発電所の規模に応じては、電力会社の電力線に繋ぐことができない場合も生じるので、現地確認を行い確りとした計画が必要になります。

規模の大きいほど、主要幹線と繋ぐことが求められ、主要幹線までの距離が長くなれば、それに繋ぐ為の出費は設置者が負担することになります。

事業者になる訳ですか、自前で主要幹線まで電線を引かなくてはなりません。


では、規模の小さい物で勝負を挑んだ場合(10kW以上500kW以下)
単純に言うと、早い者勝ちになります。

今回の40円+消費税は、今年度だけと考えていた方が良いと思います。

沢山の太陽光発電所が開設され、売り上げが増すごとに、消費者の負担が多くなるシステムですので、初年度は20年間を確保できても、見直しごとに買い取り価格が引き下げられるか、買取期間が短くなるかです。

物議はかならず発生いたします。

さらには、今回の買取制度が発表になると同時に、多くの申請がなされ、現在でも申請して、IDが届くまでに、数週間かかることから、その量がかなりのもと、推測されます。結果として、好条件のところには多数の施設が乱立する恐れが発生し、系統電圧に異状を発生させる原因になりうることが予測されます。

そのような場合は、電力会社は安全上の問題から、安全措置を講じた施設だけを通電できるように選択できますので、沢山の太陽光発電所が集中した場合は電力会社サイドで決定することになります。

このようなことがあるので、電力会社との事前協議が必要になるのです。
最初からある施設(太陽光発電所等)に影響を与えるようであれば、新規の太陽光発電所は、認められない場合も発生する恐れがあるのです。

このような場合を想定したのがスマートグリッド方式の配電網ですが、こちらは、住宅用が主な考え方で、大規模な物への対応は現在研究対象にはなっているのかは定かではありません。

では、電力会社が取る方策は何か、それは安定した出力制御ができる太陽光発電所設備であると言うことです。こちらも、現在各メーカーとも急遽製作に取りかかっているはずですので、早ければ半年後くらいには対策がとられたパワーコンデショナーが出荷されると思われます。


私のところでは、パワーコンデショナーについては、これらのことは当初から設計思想に組み込んであるので、旧型でも対応可能なので、設計思想の正しさが証明された結果となっております。


余談はこれくらいにして、太陽光発電の普及拡大に伴うリスクとしては、発電設備の耐久性であります。第一に太陽電池の耐久性が問題になります。

今回、各国でPIDと言われる突然の出力低下現象が多発しております。

特に注意が必要なのは、製造工程での安易なコスト軽減や新技術の投入にあります。日本は、製造工程だけではなく、基盤製造工程は基より、原材料に至るまで品質管理を行い、クオリティーの高い製品を製造してまいりましたが、近年、低価格で容易に製造装置が手に入ることで、経験の少ない事業者の台頭により、太陽電池市場の低価格化が進んだことは皆様ご存知のことと思います。

特に、太陽電池のウエハーの厚みは、現在150μくらいまで薄くなり、人の手が触っただけで、クラックが発生する状況となり、表面処理(酸化膜形成)が確りとしてあると、見た目ではμクラックが発見しにくく、これらを発見するには、高電圧をかけて、熱源分布の異状を確認する方法をとりますが、一定時間をかけないと簡単に発見できる物ではありません。
短期の検査(製造ライン)では不可能な検査になります。これらは経験に基づき検証できるのですが、生産を開始した期間が長い会社ほど、技術力は蓄積されており、日本の太陽電池メーカーが国外の会社に買収されたのは、これらの技術を短期に習得する為に買収を行い、その結果、業績を伸ばし、一流企業になったのは、業界の事実なのです。
特に、シリコン太陽電池の絶縁部で使用する反射防止膜の性能いかんでは、PIDは簡単に発生することが予測できます。

今回話題の、独フランホーファー研究所の実験結果は、それらに如実に表した物と評価できるでしょう。

マイクロクラック・反射防止膜クラック・PID(絶縁不良により広がるリーク電流の発生?(ホットスポット+全面剥離))これらは、結晶系が持っているリスクではありますが、高度管理を実施している会社の製品からは、発生を見ることは無いようである。

これらのことから、充分な技術検証がなされている製品には突然発生する出力低下現象が起こりにくく、安易な高効率化や低コスト化を実施した場合には避けて通ることができない問題であることが予測できる。


どんな現象かさえも、知らずに製造されている現場があり、安易な購入には注意が必要であることを、Pveye8月号は私たちに教えている。

 太陽光発電の専門メディアPVeye WEB(ピーブイアイ・ウェブ)

多くの情報雑誌があるので、太陽光発電事業を目指す方は、できるだけ多くの情報を得て、太陽光発電事業を軌道に乗せるべく努力が必要になっているのが今回の買取制度でハッキリと道標が出たことになります。



時間がありましたならば、その他の事にもふれてみたいと思っております。

2012.08 浅川太陽光発電所