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冬期の太陽光発電の運営

風雪時の対策と対応

2013.12.19



昨日、2013年12月18日午前10時より、私の住む北杜市は、山間部を中心に降雪がはじまり、翌日の19日午前8時までの間に、私の所では積雪15センチを記録致しました。今回の降雪に合わせて、太陽電池の設置方法や降雪対策により、固定価格買取制度の充実により、本年度施工された中規模の太陽光発電と、一般家庭の太陽光発電所の両者を、私の発電所と比較してみることにしました。
降雪時の初期の模様(浅川第2・浅川第5)

降雪間もないので、太陽電池が並んでいるのが分かります。
近くにある 中規模太陽光発電所設置  (比較事例)



こちらも、近くにある中規模太陽光発電所なのですが、標高に対しての対策が取られていないので、今回の降雪で積もった雪で発電ができているのやら判断できません。
翌日、19日の朝、自宅の屋根(融雪送水)と物置の屋根(雪下ろし)



雪下ろしと同時に、発電開始、自宅屋根の設置角度28度の積雪も40度のパネル(前面)の発電による発熱により、20分後に落雪(落雪を予測しておかないと、下敷きになるので危険です)降雪が無くなると、通常の曇りの発電量に復帰、これで、積雪による発電停止状態から通常の発電状態になりました。


近くの屋根に設置の太陽光発電システム

雪に埋もれています。
不思議なのは、ほぼ平らな南向きの屋根なのに、何故かしら東西に太陽電池の向きを変えて、設置してあります。
南北に設置した場合と比較して、15%ほど発電量が少なくなるはずですが、どうも、効率の良い太陽電池と言うことで、このような設置になったようです。


積雪対策角度設置の発電所(浅川第5)

降雪が滑り落ちようとしています。
もう少し、温度が上昇すると、自然に落下すると思います。
設置例、もっとも古い太陽電池と、ガラス表面に反射防止措置を採っていない太陽電池システムでは、(浅川第2)


前面、落雪していました。
ガラス表面に加工がしてある部分は、やはり、落雪しにくいようです。  
(メーカーによる)


中規模太陽光発電所(2013.本年秋、稼動)

こちらは、設置角度が降雪対策を取った設置ではないので、確りと太陽電池の上に、雪が積もっていました。(標高が高いので、何日で積雪無くなるか)


☆  安易な施工と、風速・風圧対策を取っていない設置 事故例


県内で、竜巻注意報が発生していた時に、安易な施工をした為に完成間もない50kWシステムの発電所が、風圧により破壊されていました。
見学に行ってまいりましたので、報告したいと思います。
行って、見て驚いたのは、惨憺たる壊れ方と、安易な施工、対風圧構造計算を行ったか不明の組み立て方、それと風の力の大きさに驚かされました。
とりあえず、現地で連絡先を探したのですが、何の表示も無く、誰の所有かが判断できず、自由に立ち入れるようになっている、現場の管理にも驚きました。
電源系統は全て、切ってあったように見受けられましたが、現場の管理体制が余りにも不適切に見えました。


安易な施工により、風圧に耐えきれず、外れかけた太陽電池パネル。


後方には、引き込み柱を用いないで、単管で引き込み柱の変わりをした為に、傾いてしまった接続ボックスと売電メーター(配線が繋がっていると火災の危険もあります)


全体を見回すと
空いている敷地にも単管パイプが立っているので、この部分にも太陽電池パネルが設置されていたことが想像できる。
敷地の角を見てみると、そこには、破壊された太陽電池パネルと、取付け器具が野ざらしに置かれていた。


道路からではあるが、太陽電池パネルが破損して、ガラス等が散乱している様子は無く、的確に反射防止膜フィルムが、ガラスの散乱を防いでいることが確認できました。
明らかな知識不足による施工ミスです。


このような、施工方法の太陽光発電所で、地震に遭遇した場合は壊滅です。
安易な取り付け器具や、安易な施工をすると、大自然の力を受けた場合は、簡単に破壊されてしまいます。
私が指導している単管パイプ架台では、こちらのように取付け器具を、使用した取り付け方は、全て禁止しております。
私どもの、隣にあった単管パイプ架台の、ソーラーシァリングの発電施設は、無事でした。電柱1本離れた、下の農地に設置してあるソーラーシァリングの太陽光発電所は、地上高3メートルあるのに、全く被害は受けていませんでした。こちらは、壊れた発電所と、同じ様に、単管架台を使用していますが、こちらについては、私が技術支援をしておりますので、このくらいの風では壊れません。
2013.12.20天候 曇り時々晴れ、朝、太陽電池見回りに行ってきました。
我が家の物置の屋根は、雪下ろしをしたので、雪はありません。

    物置             お隣さんの屋根には、まだ雪が



左右の太陽電池パネルの上部半分に雪が、融けずに載ったままになっています。


浅川第2発電所           浅川第5発電所
降雪は滑り落ちています。      降雪は滑り落ちています。



どちらも、発電を開始していました。
こちらより、標高で80m高くて、設置角度が10度代の発電所の太陽電池の状態は、まだ雪が積もっている状態で、少し、雪が滑り出している様子が見て取れました。設置角度で降雪の影響を、大きく受けることが見て取れます。


近くの中規模太陽光発電所 2013.12.20. 降雪が太陽電池の上に積もっています。



標高と、降雪がある場所では、最初から設置角度を、考慮した設計思想が必要であることが、ハッキリと判断できます。
太陽光発電所を建設する場合は、建設地の季節条件を把握した設計ができる業者を選ばないと、降雪が重なる地域では、思わぬ大きな発電ロスに繋がります。


因みに、私が係った500kW級の太陽電池パネル設置角度プラス・マイナス5度の発電所は、こちらより標高で300mほど下になるので、19日の午後には雪解けが進み、半分くらいの太陽電池に、降雪が融けずにありましたが、発電を開始しておりました。(標高の力を考慮しました)


本日の屋根のようす。
降雪から3日目、太陽電池パネルの3分の1の面積に積もっています。
今朝は、晴天なので、外気温が高く、プラスの6度、太陽電池の上に降り積もった雪、日中は、気温が上昇するので、屋根の雪も、今日、の日中には、溶けると思われます。
 中規模太陽光発電所にも、行ってきました。やはり気温の上昇と、ともに、太陽電池に降り積もっていた雪が融け出していました。


地表の温度上昇により、太陽電池パネルの融雪が加速されたと思われます。
外気温が低ければ雪は融けずに残ると思われます。
設置角度を調節して、降雪対策を取った場合と比較すると、約2日の違いがあるのを確認することができました。
やはり、太陽光発電所開設時には、地域特性を考慮した設計が必要です。
安易な施工や、安易な取り付け器具を使用すると、自然の力に負けてしまい思わぬ出費を招くことになります。
施工業者も、発注者も、設置者も、もう少し、自然に敬意を祓って、謙虚に、太陽光発電所建設に臨むべきである。



浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男2013.12.21



追伸・乱筆、乱文はご容赦願います。