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北杜市内の太陽光発電所 注意箇所調査

2014.04
浅川太陽光発電所発

※市内各地に点在する発電施設の危険性


市内には、太陽光を充分確保するために、山腹に太陽電池を設置する業者もあり、それらの設置場所には、排水路設備が無く、山腹からの土砂流失が懸念されます。   急傾斜地設置例






また、系統連系地点までの距離があるため、地面に、野ざらし、配電をしており、事故の発生も懸念される施設もあり、設置者のモラルや、施工業者の安全管理義務を蔑ろにした配線等があり、太陽光発電所の設置設計をアドバイスしている私としては、信じられない業者がいる事が判明し、困惑しております。


土砂流出の恐れがある南向き傾斜地造成と地べた露出配線
造成地土砂流出止め無しの、放置造成



200m以上の野ざらし配線の実態  違法配線例  法律違反です。
造成規模からすると、これから本格的設置が始まると思われるが、電気事業法上違法な配線方法で危険な、野ざらし地面配線です。
野生動物が、多いので、野ネズミ等の格好の餌食になる配電線になります。
雷による誘導雷の発生や、食害等で感電事故(短絡)が発生すると、山林火災にまで発展する配線なので、保安規定や消防法にも違反する配線事例です。


市内には、高圧連系をせずに低圧連系で複数設置の大規模面積の太陽光発電施設においても、排水路施設が無く、雨水や土砂の流失が懸念される施設が点在しております。
限られた、施設面積で最大限の発電をと考えるのは良いのですが、発電面積を確保するあまり、太陽光発電所周囲への配慮が無い施設が点在するのも事実で、
近年、急速に発達する低気圧により、ゲリラ豪雨や豪雪にみまわれる事が多くなってきており、これらの自然現象に対応した対策が必要になってきていますが、安価な設備投資のために、太陽光発電所周囲への配慮が無いのが実態です。
造成時の配慮については先ほど申し上げましたので、実際を御覧いただきましょう。   排水設備無しの広範囲設置例



総出力400kW以上が設置されている太陽光発電所ですが、雨水に関しての配慮が成されてなく、施設内には排水路は見当たらないため、地形から横を走る市道へ雨水の流れ出しが予測できる。太陽電池設置面積と同じ雨水の流出があると予想されるので、集中豪雨時の場合、市道は、大量の出水が予想される。


河川に沿うように配置された太陽光発電用基礎が見えますが、河川への配慮は無く、土砂の流失があれば全て河川に流れ込み、下流域に土砂汚染を引き起こし、生態系への影響もある。
流木等により、河川をせき止めることにも繋がるので、確りと、土砂の流失を止める造成工事が望まれます。



豪雨時には、小さな小川も川幅が広がるので、法面の処理は正しく行わないと流出崩落の危険性に見舞われる恐れがある。
流域面積を軽視した、河川に面した造成工事例です。


※全ての場所が、ベスト条件設置場所ではありません。


地下水の湧き出しがある場所では、このようにコンクリート基礎を設置した場合は、アースの接地事故が予想されますので、注意が必要です。
冬期においては、凍結による地盤の隆起が発生する場合があるので、速やかに湧水の排水路を確保して、地盤の隆起をおこさせないように、排水路の設備が
必要になります。

今回の、調査で一番気になったのが、排水設備です。


私たちは、広い面積に太陽光発電施設を設置する場合に、一番、最初に注意することは、雨水の処理をどのようにするかです。
太陽電池が設置されている所は、雨水の浸透が無いわけで、全て流水になることです。太陽電池パネルの枚数があればあるほど、太陽光発電設備の敷地に大きな屋根を掛けているのと同じことになり、そこに降った雨は、浸透することなく、流れ出すことを、今一度、思い浮べていただければ、豪雨の時の流量が大量になることが判断でき、河川の無い所に川が出現することになるのです。



こちらの写真のように一部、防草シート等を使用している造成地がありましたが、こちらも排水路の設備が無いために、豪雨等の場合、造成地からの土砂流出は防ぐことは出来ません。これから、さらに増設するようなので、早期に両法面の形成を行い、法面に草の種等を散布して、法面からの土砂崩れを防ぐ工事が求められます。
両側の造成地から道路に向かって、豪雨時には水路が形成され、土砂の流出をまねくことになる。


気候変動に関する政府間パネル IPCC


IPCCが近年、地球気象変動の激化を注視している事を、みなさんご存知でしょうか?
今回の、甲信地方を襲った短期での豪雪は、急増する太陽光発電所に対して、大きな教訓を与えてくれました。
冬期は、豪雪、夏季や雨期は、ゲリラ豪雨の可能性が極端に高くなり、今まで、被害の無かった処でも、被災する事を教えています。
JAXAが打ち上げたGPM主衛星(降雨量観測衛星)がなぜ必要だったのかそれは、IPCCが警告していた地球温暖化による気候変動が始まり、今までの観測態勢では、警報を発信するのに時間差があり、被害が発生してから警報が出ると言った遅れた物ではなく、前もって予測可能な物でないと、大規模な気象変動には対策の、立てようが無いことをある意味示唆しているのです。
今回、私たちの周りに沢山の発電所が出現していますが、気象変動にまで対応して、安全確保をしている施設は、ごく少数で、かなりの強度をもって、造られている発電所でも、豪雪の被害を受けていましたので、河川に面した、こちらのような造成は、注意が必要だと思われます。



こちらは、河川に面した場所の法面の様子です。
やはり、法面形成がされていないので、大量の雨水により、法面の崩落が発生しやすい造成法面となっています。



こちらは、高さ1m以上ある裏面ですが、既に自然崩落が発生しているので早期に、法面形成を行うか、被服のために法面に芝の種等を散布して、崩落を防止する措置が求められる。


こちらは、置基礎の面積が小さいために、豪雪の影響を受けて、太陽電池架台が歪んでしまったようすです。



大きな、基礎を用意しても思わぬ被害を受けてしまう事もります。



基礎面積が小さすぎて、太い部材であっても曲げてしまった豪雪の力





今回は、太陽光発電所工事未経験と思われる業者や、造成工事未経験と思われる業者の施工事業なのか、造成費を安価で行ったために、地盤や法面形成まで手が回らなかったのか、それとも施主の指示なのか、予想を超して、降り積もった豪雪は、私たち太陽光発電所を経営する事業主に、『 自然を甘く見るな!! 』
の教訓を与え、見返りは、高い物に付くと教えているようです。


また、法律の隙間を利用した、系統連系低圧の条件を悪用したと思われる造成工事が目立っているのも事実で、事故が発生しないことを祈るのみです。


行政の指導をと言われる方がありますが、行政指導の対象にならない方法での太陽光発電所設置を行う業者や事業者が、あり、発電所の所有者名もわからない小規模発電所があり、せめて、連絡先くらいは届け出てほしいところです。
(一部の事業者は、届け出ているが、不明瞭のものがあるようです)
このような、現状があることをお知らせ致しまして、報告とさせていただきます。


今回は、固定価格買取制度で、発電をした電気を国が買い取るわけですから、発電設備所有者は、事業となりますので、発電場所においての全ての責任を負うことになりますので、事故等の処理は、全て事業者が責任を持って行うことが前提になっておりますので、知らなかったは通用致しません。


また、今回、事業取り消し対象となっている一部の業者の中には、今回の買取り価格を維持するために、法的処置と銘打ち、契約を迫る業者もいるようなので、事業主を目指す方は注意が必要です。
事業者は、その事業により発生した問題に付いて、全ての責任を負うのが事業者であることを心得て、いなくてはなりません。
(期間は問題にならないので注意が必要です)

浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
2014.04

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