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太陽光発電所増加にstop !(ストップ)?

太陽光の売電増 「東電 新規送電を制約」?

日本一の、日照時間をほこる北杜市と、山梨県内に衝撃が走った。
2014年(平成26年)8月7日山梨日日新聞の一面に、以下の記事が掲載された。

今回の、記事については、伝えきれていない部分が有り、私なりに、新聞記事が伝えられなかった部分と、さらに、この記事の詳細について、御伝えして、多くの自然エネルギー推進を考えている方々にも、一緒に今回の問題について考えていただきたいと、この文章を作成しております。

問題  1. なぜ、太陽光発電所からの売電を制約するのか
    2. どのように解決すれば良いのか
    3. 今後の対所・対応は

以上
これらについて、検証して行きたいと思います。

1. 何故、太陽光発電所からの売電を制約するのかについては、じつは、私どもが、太陽光発電を開始した、20年前からの課題問題になっていたことなのです。



同一箇所で、集中して、住宅用太陽光発電を設置した場合、供給点が複数重なると、売電ができなくなる現象が有り、これらは、供給点を変えたり、パワーコンデショナーの運転方法を変えることで、住宅用については、対応ができるのですが、今回の固定価格買取制度においては、メガソーラー(M(メガ))でも小規模の高圧連系(6,600V)や低圧連系の小規模集中型(50kW以下)や小規模(50kW以下)の分散型低圧連系が急増し、驚異的なスピードで設置されたために、配電用変電所管内の消費規模では、消費できないほどの逆潮流(逆流する電気)が発生し、配電用変電所の機能では逆潮できないシステムとなっている構造が、現状では配電用発電所から中間変電所(逆潮機能無し)にまで逆潮が起きているようである。
下の基幹配電図をご確認ください。(ネットより転写)



配電網は、このようになっており、超高圧変電所と一次変電所間の間では、電力のやり取りが可能なシステムになっており、また、一次変電所間の間でも、変電所間での電力のやり取りは可能になっています。大規模(3M以上)メガソーラー発電所は、66,000V(66kV)の特別高圧連系となり、大規模メガソーラー発電所から電力は、特別高圧連系の一次変電所間で、やり取りができますが、一次変電所から中間変電所(22,000V)以降の配電用変電所(6,600V)では逆潮流できないシステムとなっております。これにともない、メガソーラー発電所(3M以下)の連系点は、高圧連系(6,600V)ですので、中間変電所や配電用変電所の間では、電力の逆潮流、この場合は6,600Vから22,000Vへの逆流(逆潮)はできないことになり、配電用変電所管内の消費量範囲内であれば、各家庭や工場等の間で消費量に合わせて、配電できたのですが、配電量(消費量)よりも逆潮(太陽光発電所等からの電力供給)が大幅に増大し、中間変電所網への逆潮が始まりつつあり、問題になり、今回の制約報道につながったと思われます。
系統連系の制約については、北杜市内では2012年から問題になっており、固定価格買取制度2年目からは、東京電力に対して、系統連系の申請をしても半月以上待たされるのは、あたり前のという予兆が有り、この時点で、私のホームページでは、皆様にお知らせ致しました。
2013年2014年と一般の方から、分散型太陽光発電所の系統連系(50kW以下)の申請を電力会社に相談しても電力網回線が一杯なのでと言われたとか、2014年には系統連携したければ、必要費用(施設設置費約数千万円)を自前で用意してくださいと言われました。どうすればの相談が多数有りましたが、一般の方は、電力網の仕組みを調べずに申請していることが多く、事業者としての勉強不足であることを、御知らせするに至っております。実際には、電気事業者としての登録IDをもらったが、電力会社の電力網が一杯なので、系統連系を先に延ばしてくださいとか、太陽光発電所の設置工事は終了したが、連系はもう少しのばしてくださいと言う事態が発生したので、今回の報道になったと言えます。
私の知る限りでは、高圧連系での連系希望者は、許容量の倍近い発電事業の事業者による連系申請が有り、2013年度において、北杜市内では新規送電制約が、始まっていた、と言っても過言では有りません。太陽光発電の条件に適している場所は、多くの業者が早い時期に事業IDを申請しており、申請順に事業IDが降りますので、早い者勝ちの様相を呈しており、このような電力網の宿命から制約が懸かってくるのは当初から予測できました。

2. どのように解決すれば良いのか



解決策は、どのように解決すれば良いのかと言うことになりますが、その方法が無いわけではなく、先ほどの電力網の図をご確認下さい。
一次変電所と発電所又は、一次変電所同士は交互にやり取りが可能であると、言う説明を思い出してください。
配電用変電所の容量が一杯になり逆潮を起こしたのであれば、これらの変電所を繋ぐラインを新設し、逆潮可能な変電所(一次変電所)を中間変電所に増設すれば、技術的には安定し、逆潮流が可能になります。
この場合、一次変電所と新設変電所(一次変電所機能)の間に電力ラインを新設しなくてはなりませんので、ここで資金が必要になることになり、原発の処理を行っている東電には資金が無いとして、需要家(この場合は太陽光発電所事業者)に必要経費の請求が来る訳です。(系統連経費は別)
この場合は、66kV(特別高圧連系)の送電網と変電所設備となるので、1km当り約1.4億円と変電設備費用(約1億円)となりますので、多くのメガソーラーで施設規模を3M以内として、施設の連系費用が少なくて済む6,600Vへの高圧連系を選択することになるのは、納得がゆきます。


○ 対策

逆潮用変電所建設には、太陽光発電設備費と変電設備費で約2.4億円とですから、とうてい一事業社では対応が不可能になりますので、多くの発電事業者の協力が必要になり、事業用中小発電所をまとめた企業体を設置して、対応に当たる方法がベストです。
しかし、この場合、制約が生じるのが電気事業法と電力分社化の問題です。
発電部門と送電部門を分離して、電力の自由化をと言う問題と、相反するのと、国内を大きく9ブロックに分離して、独占的権利を確立している電気事業法とが、互いに網をかけてくることになり、複雑な説明になるので、この場では省き、これらの問題を現状で解決する方法を紹介することにします。


方法としては、太陽光発電等からの大規模余剰電力(逆潮)をいったん蓄電池に貯蔵して、平均的に供給するシステムを配電用変電所の近くに設置する方法が既に、実証研究に入っています。これも、逆潮用一次変電所の建設コストからすると、若干設置コストが心配になりますが、ある程度コスト軽減になることは確実で、多くの方法を試して、分散型太陽光発電や自然エネルギー利用発電システムから逆潮(売電)が容易になるような、設置支援をする法的措置が必要になって来ていることを御知らせ致します。
ここまでが、事業用の太陽光発電等の自然エネルギーを利用した発電所からの安定売電方法について、簡単に説明させていただきました。

3. 今後の対所・対応は



では、現状をどのように考えるかと言いますと、小規模分散型(50kW以下)は、系統に影響を及ぼすことが少ない配線方法、現在使われている単相三線ではなく、15kWを超える物は、三相三線(動力線)を利用することを押し進める。小規模の物には単相三線で対応する。
50kWを超える場合は、三相三線(高圧連系)を利用する。
これらの対所により、ある程度設備経費が抑えられ、パワーコンデショナーの寿命も安定することに繋がり、系統の安定化にも寄与する。


ここで、忘れていると思われている家庭用についてと、小規模についての規制について書いておこう。


一般住宅の太陽光発電設備については、このような規制はかけていないので安心してください。新築で供給と売電を同時に申請したり、既築住宅に新たに太陽光発電を設置する申請についても、規制の対象にはなっていないようです。


工場や倉庫、モール等の大屋根については、要相談で事前協議が必要になりますので、計画が立ち上がった時点で、電力会社に事前協議を申込ながら、事業IDの取得も同時進行で申請書類を作成し、系統連系(売電)の可能な協議結果がでた時点で事業IDを取得しても大丈夫だと思われます。
競争になるような場合は、事業IDを先に取得して、系統連系の協議に入る方もおられるようなので、とりあえずは、電力会社に相談することを御勧め致します。このように複雑なので、太陽光発電設置業者に頼む場合もあると思われますが、一度は事業者計画者、自身で問い合わせることを御勧め致します。


電力事業の場合、停電は有ってはならないことなので、停電をしないシステムを組上げてあり、ボトムダウンのシャワー方式で配電網が形成されているのが日本型配電網なのです。この配電網は管理がしやすいのが特徴でしたが、電力大量消費の時代にともない、主要幹線のループ化をはかり安定供給を目指しました、このループ化によリ、ループで繋がっている各箇所の電圧を安定することで部分短絡を回避でき、電力の安定供給が可能になります。
このシステムに今回は、太陽光発電所からの電力逆潮流が流れ込み、各ループ間の電圧上昇と、配電用変電所からの大量逆潮流に繋がったと思われます。


「各電力会社は、再生可能エネルギー利用をとなえている政府に協力して、できるだけ早急に、各配電用変電所のループ化と、一次変電所への逆潮可能なシステムを組上げることが求められている。」


再生可能エネルギー利用で得られた電力を安定的に電力網に供給するには、技術的問題もあるが、各電力網を連結することで、日本列島は大きく二分することになり、大きな市場を形成することで更なる電力網の強化を図り、各産業に安定した、電力を安価で供給できるようにする必要があり、将来的には、統一した周波数を利用できることが求められるが、統一してしまうと失われる技術もあるので、一概に統一は語ることはできない。
日本の国土は、急峻で平野部は産業用地と居住地に使用され残りが農地等に利用されており、これが山間部に近づくにと農地利用が広がりますが、現在では農地利用よりも荒廃した農地が増加している。これら使わなくなった土地を効率よく利用するには、再生可能エネルギー利用に振り向け、安定した産業基盤をバランス良く開拓することが求められている。現在、旧式になって来ている配電線網のシステムの近代化をここで行わないと、新規の産業改革には繋がらず、衰退への坂道を転がることになってしまう。


各電力会社は、福島第一原発で失敗した、惨事を繰り返さないためにも、安全安心の電力供給を再生可能エネルギー利用で目指さなくてはならない。
特に、現在、衰退傾向にある農業部門の基礎収入としての再生エネルギー利用発電分野の開拓により、安定供給の道を開くことは可能で、この分野への電力会社の支援として、発電事業を農業と一緒に行うことは必須になってきている。
又、他の産業、特に、自動車産業との連系において、都市部でのEVカーの導入と住宅と組み合わせた、EVカーの新しい使用方法による電力網の安定使用に寄与する電力網の構築等、すべき技術と、獲得すべき技術は早急に実現すべきで、この分野での飛躍が、今後の自動車産業の展望を示すことになる。
再生可能エネルギー利用発電と、各電力会社は連係して新しいエネルギー利用の道筋を開くことで、太陽光発電が新しい市場を開拓したように、再生可能エネルギー利用を行うことで、新しい市場を開拓できる時期にきている。今後の展望としては、多様性を持ったエネルギー利用ネットワーク網の、国内構築が日本の産業に求められていると言っても過言ではないと思われるので、各企業とも、これからの経営戦略において、エネルギーの効率利用の必要性は、今以上に大切な事業となりうることを忘れてはならない。

2014.08
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男



この文章は、個人の見解により作成されているので、解釈に注意し、詳細については、各自が、今一度ご確認下さい。誤字・脱字等については、一笑にふして下さい。