HOME > News > 太陽光発電所の事故と温度変化

太陽光発電所の事故と温度変化

電磁波と動物・20年目の点検 2016

ここでは、太陽電池について、確認されていることについて、お知らせ致します。
太陽電池から製造時に使用した、重金属や希土類が、時間経過とともに溶け出すのではと、心配している方々がおられますが、太陽電池の表面処理は、分子的に安定しているので、通常の火災程度では、溶け出すことはありません。
太陽電池を保護しているラミネート材(EVフィルム)、配線等は、火災時は燃えます。
通常の住宅火災現場で確認したところ、太陽電池の枠であるアルミフレームは消失し、太陽電池自体は、熱膨張により、破損し砕けますが、溶け出した太陽電池片は、確認できませんでした。(2000年火災現場にて確認(多結晶))

電磁波と動物 

(参考画像はネット画像を使用)
太陽電池が電磁波を発生させ
動物が太陽光発電所に
近付かないほどの電磁波が出ている
と言う方は、これらの写真が
合成だとも言うのでしょうか?




鳥類が、私たちが見学者を案内する際
メガソーラー発電所内を歩き回っている
様子を良く目にします。
私たちの生活は、常に電磁波の中にあり
ある面、電磁波で満たされています。




ヨーロッパでは、当初から牧場の空間を利用した放牧型の太陽光発電所が設置され
動物への影響が無いことが知られています。
羊の放牧がなされていました。


日本国内のメガソーラー発電所や
個人発電所の除草のために動物(羊)を太陽光発電所内で飼育する様子を見ることかで来ます。(ヤギは、高所に登るので注意)
動物が近付か無いほどの電磁波を出す施設は、マイクロウエーブの中継塔くらいの出力が必要で、ほとんどの太陽光発電施設においては、高出力の電磁波を出すのは、パワーコンデショナーのスイッチグや冷却ファン・音です。皆さんが使用する携帯電話と同等の電波電磁波や家庭用のブラウン管テレビや電子レンジと同等のレベルと言っても良いでしょう。ただ大型の物、例えばメガソーラーの発電施設は別になります。
メガでなくても、100kW・250kW・500kWのパワーコンデショナーからは
大きな音(ノイズ)を運転中発生させることがあります。


こちらの屋根では、セキレイが住着き
太陽電池の隙間を飛び回っています。
多くの太陽電池を屋上や、大屋根に設置しているところでは
セキレイを見かけることが多々あります。こちらの屋根では、その他にカラスによるクルミ爆撃で、点検で一周すると沢山のクルミの殻が太陽電池の上や隙間に転がっているのを見ることができます。太陽電池から動物を寄せ付けないほどの電磁波が出ていると言う方、これらの事実どう考えますか。
電磁波が出ていると言うことに対して、誤解があるようなので、説明しますが
私たちが浴びている、光りも電磁波の一種です。
私たちの体からも、電磁波で出ています。赤外線が放出されており、それを感知して、一部の蛇は攻撃してくる物もあります。(例=ガラガラヘビ・ハブ等)
私たちの視覚では、三原色をもとにした色彩感覚で、周りの世界を見ていますが、動物や昆虫や鳥類、は虫類、魚類等は、私たちの色彩感覚とは別の電磁波を利用して、生活していることを知る必要があります。
太陽光発電から電磁波が出ている言う方は、電磁波の種類、出力まで提示してお話をすべきです。


○太陽電池から出る電磁波を見る(サーモグラフィ使用写真)

今回、設置後22年経過の太陽光発電施設の点検に同席することができましたので、その時の様子をお知らせ致します。
外観上は、全く問題なく、電流・電圧・抵抗・受光時の発電状況問題無し。
前回、点検時に、集電ボックス内の金属腐食を確認し、取り替えを実施し、その後の確認調査に同行し、電磁波状態を確認致しました。


写真1
_


こちらは、通常の写真、オレンジに見えるのは温度感知写真、電磁波を見ると言うのは、こう言うことです。太陽電池自体は、半導体ですので大きな負荷を与えない限り、電磁波(ノイズ)を自ら発生することはありません。太陽電池からの電力を私たちが必要とする交流に変換する部分では、電磁ノイズや電磁パルスは発生しますが、生活環境レベルを悪化させるほどの物ではありません。携帯電話や、ご家庭の電子レンジ又は、IH調理器具よりは少ないか、同等に管理されています。(磁力線・ノイズやパルス音等で確認できる)。


写真2
_


このように、写真2では、木の影でさえ、視覚を変えると電磁波が出ている様子を確認できます。左右同じ所を、視覚を変え、温度が見えるようにすると
木の影の方が、太陽電池より高温になっているのが判断できます。
太陽電池の周囲の生け垣や、垣根、法面(土手)の温度と同じ温度を表しています。
このように、通常は、太陽電池は、主に外気温と同じ温度で発電します。
(こちらの写真で、型式の違う太陽電池がありますが、これは、当初、太陽電池が珍しい時期に、駐車場の正面の土手に設置したため、駐車場からの投石により破損した太陽電池を交換した物です。(心ない人によるガラスの強度確認))


太陽電池は、夏場の高温時は、周囲の温度と太陽からの比熱がプラス(蓄熱)されますが、コンクリートや砂利・舗装道路のような温度上昇や保温効果は少なく、一般住宅の金属屋根よりは、太陽電池の温度上昇は低い値になります。
これらのことから、住宅の屋根に太陽電池を設置すると、夏季は、住宅内部の温度を下げ、冬期は冷気を遮断する効果も発生します。


冬期は、ほとんど外気気温と同じ状態で発電していますが、夏季・冬期ともストレスや異状部分があるとその部分は、周囲と比べて高温になります。

○ストレス異状



高電圧を使用する場合は、ストレス部分においては、発火点まで上昇することがありますので、太陽電池のストレスチェックは重要な点検項目になります。
こちらの写真は、当初より予測されていた、太陽電池の発火現象です。2000年製の逆輸入(米製)
当初から、製作行程に疑問がありましたが、価格で導入を決定した結果がこのような発火現象まで確認することとなりました。(2012年確認)


発火については、どのくらい延焼するかを確認するために、放置しましたが、不燃性の粗材により、ケーブル被服のみが燃焼し、火災までにはなりませんでした。(集電ボックス)
太陽電池は、600V使用でしたが300Vで発電をした結果、このような現象になり、メーカに改善を即し、直ちに対策がとられたのを覚えております。


太陽電池は、金属とガラスが主要部品ですが、数種類の被服粗材でも構成されており、太陽電池部分は150μほどの厚さになりますので、発熱したとしてもごくわずかで、発電中、太陽電池全体を暖めることは難しく、もし、発電しながら発熱をした場合は、発電能力が著しく低下するのが立証されています。


多くの場合、発熱・発火現象を起こす部位は、太陽電池本体ではなく、配線部の不具合や、集電部・ケーブル接合点での発火現象が確認できています。


200V接合では、発火に至らなくとも、長年点検を怠っている場合は要注意です。
設置後20年を経過した、お宅の太陽電池を撤去した時に、工事に使用していた配線が、長年の摩擦により、短絡して、金属屋根に穴が開いているのを確認しました。こちらの写真、正しい配線と企画配線であったとしても、摩擦には勝てないことや、小動物のクチバシや齧歯類の鋭い歯により、ケーブルは損もありますので確認することをお勧め致します
_
左の写真は、鳥類によるもの、右の写真は長年の摩擦によりケープル被服が破損し、屋根に短絡し、金属屋根に穴が開いている様子です。

○短絡

ケーブルを固定していた、ロックバンドが経年劣化により切れて、配線ケーブルが屋根に長年直接接触し、ケーブル被服を破損して短絡したと思われる。
ロックバンドを使用する場合は、気温変化を考慮したロックにするか、バインド線に切り替えて、気温変化による伸縮を乗り切らないと、これらの事故はこれから多発すると思います。

○集電ボックス

金属の屋外集電ボックスは、風雨や寒暖に曝されますので、ボックス内部の結露は相当の物になります。
_
拡大すると、この様に、結露により、腐食や錆が発生して、短絡一歩前です。
こちらは、器機を全て交換し、配線を新しい物に変えました。
20年間、風雨や寒暖に曝されると、端子台やビスが錆びてくることもあるので
安全確認が必要であることが判ります。

○ 短絡600V送電 (発電から3年目)

こちらの写真を御覧ください。600V送電の集電ボックス内での短絡事故。
_
原因は、工事中での業者の入れ替えによる工事規定の周知確認不備でした。
600Vでの配線であるから、圧着端子→防水処理→自固融着テープ→絶縁テープとなるはずでしたが、基本の防水処理が抜けているために発生していました。一部家庭配線と同じ端子を使用していたため、事故後の総点検時に、全て高圧に耐える物であるかを確認し、必要な処理を行いました。
_

_
かなりの重装備になりました。
完成時検査では、発電状況の確認が重点になりますので、工事点検は電気工事業者が行っていたため、高電圧時の処理を怠ったためでした。
この教訓から、完成時検査は、全ての配線接合を再確認し、安全基準に従って工事が完了されているか、再確認を行っています。


最近、20年前の、工事業者の安全への取り組みや考え方が、現在の業者より確りしていたことが、太陽光発電所の撤去・移設作業時に確認できることが多々あります。経費節減と安全管理どちらも必要ですが、自分の仕事に責任を持てる仕事であることが、長期運転の秘訣であることを所有者・運営者は肝に銘じる必要があります。

2016/11