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太陽光発電の10年を顧みて
(1993〜2003)
浅川太陽光発電所

 2004 年は、太陽光発電を自宅にと考え始めてから振り返ると10年が経過し、いつの間にか棚には、10年間の懐かしい資料が沢山押し込められ、棚一杯になっていました。新年の初めは、懐かしい資料整理を行い、棚に新しい空間を作り研究を続けようと資料を片付けていると懐かしい資料とともに、太陽光発電の発電状態を随時記録した資料が出てまいりました。これは、東京電力のコンテ(1997年〜1999年)に参加したときの研究記録と実証資料・研究成果で、ある程度まとめてありインターネット(太陽光発電普及協会のホームページ)上で発表したものです。内容を確認したところ現在でも十分参考になり、太陽光発電中のインバータの制御情況を表しており、気象変化に対しての動きや働きをしっかりと説明している思いますので、今回、古い資料ですが発表いたします。

  研究課題     「太陽光発電の実用性に関する研究」
委託研究課題     「中規模太陽光発電の実用性に関する研究」
           (発電システムとインバータの特徴)

レポートはこちら

また上記の研究発表とは別に10年間の太陽光発電実施の実績から次の項目について、今一度確認するとともに、10年前を振り返って見たいと思います。

  1. 「太陽電池をどのくらいつなげた場合が最も発電に適しているか」
  2. 「太陽電池の寿命は、太陽電池の種類を複数組み合わせた場合の発電情況は」

上記の内容についても、私なりの見解を公表いたします。

  1. 太陽電池をどのくらいつなげた場合が最も発電に適しているか
     当初、太陽電池を始めて手にした私は、車のバッテリー的感覚で、バッテリーに蓄電するだけの太陽電池があれば、一定時間家庭用電源として使用可能と安易な考えで、太陽光発電を始めようと考えておりました。しかし、実際に100Vに変えて使ってみると、テレビやラジオは良いのですが、モーターを使用する家電製品は動きませんでした。
    実際の電力を測定しますと100Vあるのですが、モーターが回りません。
    少し回転方向に力を加えてやると回りだしましたが、反転させるとすぐに止まりました。
    電気の力(電圧)が足りないのがハッキリしましたので、システムの容量を増やせば良いと考え、増やしましたが、今度はインバータ(直流から交流へ)がもちませんでした。
    そんな経緯があり、電源としてはハム(アマチュア無線)ができれば良いと考え、太陽電池は非常用として、物置きの中に眠りました。しかし、技術の進歩は素早く、家庭用の太陽光発電システムの販売が予定されていることが判明、やってみたいと思っていたことが実現できるの思いから、住居新築を機会に導入を決定。しかし、太陽電池を個人に対して大量に販売してくれる会社はありませんでした。1W当の単価が2,000円以上していたのです。住宅用太陽電池の当初の販売予定価格は太陽電池3kWで600万円以上、インバータは250万以上両者を合わせ取付まで考えると1,000万円以上の設置価格が必要でした。私の計画はこの時点で予算オーバーとなり、断念いたしました。
    1993年正月、一度は断念した太陽光発電を取り入れた住宅建設に着手することを決定
    し、準備作業に取りかかる。1軒の住宅の電気を全てまかなうには、太陽光発電では最低2kW以上が必要で、モーターを使うものが多い場合は、さらに必要となる事が解っていましたので、さらに1kW増やし合計3kWの太陽光発電所を立ち上げる計画にしました。電力会社、関係各機関の窓口に必要となる手順などを確認すると、何処の窓口でも一笑にふされ、真面目に取り合っていただくまでに時間がかかりました。
    まず、電力会社の窓口で言われた事は、3kWもの太陽電池を実際に購入できるのか、太陽電池を購入する価格で電気を購入すれば現在の価格では、30年以上の電気が買えますよ、今一度太陽光発電導入を考え直されてはいかがでしょうか。もし実際に導入を考えているならば、建物の設計図と場所を確認させて下さい。とりあえず設計図と契約書ができてからもう一度検討しましょうと言うものでした。これで、ある面吹っ切れた部分があり、太陽光発電の心臓部であるインバータ探しに一層の力が入る。
    93年12月自家用発電設備取り付け可能な住宅設計図完成、94年から工事にかかる。
    平成6年9月関東通商産業局より浅川太陽光発電所承認される。
     9月より太陽光発電システム工事に取りかかり、太陽電池の電圧をどの位にするか迷ったあげく、過去の実験結果からとインバータ開発者の佐藤氏との数回の打ち合わせ協議の結果、当初は、太陽電池の電圧を180Vくらいでインバータの運転を考えて設計されていましたが、実験を重ねて行くうちに200V以上が好ましい事が判明いたしました。直流200Vの設計にし太陽電池の枚数を12直列の4回路48枚で発電開始、正式に系統連系する前に発電実験をかねて、12月に入り建設中の住宅工事の電力を日中全て太陽光発電より供給し、インバ−タの性能テストを行う。結果は、予定以上の性能を示し、十分満足の行く発電状態を確認できた。実験中、住宅内部の消費電圧が少ないと系統連系時の電圧に負けてしまい、思っている以上に発電が制限される事が判明。住宅内で電子レンジを使用した時に発電が沢山行われる事が解り、電力会社立ち会いのもとで住宅内消費実験を行い電力会社に柱上変圧器の電圧調節の必要性を実感していただき、電力会社の柱上変圧器(トランス)の調整をしていただくと、予想をはるかに上回る試験運転となりました。また、工事中の給電であったため、工事関係者による作業ミスから頻繁に短絡事故が発生、通常のブレーカーでは検知不能の放電がインバータの保護回路により見知され、インバータの自動停止と自動復旧の実験が自動的に行われた。予想以上の性能に驚いた。

    浅川第2太陽光発電所では、200Vで発電を行った場合の限界点が太陽電池総出力10kW超えた付近にある事が判明いたしましたが、この限界点は長期の実験結果から、送電線の面積による抵抗の増減である事が実験結果より確認されております。
    太陽電池からの出力電圧は、実際はどのくらいが一番効率が良いかの問題につきましては
    インバータ(直流電流からから交流電流変換機)の性能が一般家電製品となっているために太陽電池からの直流電流200Vでの出力が安全な数値と言えると思います。
    太陽電池とインバータの性能を上げるには、現在浅川第3、第4太陽光発電所で実験中の出力300Vで太陽電池から発電しますと性能の向上がある事を確認してておりますが、一般家庭で300Vを使用する事は危険が伴いますので実際にはお薦めできません。


  2. 「太陽電池の寿命は、太陽電池の種類を複数組み合わせた場合の発電情況は」

晴天日の安定発電状況
クリックすると大きく表示します。

晴天日の安定発電情況の図を見ていただくと解りますが、発電開始から10時までと、2時頃から発電終了までは滑らかな弧を(発電量が少ないため)描き、10時以降午後2時頃までは滑らかな弧になっておりません。これは、インバータに接続している太陽電池からの出力が一定でないことを表しており、インバータの電圧制御プログラムにより、最適電圧を常に検知して作動しているために現れた現象です。種類の違う太陽電池を組み合わせて使う場合は、太陽電池の特性がそれぞれ違うので、太陽電池ごとの最大電力が違い、同じ出力パターンが表れず、ピーク出力パーターンが重なりあう事になります。このような場合は、最大電力追尾を備え常に最適電圧を確認しながら作動する事が重要になります。このようなプログラムが一般家庭のインバータに組み込まれたならば、太陽電池の種類を複数組み合わせた発電が可能となり、インバータの寿命を長くする事になると思います。
 「太陽陽電池の寿命は」の質問をよく受ける事がありますが、浅川太陽光発電所で実験に使用している太陽電池は、製造後20年以上経っているにも拘わらず出力低下も起こさずに発電を続けています。太陽電池の寿命は、化学的変化の酸化作用の進行状態により、安定したり不安定になります。一般的に考えると単結晶の物ほど安定して、アモルファス結晶に近いほど安定しないと考えられています。しかし、太陽電池(セル)の表面処理方法により劣化作用がある事も確認されています。これら2つの場合も、太陽電池が一般生産され始めて、間も無いために実証経験が少ないのが現状です。太陽電池自体は硝子と充填材と保護幕によりサンドイッチ状態になっていて、酸素の供給が断たれた状態で製品となっているのですが、化学的に不安定な状態の結晶は、酸素の供給が断たれた状態であっても化学的変化が進行し出力低下につながる事が予測できます。又、太陽電池メーカーのセルの処理工程において、シリコン等の表面処理方法により、太陽の光を捕らえる波長の違いにより、太陽電池の出力変動が起こる場合もあります。今は、一般家庭に導入され、それぞれの条件が違う場所で、発電を行い実証経験を積んでいる期間と考える事もできます。当初の太陽電池保証期限は20年でしたが現在は10年になっているようです。
冒頭説明しましたように、しっかりとした物を作っておけば、10年や20年では壊れる事が無いのが太陽電池と言えるでしょう。近頃、太陽電池が不要になった場合に産業廃棄物として処理方法を考えておく必要があるのではないかとの質問もありますが、私どもは、個人、法人、を問わず不必要になった太陽電池は(物理的に破損している物を除き)再利用が可能なので、原則無料(運搬費は別途)で引き取る事にしています。太陽電池としての作動が確認できる物は全て利用いたします。又各太陽電池生産メーカーも不要となった太陽電池は製造責任がありますし、ISO14001があるので不要太陽電池の引き取りを行うはずですし、破損した太陽電池は分解すれば再資源として利用できます。 引き取りを拒めばEUでは環境保全に協力しない企業とみなされ商売できません。
太陽電池は、再循環システムに取り入れやすく、繰り返し使用する事で環境保全につながり、太陽電池としての製品寿命より再循環システム寿命を考えると資源としても有望で、太陽電池自身の寿命も延ばす事につながると思います。

 太陽電池を設置した場合の環境変化や日陰部分の利用や、効果については違う機会にまとめて発表したいと思っております。

浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
2004.01.15

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