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 「自然エネルギー利用発電阻害要因」
住宅用太陽光発電の危機

 私ども太陽光発電普及協会は、太陽光発電のパイオニアの集まりから始まり、現在では活動範囲は多岐にわたり、主力活動として一般家庭の屋根に太陽光発電システムの普及に全国の会員ともどもボランティア活動として努力してまいりました。
 昨今では、この原稿を御覧になっている方は太陽光発電を自宅にと考えられたりすでに設置しておられる方や太陽光発電に興味を持って御覧になっておられると思います。
私どもは、太陽光発電を普及させるには何が必要か、どのようなシステムが必要か、どのように電力会社等と協力して行くかを太陽光発電のパイオニアとして考え行動し、普及につとめてまいりました。政府関係機関、NEF(住宅用太陽光発電補助団体)、電力各会社、太陽電池製造メーカー、等と住宅用太陽光発電普及に必要と思われる課題や問題について研究し、みなさまに研究状況や問題解決についてお知らせし、10数年間わたる活動で全国に太陽光発電を広めることが出来ました。
 昨今では、住宅用太陽光発電の一般家庭普及にともない電力会社間で当初から言われていた系統連系の問題点に各社の回答が出揃ったようです。
12月に入り知人の住宅用太陽光発電所の増設設計について相談が寄せられ、増設計画に参加し、増設発電所長と電気工事士とともに系統連系(単結線図)基本設計図をたずさえ東京電力の営業所を訪問し、増設計画の意向と連系方法を打ち合わせをした時に東電社員による詳細にわたる説明を受け、当初電気工事士が心配していた系統連系基本設計には問題がなく許可が出ましたが、私が太陽光発電開始当初から心配していたことが現実となり大きな問題になっていることが判明致しました。

「太陽光発電は早い者勝ち」

「太陽光発電が一般化するに従い複数電力供給点における太陽光発電による電力周波数の変動や、電流異常が発生し、太陽光発電が適正に行えない症状が現れ、電力会社の責任として苦情が寄せられています。これらの問題は電力会社側には責任がないので、お客様側で対応をお願いしたのです。」
 との説明があり、私のように長年太陽光発電普及にたずさわっていると、すぐに理解できるのですが一般の方には何のことやら解らないので詳細にわたりできるだけわかりやすく説明させていただきます。
太陽光発電を行なっている一般家庭が複数隣接(同じ電柱から電力の供給を受けている場合)すると供給点において電圧の異常、周波数異常、電流異常が発生し、適正な太陽光発電が行えず、太陽光発電を設置しても発電を行えない場合があります。
正確に言うと、太陽電池で直流電気を発電しても、直流電気を交流電気に変換するインバータ(パワーコンデショナー)が正常に作動せずに機能低下に陥り止まってしまうこともあり故障の原因になることがあるので対処を電力会社が太陽光発電設置者に求めているのです。
電力会社の言い分は「安全に電力の供給を行ないたいので是非協力をお願い致します。」
 当初の太陽光発電が始まった頃の症状とは全く別な問題なのです。
当初の問題は、電力会社側の電圧が高いために発電した電気を送り出せない問題がありましたが、電力会社の協力により電力会社側の供給電柱からの電圧調整を行ない正常な発電ができるように調整をお願いし、全国的に問題を解決致しました。
今回のように、増設により同一設置場所での複数台のインバータ(パワーコンデショナー)を使用することにより起こりうる症状の対応を個人に求めてきたことは、予測しておりましたがこれほど問題になるとは思っておりませんでしたので、正直驚きました。
私どもの実験場では複数台の一般家庭用のインバータと中規模インバータが同一場所で現在6台作動しておりますがそれほど問題になっておりません。
この問題に対して、過去に東京電力以外の電力会社管内で問題が発生し相談を受けましたが、それらの電力会社の管内では3台以上のインバータ同時使用の作動状況に関して実験結果が無いので、太陽光発電による複数台による系統実験連系実験結果を複数台使用要望者に提出を求め、個人では実験や試験ができないのを良いことに事実上の系統連系拒否を提示したものでした。この問題に関して私どもはすでに東京電力管内では対応策が検討され私どもの太陽光発電所で実証されておりましたので、東京電力にはできるが他の電力会社では対応できないとする根拠を明確に示すように求めたこともありました。
今回の問題はさらに太陽光発電が一般化され、多くの方に導入され太陽光発電そのものが支持されたために生じた(長年太陽光発電普及に努力してきた私どもに言わせると認知され育ち活動期になったことを示しております)症状なのです。
この対応を売電する太陽光発電設置者に対して直接求めてきたのです。
電力会社各社間で検討された結果と思われますが、東京電力管内では東京電力が電力会社としての対策を実施したが系統が安定しない場合は、最悪の場合集中している太陽光発電所のインバータを系統安定化対策をしているものに個人負担で全て変えていただきたい。それでも系統の安定化がはかれない場合は、太陽光発電の系統連系を見合わせていただくと取れるもので「当初から太陽光発電を行なっている方は実績があり、それらの実績を踏まえると、後からの太陽光発電設置者のシステムにより発電が行えなくなるので、後からの方に太陽光発電が安定して行えるシステムの変更に必要な費用を出していただく」と新規設置者や増設希望者に対しての説明でした。結果として、太陽光発電は早い者勝ちで、法的にも発電して売電する以上どうすることも出来ませんが、対応策が無いわけでは無いのです。 系統に影響を与えないパラ運転のできるインバータを選定すれば良いのです。
太陽光発電用のインバータ(パワーコンデショナー)の製造メーカーは系統の乱れを起こしにくい機種を開発し販売しているのです。
また、電力会社が行える対応策はまだあり、私どもはその方法を推奨し提案しておりますが、電力各社は導入や検証しようする検討にすらいたっておりません。それよりも、系統に逆潮流(売電)ができるだけ少なくなるようにオール電化を推奨しております。
実状を知らない方々は、地球温暖化防止にオール電化住宅が最も良いとして、それらの勧めに乗ったり、オール電化の住宅に改造したりして、夜間の電力消費に貢献しているのです。環境に貢献する住宅にするのであれば、太陽エネルギーの利用が最も効率良くできる
太陽熱を利用したり、太陽光発電を取り付ければオール電化住宅より地球環境に貢献できる住宅になります。本題から逸れたので本題に戻します。
今回は、電力各社が太陽光発電による複数連系時の系統安全策と称して、ある意味太陽光発電の設置抑制策を全面に押し出してきたものと言えます。
確かに、復数台のインバータを同一場所で運転した場合は、インバータ間で共鳴が起きたりしますが、インバータの設計変更や大型の物では調整を行なうことで平常運転ができることが私どもの研究でも判明しており、それぞれ対策が取られておりますので、電力会社からの一方的説明で太陽光発電の増設や設置をあきらめては自然エネルギーの利用は出来ませんし、電力各社のこれら対応は電力の自由化の国策に反対するものであります。
又これらの電力会社の動きと連動してアンシラーサービスなる案内が一部の電力会社管内で配布され、太陽光発電設置者の間で不安が広がっており、私ども太陽光発電普及協会も懸念を表しております。

「アンシラーサービスの案内について」

これは、九州電力株式会社管内の太陽光発電設置者に対して説明文書が配布されたもので
当太陽光発電普及協会に相談が寄せられた例です。
前段で御説明致しました同一供給点における太陽光発電設置者の増加にともない、復数台のインバータを使用した場合、系統連系点で供給電流に異常が生じることを説明致しましたが、それらの問題に対して電力会社がさらに進めた考えで、対応をしてきた例です。
「発電設備を当社の高圧電線路に連系されているお客様へ」はじまり、サービス料金として契約容量1kWにつき40円と消費税分を加えた料金をコスト負担料金としてお願いするとしたものです。
 これは、平成17年4月1日から小口電力の自由化にともない、発電設備容量が50kW以上の発電所は自由に電気を発電し売電できると言う法律から、発電する施設が急激な出力変動を起こした場合に、系統電圧や周波数変動をきたすと電動機具の不具合や事故の発生原因になる恐れがあるので、系統の安定化を図るために電力会社側で出力調整を行なうために必要な経費を前もって自家用発電設備や特定電気事業者から強制的に集めるための説明文書を配布した例です。
『アンシラーサービスとは、電気の品質を安定化させるサービスです』と説明し、2つの説明文章とイラストを交えてその内容を以下のように説明しております。
○ 電気の周波数は、需要が供給を上回る場合は低下し、その逆の場合は上昇します。
このため、当社では、周波数が低下した場合には発電出力を増加させ、上昇した場合には反対に抑制するといった出力調整を瞬時瞬時の需要変動に合わせて行なうことで周波数の維持を図っています。
○当社の送電ネットワークと連系する自家用発電設備や特定規模電気事業者の発電設備は、需要の瞬時変動を電力系統で吸収することにより、電気の品質を安定化させることが可能となります。これをアンシラリーサービスといいます。
と説明し、イラスト付きでさらに説明をしていますが、ここで大きな疑問が出てまいります。なぜこのような文章を住宅用太陽光発電システム設置者のところに配布したのでしょうか?前段で説明致しました同一供給点で複数のインバータ使用による系統の安定化がなされない場合があるので警告のつもりで配布したのでしようか。
私は、個人的にアンシラリーサービスの考え方や技術的根拠からの導入には納得が行くのですが、電力各社が今まで行なってきた自然エネルギー利用発電所かの電力は供給が安定せず系統に悪影響を与えるので、自然エネルギー発電所からの電力の供給は大規模には受け入れ難い、また、不安定発電になるので特に風力発電所からの電力供給は電気の買取価格を低く買取るなどとして自然エネルギー発電の普及に抑制をしてきましたが、アンシラリーサービスはさらに抑制することになるのではないかと不信感にかられ、個人的に九州電力に問い合わせたところ、メールでの問合せから2日後電話で次のような回答を聞くことが出来ました。現在は太陽光発電についてはアンシラリーサービスの適用は考えていないとのこと、後日のアンシラリーサービスの配布資料では太陽光発電は適用しない主旨の文言を記載するとのことです。
しかし、今までの大手電力各社の回答では「需要と供給バランスを考えると、最大消費ピークに合わせ発電設備の増設が必要であるから安定化電源として原子力発電が最も優れており、原子力発電所を増設することにより、自然エネルギー発電からの不安定な電力を系統に影響を与えない程度(全発電量のすうパーセント可能)を系統に受け入れることができる」とした回答や「需要の急変に対して即応性が必要なので設備増強がしやすい汽力発電所の整備をしてきた」との回答もあった。いずれの回答でも大量の自然エネルギー発電は安定性に欠けるため電力系統に取り入れるのは難しいとしてきたが、今回のアンシラリーサービスでは、「送電ネットワークと連系する自家用発電設備や特定規模電気事業者の発電設備は、需要の瞬時変動を電力系統で吸収することにより、電気の品質を安定化させることが可能となります」としている。
ここで適用となっているのは、高圧連系ではあるが、質量とも大きい高圧連系では可能であるが、低圧(一般連系)連系では難しいとする電力会社サイドの考え方。
ここに、住宅用太陽光発電が一ケ所に集中した場合の対応策があると思うのは私どもだけでしょうか。一般住宅用太陽光発電の増設や5kW以上のシステムがスムースに系統に連係されるためにも、電力会社の技術と太陽光発電システム提供者の技術交流が、いままで以上に必要になっているとおもいます。

住宅用太陽光発電システムでも、10kWクラスになると家庭用分電盤に取り入れることは、電気の性質状危険がともない扱いが難しくなり、事故発生原因にもなりかねません。
私どもは、電気工事を行なう皆様や太陽光発電設置者宅の安全を考え従来の単結線方式とは別な結線方式を電力会社と協議し行なっております。

太陽光発電が自由に行える環境を整えるために太陽光発電設置者の皆様や太陽光発電システム提供社とともに環境問題をふまえて努力して行きたいと思っております。

2005年1月吉日
浅川太陽光発電所 所長 浅川初男
RPS法電気事業者   浅川初男

       アンシラーサービスの危険性

アンシラリーサービスの危険性と可能性

 アンシラリーサービスとは、電力需要の変化に合わせて発電量を調整し、電力網の瞬時変動に対応するものですが、技術的には非常に有意義ではありますが、急変する需要に対して出力調節による対応をすることは、発電システムに過大な負荷をかけることになりますので設備の点検が重要になってまいります。
事故発生の危険度が高い場所は、変電所、電圧制御部、発電機、発電機の動力部となり、現在の電力会社のシステムでは、人災が予測される場所は発電機に動力として送られている蒸気発生システムの危険性が最も高く考えられ、それらに対して、万全な点検を行なっているかどうかが、各電力会社の発電所における点検不祥事や事故隠し、点検データーの捏造などがあり、九州電力株式会社の行なおうとするアンシラリーサービスには、不信感による危険性がともなっているのです。
 こんなことは絶対やってほしくない出力調整があります。
『それは、原子力発電所の原子炉の出力調節をこまめに行ない需要に合わせた発電を行なおうとする考えです』  ・皆さんは覚えていますか、チェルノブイリを・
チェルノブイリ発電所では原子炉の出力調節運転の実験中に大爆発を起こし、全世界に放射性元素をばらまき、現在でも数100平方キロメートルにわたり、人間が生存不可能な土地を作り出したことを このことを電力会社に尋ねると発電する原子炉のシステムが違うので有り得ないと回答を寄せています。
しかし、原子炉本体内部で急激に水が無くなった場合は、いくら緊急冷却システムが作動しても追い付かない場合があることを公表しておりません。ましてや、現在心配されている大規模地震が発生しスマトラで起きた大津波と同等の津波が押し寄せた場合は、海岸沿いにある原子力発電所では原子炉建て屋は大丈夫であるが、発電タービン室、二次冷却設備は壊滅的な被害を被り、原子炉の制御を行なう制御システムが破壊され、原子炉が自分で判断して自立運転を行ない、自動停止のプログラムが作動しないと大惨事になり、海に囲まれいるのでチェルノブイリの悲劇以上になります。

内容が本筋を逸れましたのでもとに戻します。

大型のプラントの場合は、急激な出力変動には対応が不向きであることをお知らせしているもので、不安をかきたてることを目的とはしておりません。
 瞬時の変動に合わせて出力調節を行なう場合は、中小火力発電所や水力発電所の動力整備と安全整備で対応し、アンシラリーサービスを行なっていただきたいのです。
発電所の出力調整を瞬時に行なうのには多くの危険性があることをみなさまに知っていただきたいのと、自然エネルギー利用発電は系統連系(電力網ヘの取り入れ)に瞬時の変動を生じ系統への受け入れが難しいとする電力会社の回答が、今回アンシラリーサービスを行なうとしている電力会社姿勢と矛盾し、大手電力各会社がいかに自然エネルギー利用発電を軽視し、大手電力各会社の営利主義で自然エネルギー発電産業育成コントロールを行なっている事を皆様に知っていただきたかったのです。

以上

2005.01.03 浅川太陽光発電所


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