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原子力発電所からの警告
(日本の管理能力への警告)

 2004年8月9日午後3時半ごろ、福井県美浜町丹生にある関西電力美浜原発3号機から多くの悲鳴が発せられた。
対応強度年数の過ぎた原子力発電システムの運用を経済性ばかり追求し、技術的警告無視と現場無視の経営陣による怠慢経営の結果の死亡事故発生である。
 経営サイドでは、当初今回の事故を下請けのミスとして処理したい意向が感じられた。
経営サイドとは別の技術サイドから今回の事故を見てみると日本独特の人災事故である。
この技術者不在の人災事故(技術的経験の無い人間が原子力発電の巨大システム管理を行ったため)により亡くなられた方のご冥福をお祈り致しますとともに、亡くなった方々が、いかに経営サイドの手抜き管理で事故に遭ったかを立証するとともに事故発生のメカニズムを検証して行きたいと思います。

 近年、大型プラントによる人災事故が多発しておりますが、幸いにも犠牲者が最少人数に押さえられており、大きな社会問題には発展しませんでしたが、大型プラントで起こる基本現象を理解しないで、大型プラントの稼働率や経済性ばかりを追求する経営方針と一度大型プラントを稼動させてしまえば、経済性ばかりを追求する事務職出身者のプラント管理者のために技術者不在のプラント管理システムにより発生している事故であることを見落としてはいけない。

日本に点在する大型プラントを管理するシステムの見直しの必要性が迫られている。

世界規模で見てみると、米ソ対立時に、アメリカで紹介された原子炉に関する旧ソビエトの記録映画で、原子力潜水艦内部の原子炉管理風景を映像で紹介された時に、アメリカの軍事関係者がある場面を見て「ソビエトでは耳で音を直接聞いて原子炉の駆動状況を確認している」と発言し、ソビエトの原子力発電の技術の低さを表しているものだとのべた時に、アメリカの原子力関係者から耳で原子炉の駆動音を確認する技術は技術の低さを表すものではなく、本来あるべき確認方法であると反論し、軍事関係者の原子炉管理に関する知識の無さを露見する結果となり、軍事用原子炉の安全管理を見直し、原子炉の安全管理が徹底される結果となった。残念ながら今の日本には、アメリカのように事故発生前に原子炉の安全管理を見直すことをうながすシステムは存在せず、原子力発電所等の各関連システムで発生した事故報告を受けてから原子力安全・保安院(原子炉の設計から運転までを確認できる技術者不在)の事務職が動き出すにすぎない。原子力安全・保安院には大学等で原子力物理専攻者は何人いるのですか?原子炉設計経験者は何人いるのですか?
また、現地調査に出かけている調査員の中に原子力物理やボイラーの専門官等が同行しているようすを確認することはできない。(技術資格を持っている人間が実際の調査に当っているようすを表す報道を見たことがないので資格証を表示することを求める。)
日本政府の原子力発電所管理部門に原子力発電所の設計管理・原子炉設計・核物質管理等に関する専門職がいるのであれば、今回の事故は前もって予測でき、適切な指導監督ができたのではないかと思われる。

日本の技術力と管理能力

 日本が世界に誇ることのできるものは物を作り出す技術である。
物を作り出すことは、基礎技術がしっかりしていないと継続することは難しく、失敗する原因となり、物作りを行わなくなる場合と物作りのリスクばかり強調されるので、新しい技術が育たなくなり、技術職に魅力がなくなり後継者が育たない場合が発生する。
 それらの典型を海外へのODA援助に見ることができ、ODAの援助先の技術力や国内情勢を正確に分析しないと長期的な援助はその国の技術力の育成にはつながらず、援助先の工業力低下を招き、援助先の国民を物作りから遠ざけることになり、日本製品依存が反日感情を引き起こす原因になっている。これらはODAに限らず、国内海外を問わず日本製品全般に言えることなのに産業界は、経済性ばかりを追求し、自社の基本技術力の育成や基本技術力の継続に手を抜き、管理事務ばかり強化し、必要以上の事務手続を増やし、技術者育成よりも経費のかからない事務職を増強したことにあります。結果として、プラント管理はモニターを見る職員を育成すれば良く、人件費のかかる技術者はプラントから排除する格好になってしまった。今日の自動車産業界では、自社技術者を育てる努力を行っている企業は業績を延ばし事務職ばかり増やした会社は不祥事を引き起こしている。

原子力発電プラントではどのようになっているのであろうか

プラント設計では、プラントが何を作り出すのかによって仕様が異なり、作り出される製品により、プラントの対応年数が決定される。腐食性のプラントでは毎時の点検が行われ点検項目は目視、聴音、温度、圧力、気温、臭気、導通、大気濃度、大気密度、材料温度、製品温度、その他等多岐にわたります。これらの物の中でセンサーに代えることのできるものは代え、最終的には、現場を人が確認しますが、確認する人にはどのような手順で製品が出来て行くのかが解る人でないと正確な判断が出来ません。
原子力発電所のように複雑なプラントになると、基本設計の対応年数が一つの基準となりそれらに従って点検が行われるりのが普通です。今回の美浜原発は3号機なので、1号機、2号機よりも経済性が重視されプラント設計がされたため、今回破壊された配管は基本設計ではステンレス鋼になっていたのを原発建設コストの削減のために鋼管に代え、基本設計の対応年数20年をクリアーしたとしか思えません。事故後の発表では、他の原発では、問題の箇所はステンレス鋼に代えてあり、減肉現象のため交換したとし発表されている。(管理責任の言い逃れはできない)
今回の事故は、原発の基本設計20年には問題がなく、言い換えれば今回の事故は、原子力発電所の管理能力のある会社では発生せずに、原子力発電所の管理能力のない会社で事故が発生したと言い変えることができる。基本設計すら見落とす会社が原子力発電所を運転するのを、車の運転に例えると、大型特殊車(戦車)を無免許運転のうえ飲酒運転をしながら携帯電話で話をしながら、歩行者専用道路を猛スピードで走っているのと同じで、そこに居合わせた人々には死しか無い状態と同じなのです。
当初、原子力発電所の運転対応年数を20年としていたが、いつの間にか30年〜40年昨今では60年等と言われる経営者も現れるしまつ、取り代えることのできる部品は、代えることができるが、コンクリート格納庫と原子炉格納容器は取り替えることは出来ません。原子力発電所所有者は原子炉格納コンクリートおよび原子炉格納容器の各部分の対応年数は当初の20年で設計されていることを忘れてはいけません。
基礎になるコンクリートにも対応年数があることを。原子力発電所は定期点検ごとに若返りのできる部分は良いとしても、基礎までは若返りはできないことを考えておかねばなりません。技術力の進歩から原子力発電所における運転状況は高速コンピューターで解析すれば、たちどころに破損や破壊のシュミレーションが可能なのになぜ解析をしないでいるのかは各大手電力会社の原子力発電担当部署は御存知のはずです。
基本設計の対応年数以上に寿命を延ばすには、日々の点検の支援が必要以上に大切になるとともに機器に精通した管理点検のできる人材が自社の中に必要なのです。
今回の事故は、それらを無視して経済性を追求した運転を強要した経営陣と技術者不在の管理をしてきた電力会社の事務職に重点を置いた経営にあり、あきらかに人災により発生した下請け見殺しの経営にあるのです。
それらの姿勢を新聞各誌に報道されている事故を起こした電力会社の社長のコメントからハッキリと読み取ることができる。
社長には事故を起こした部署の担当を一新するくらいの強い指導力が求められているの、事故を起こした部署の事故責任を問うとはせず、事故を起こした部署にまるで身内がいるのでかばうような姿勢が見受けられ、自社の点検責任は問わず、下請けの責任にすり替えようと奔走するような報道が発せられるしまつである。

現在の日本には、技術力は存在するが、それを管理蓄積し新しい技術を作り出す経営をする会社は産業界の一部を除いて電力各社にはないのであろう。
私は、東京電力に対しては原子力発電所で起こりうる事故の対策とそれらに対処する方法について質問を株主として行ってきたが、関西電力にも東京電力の株主総会での質問は第三者経由で届いているはずである。

報道の場面で関西電力の社長が被害者に対して謝罪をしていたが、安全管理をないがしろにしてきて起きた事故ゆえ、亡くなられた方々に対してどのように責任をとるつもりなのでしょうか。

経済産業省の技術立国日本としてのキャンペーンは、このような管理能力無い会社を育てるキャンペーンだったのでしょうか?

太陽光発電普及協会 山梨県支部
浅川太陽光発電所  所長 浅川初男
RPS法 電気事業者名  浅川初男

▲上に

浅川太陽光発電所 - 八ヶ岳・北杜市大泉 -
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