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2004.07.28

RPS法の利用と問題点・P2(太陽光発電等)

太陽光発電普及協会 山梨県支部 浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男
RPS法    設備認定事業者 浅川 初男

 RPS法の施行から1年が経ち、各方面でRPS法の是非が問われているが、RPS法については、専門家と称される学識経験者や電力関係者等からは良い面ばかりが強調されているように見える。RPS法では一定条件のもとでの電気を発電する自由が国により認められる一方、国策としては電力の小売に対する自由化が段階的に進められながら今日に至っています。
RPS法により発電形態は大手電力会社の発電、中小電力事業者(PPS等)の発電、自家用発電設置者の発電、自然エネルギーを利用した発電等に分かれ、それぞれが定められた条件のもとで発電が自由に行えるようになった。このように発電の自由化が急速に進んでいる一方では、RPS法で登録認定した特定電気事業者に発電設備容量ごとにより段階的に電力の販売の自由化を認めている。(特定電気事業者による電力の販売を大手電力会社以外に認めている)このような動きの中で、RPS法がもつもう一つの側面すなわち、特定電気事業者等が、国または大手電力会社の運営いかんによっては、完全に管理下に入る危険性をはらんでいることを誰も問題提起しないのは何故だろうか?

 RPS法を簡単に説明すると全ての電力事業者(発電設備を所有し、系統に連系している)に対して、自然エネルギー発電等(新エネルギー発電)で発電した電気を一定量使用(供給)する事を義務付けたものです。

結果として、系統に連系している発電設備を持っている電気事業者等や自家用発電設備設置者(自然エネルギー利用発電者等を含む)等は、RPS法により新エネルギー発電等(自然エネルギー発電等)で発電した電気を一定量使用(供給)するように義務付けられました。国は、発電設備を持って系統に連系している施設設置者に対してRPS法の登録をするよう指導しているが、RPS法の運用に疑問を持っている事業者からは登録に関して積極的な協力はなく、設備認定がスムースに進でいないように見うけられる。すなわち国はRPS法の遵守に対しての理解を得るのに苦慮しているようである。
 発電設備を持って系統に連系している全ての施設設置者(事業者等)は、電力の小売自由化とRPS法による新エネルギー利用に関しては一様に理解を示しているが、新エネルギーの利用と供給がRPS法により義務付けられるのと、環境税導入のたたき台に利用されるのを危惧しているのです。
また、新エネルギー利用等の発電で発電した電力は「電気そのものと環境価値分とに分けて利用する事ができるとしている」RPS法の解釈にも問題があると考えているグループと、電気と環境価値に分けて利用しようとするグループまで表れている。
当初、RPS法は抵抗なくスムースに施行されると考えられていたが、自然エネルギー発電の一部である太陽光発電関係者(太陽光発電普及協会)から導入に対して猛反発を受ける結果となった。その主たる内容はRPS法での住宅用太陽光発電の取扱いについてである。簡単に説明すると、RPS法では太陽光発電のシステム合計が10kW以上のものは事業者として扱い、特に住宅用太陽光発電10kW以下は電力会社が設備認定代行できるとしている点である。  結果、10kW以下の住宅用太陽光発電設備は電力会社の意のままに利用できるようになっていたのです。各大手電力会社は、余剰電力購入メニューをRPS法施行にともない廃止し、新たなメニューで新エネルギー利用の発電所等からの電気購入を迫ってきたのです。
RPS法施行前の余剰電力購入制度を廃止し、電気と環境価値に分けて、新たな余剰電力購入メニューを作り、環境価値を電力会社に帰属しない場合は、極端に低い価格で電気部分だけを購入するとして、電力会社に環境価値分の電気と電気そのものの両方を販売すれば、売り買い同額の余剰電力購入メニューで購入するとして、代行申請を迫った。
大手電力会社に代行申請を委託すれば、環境価値分は自動的に電力会社のものになるが、販売電力は売り買い同額で大手電力会社が購入するとしたのです。
詳しくは、各大手電力会社の新エネルギー等分散型電源からの電気購入メニュー等から電気の価格を見ると、環境価値分(新エネルギー等電気相当量)を電力会社に販売しない場合は、火力発電所の空焚き減らし単価(約2円〜約7円)での購入になるとしている。
これらのことは、一般住宅用太陽光発電設置者にはほとんど知らされずに、現在に至っており、疑問点の経緯を知らない人々の間で環境価値の帰属問題をひき起こしている。
 平成16年7月14日の電気新聞より
 一般家庭に設置された太陽光発電設備が生み出す電気のうち、自家消費分の環境価値を売買する構想が出てきた。現在、自家消費分以上の余剰電力は、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)の定める環境価値も含めて地域の電力会社に売られていることが多い。自家消費分の環境価値も売買できれば太陽光発電の普及促進につながるほか、価値を購入する企業などは環境配慮を行動として示すことができる。あくまで構想段階だが、大きな話題を呼びそうだ。
 この構想は、昨年発足した太陽光発電所ネットワーク(PVネット)が検討している。PVネットには、主に自宅屋根で太陽光発電する1000人以上が参加。個別には難しいが、組織として取り組むことで自家消費分の環境価値を売れる仕組みを実現したい考えだ。
と紹介しているが、現行の余剰電力制度では、自己消費分については、この道が閉ざされていることをPVネットの一般会員には知らされていないようである。
「太陽光発電普及協会では数年に亘り国との自然エネルギー利用についての協議の中で太陽光発電による自己消費分についても環境価値を認めるように協議をしたが明解な回答は無く現在に至っている」
各大手電力会社の太陽光発電からの余剰電力購入についての条件を見ると次のようになっている。「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)に定める新エネルギー等発電設備(太陽光発電)から「電気」および「新エネルギー等電気相当量」を購入する場合は下記の条件で購入させていただきますとして購入単価のところで 「但し、お客さまがRPS法に定める「新エネルギー等電気相当量」を当社以外に販売することを希望され当社が「電気」を購入する場合、叉は商業目的の場合は次の購入価格を適用します」となっている。その場合の各社の購入価格は約2円から約7円までの幅があるが、自家用消費分を他に売買した場合は、商業行為とみなされ、商業目的の適用を受ける可能性を否定できない。
 また東京電力は、電力受給に関する契約要綱の中で次のように記しています。
 18環境に係わる付加価値の帰属
受給電力は、当社が「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」における新エネルギー等電気として利用するものとし、発電者は、当社に対してこれに必要な協力をするものと致します。
要約すると、発電設備の発電量に余力がある場合、その超過電力を東電に供給し、東電が受電することが前提になっているので、余剰が発生しない太陽光発電は対象にならないことがわかる。東電も系統連系をする場合は、新エネルギーの環境価値は東電に帰属すると言っているとも取れるのである。そのため電気新聞での自家消費分の環境価値を売買する構想の紹介記事はRPS法を悪用される恐れがあり、現行の法律下ではあまりお薦めできない。
 私たち太陽光発電普及協会は、このようなRPS法の利用に関しての不透明さを公正取引委員会に提訴した結果、公正取引委員会は不透明さに対して電力10社に対して異例の注意をうながしRPS法の適正運用と目的をハッキリとさせた。
現行の電気事業に関する法律下で太陽光発電を適正に行うためには、ある一定規模を集約して、現行の法律にのっとって太陽光発電を事業化するしかないと考えたのが
      平成16年6月23日の電気新聞で報道された
太陽光発電で特定規模電気事業者(PPS)登録の記事である。
現行の電気事業に関する法律下では、太陽光発電の特徴を活かした利用方法はなされず、安定供給(太陽光発電は昼間だけ発電することができるのです)ができないなど等の観点から、太陽光発電が持っている電力消費のピークカット効果を上げる利用方法を示していない。今回の太陽光発電普及協会の井口会長がPPSの届を出したのには、太陽光発電の自然エネルギー発電としての最大電力消費時におけるピークカット効果の評価を見ていただくことと、電力の小売自由化を目指して自然エネルギー発電でも可能であることを示しているのです。太陽光発電は電力の消費ピークに合わせて発電しているすばらしい発電方法なのです。太陽光発電の特徴と利便性を理解していただきたいのです。
太陽光発電による特定規模電気事業者(PPS)への参入をしたのは電力消費量のピーク時に消費電力ピーク抑制効果が最大限発揮(ピークカット効果)される太陽光発電は、他の発電設備に比べると天候しだいで変動する電力消費ピークを予測(発電所ごとの出力調節を天候に合わせてする必要が無い)せずに自動的に追従しピークカットする効果もピークカット効果と一緒に合わせて持っているのです。
電気新聞に紹介された2例は、ある一定量の発電設備を集めないと現行の法律下では実際の機能は難しいが、かと言って、何もしないリアクションよりは問題提起している点はおおいに評価できる。これらの実力が発揮されるのは小口電力小売自由化の電気量単位が現在では500kWとなっているが、小口電力小売自由化の単位が50kWとなってからだと思われる。

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