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太陽光発電発展の危機 2005年で補助金打切り
平成15年12月 太陽光発電普及協会(全国太陽光発電所長会)調査

 住宅用太陽光発電システムの補助金は、一般消費者の設置価格が最低価格で1キロワット当たり40万円弱になったとして、財務省は、住宅用太陽光発電システムに対する補助金の打切り方針を固めた。
最低設置価格:40万円弱/キロワットで設置されているとする財務省見解に対して、私たち太陽光発電普及協会の調査では、今回の最低価格は一部業者の消費者獲得のための価格であり、平均的な販売価格は70万円程度で、40万円を切るのはごく一部の顧客獲得のセールス商品であることが判明。
このような現状での財務省の補助金打切りは、自然エネルギーの発展に寄与し、自然環境の悪化を防ぎ、地球温暖化の防止に努力してきた先駆者に続こうとする一般国民に対してブレーキをかけ、自然エネルギーの利用を望む国民の声を踏みにじる決定である。


調査資料    日本政府機関の日本政府の総括調査票2003年度より
所管      財務省、文部科学省、経済産業省
会計      電源開発促進対策特別会計電源多様化(利用)勘定
事業名     住宅用太陽光発電システム導入促進事業
予算措置    電源開発促進対策特別会計電源多様化(利用)勘定 14年度:232億円  15年度:52.5億円

        石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給高度化勘定14年度:―  15年度:52.5億円
契約価格等   住宅用太陽光発電システムの設置者に対して、(財)新エネルギー財団を通じ、システム設置費の一部(14年度:10万円/kW、15年度:9万円/kW)を補助

事業の概要

住宅用太陽光発電システム(ソーラーパネル)についてね設置コストの低下を促し、太陽光発電の市場独立化を図る(最低設置価格:30〜40万円/kWを目標)観点から、しすてむの設置者に対し、設置費の一部を補助。

@ 調査の視点
 補助金としての効果は上がっているのか。
 平成6年度より補助事業をおこなっており、補助件数は順調に伸びているが、効果が上がってるのかどうかについて検討する。(参考資料として日本全土の住宅用太陽光発電システム設置情況(交付件数ベース)の都道府県別の全体地図表示)
 今後も補助金は必要なのか。      
 補助金制度開始10年目を迎えるに当たり、制度の必要性について検討する。

A 調査結果及びその分析        
実質補助率は13.8%までに低下      
 平成6年度のモデル事業以来、1kW当たりの補助額の低下に伴って、実質補助率は年々低下してきている。平成14年度実績では、実質補助率は13.8%までに低下している。
 実質補助率が制度創設以降基本的に低下してきている一方、補助件数は基本的に伸びてきており、当該補助制度が、ソーラーパネル設置の強いインセンティブになっているか。
(年度別に平成6年〜14年までの補助件数、累計、平均設置費、補助額、実質補助率、自己負担額、が表で表示されている。)

 表には、1kW当たりの実質補助率が表されており、平成6年度の46.9%〜平成14年度の13.8%と年度ごとに減少する経過が表されているが、自己負担額を見て行くと必ずしも、ソーラーパネル設置の強いインセンティブになっているとは考えにくい。
平成6年の自己負担額101.8万〜平成11年度の61.0万までは自己負担額は減少しているが、平成12年度63.8万平成13年度62.6万平成14年度62.4万となっており、足踏み状態の減少傾向になっいて、実質補助率の減少傾向とは違う現状を表している。

一部地方公共団体においても補助事業等をおこなっている
 地方公共団体3,237団体(47都道府県及び3,190市町村)のうち252団体(15道県及び237市町村)(全体の7.8%)が住宅用太陽光発電システム普及助成策を実施している。
 国が現補助制度を打切った場合、普及助成策実施252地方公共団体174団体(69.0%)が、国が制度を打切った場合でも助成を継続するとしている。
最低設置価格は40万円程度まで低下
(最低設置価格が表で表されており1kW当の単価が表示されている)
平成12年度最低設置価格55.5万円
平成13年度最低設置価格45.8万円
平成14年度最低設置価格39.9万円

 最近の補助対象者の最低価格は40万円程度まで下がってきており、ほぼ目標を達成しつつある。
このように解説しているが、地方公共団体の中でも財政に余裕のある団体が補助活動をおこなっているのであって、一般消費者に公平に補助活動を行っているとは言えず、財務省の考えで、情報収集を外郭団体(新エネルギー財団)一つだけから求め、一般消費者である国民や設置希望者の意見を聞こうとはせずに、一方的に目標を達成しつつある。として補助金打切り方針を固めた財務省の考え方は公平な税金配分を行っているとは言い難い。
 
B 今後の改善点・検討の方向性
終期についての検討
 平成14年度実質補助率は13.8%であり、15年度はさらに低下する見込み(平均設置価格が14年度と同額とした場合、実質補助率は12.4%となる。)であり、当該補助制度によるインセンティブを付与する効果は減少してきており、制度の意義も小さくなってきているものと考えられる。
 制度の目的についてみても、最低設置費も当初の目標の40万円まで下がってきており、補助金としての目標(太陽光発電の市場の自立化)はほぼ達成したものと思われる。
 こうしたことから、当該補助事業については終了することとし、その終期等について検討を加えて行くことが必要であると考えられる。

以上のように結んでいるが、インセンティブを考えると補助金制度の恩恵と言う部分については、まったく触れていない。一般消費者や太陽光発電事業に関係している生産業者はインセンティブと言われる恩恵を受けていない。
生産業者の中には、太陽光発電事業から撤退や生産拠点を海外に移転し、産業の空洞化を招いている。一般消費者である太陽光発電システム設置者に対しては、個人負担の軽減にはなっておらず、インセンティブの意味である商業行為の恩恵をあまり受けていない。
政策中枢で机の上だけで思案をめぐらし、閉ざされた情報のみで、政策決定を行っている人間にはトップランナー価格はインセンティブに値するだろうが、インセンティブの意味を熟知している人間であれば、自分の解釈に都合の良い部分しか採用しないような行動は慎んだであろう。
 当初の目的であった2010年に太陽光発電を482万kWにする閣議決定は、どこに行くのであろうか?
地球温暖化の影響が顕著に現れ、日本列島においても防災対策が求められる中、電源の安定確保が求められており、太陽光発電は独立発電設備としても有望な設備である。
世界各国のエネルギー事情から自然エネルギー利用の技術が求められる中、自然環境にやさしい太陽光発電の発展を阻害する政策を打ち出した財務省は、現在起きている地球環境の悪化をどのように考えているのであろうか。

財務省、総括調査票では、平成14年度の自己負担額の平均は60.2万円で財務省の言う最低設置価格とは20万円以上の開きがある。
また、経済産業省が行った調査では、平均販売価格は70万円程度で、業界側からは、財務省の言うトップランナー価格の40万円を切る商品はごく一部であると反論している。

住宅用太陽光発電システムに関する助成制度は、一般消費者の自己負担設置価格が当初の目的であった1kWあたり30万円になるまで必要である。

以上

太陽光発電普及協会   山梨県支部 
浅川太陽光発電所  所長 浅川初男 3003.12.1

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