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メガソーラー建設報告 2009 P1

メガソーラー発電所と環境
「メガソーラー発電所の明暗を紐解く」

 2008年に起きた狂乱的な市場主義の乱舞により、世界経済はエネルギー産業を主軸に乱高下し、世界経済は世界市場のパイを確認する結果となり、市場世界の収束とともに、世界経済自体の規模が判明し、発展し続けることによる市場経済の発展があり得ないことを実証した。(市場拡大主義)

それに引き続き、世界の金融業界の常識と言われたものが崩れ始め、新たな金融市場の編成へと移行して行く中において、各国は、自国の安定経済を確保するために、自国内でのエネルギー確保が求められることとなった。
地球環境に変動を与えないとして、太陽光発電と太陽熱利用に注目が集まっているが、我国では、太陽光発電に注目が集中していすぎるために、簡単に大規模太陽光発電システム「メガソーラー」が実施できるがごとくの、呼びかけが行なわれ、大規模太陽光発電に注意信号が点き始めている。

メガソーラー発電所の建設設置実例をもって、メガソーラー発電所の運営と環境管理を考えながら、メガソーラー建設により発生した問題点や疑問点などを考え、将来の大規模太陽光発電所を考えてみたいと思います。
(注)今回は、北杜市メガソーラー発電所と、稚内メガソーラー発電所を私が知りえる範囲内の情報により比較 分析して行きます。

なお、比較するために、市民エネルギー研究所 井田 均氏により発表された

「「現場からの証言」NEDOの太陽光発電施設建設に関して、各戸電化から大規模施設へ」(2008.11.15 市民エネルギーシンポジウム2008)を参考。

両施設の比較

設置条件

稚内の施設は、地球規模で比較すると、主なる先進国の主要都市が位置する緯度に近い条件で、データを取ることができ、世界的な視野で実験が可能である。

消費地にある程度近く、実験実証データが将来の都市計画に活用しやすい。

北杜市の施設は、日本で一番日照時間が長く、太陽電池の耐久試験に適しており、今後の太陽電池の開発にデータを取ることができる。多種の太陽電池を発電に使用することで、それらの特長を捉え、将来の使用方法への活路を見出すことができる。

以上が主な内容で、さらに分析をすると、稚内の施設は公共事業の跡地を有効利用し、環境に与える負荷が少ない条件で計画されている。先進的技術として、蓄電池の使用とNAS電池の安定運用を太陽光発電で実証する。

【風力発電ではすでにNAS電池を使用し、電力供給の安定化を図らなければ、風力発電所からの電力を買い取らないとする電力会社もある】

北杜市の施設は、農地と山林で構成された、農業団地の誘致を目指していたようだが、農業の衰退とともに荒れ放題となり、工業団地として利用するにも、アクセスが無く、見放された農地に誘致。稚内、北杜市、両方に共通することは、塩漬けの未利用の土地があり、それを今回有効利用した点に評価がある。

では、実際の進捗状況から評価をして行きたいと思います。

2006年NEDO公募

2006年10月委託研究先として、稚内と北杜市が決定

2007年新春、稚内の実験予定地では、工事に必要な手続きが済み、工事が開始される。北杜市の予定地では動きが無く、進捗状況が余りにも遅いので、北杜市民として、調査を開始する。この時点で北杜市から出されている農地の開発申請書類が受理されず、手続き中であることが判明する。


2007春1


2007春2

2007年5月、私どもの農地の利用に関して、農水省との協議の席上において、北杜市民として、北杜市とNEDOで進めている大規模太陽光発電実験場予定地の北杜市の農地に関する開発許可書類が、農林水産省に届いていないことが判明。同年、6月下旬、農水省との私どもの案件協議の席上において、北杜市からの大規模太陽光発電システム実験場予定地の、農地の開発申請が、関東農政局にも届いていないことが判明。この時点で、太陽光発電研究者として、農水省と経産省とのトラブルになることを避けるために、必要な指示を農水省の担当部署と協議協力し解決策を探る。

2007年7月北杜市に、実験場の整地に必要な許可が下りる。

2007年8月北杜市において起工式が行われる。


2007夏1


2007夏2

稚内に遅れること、半年以上の時間を書類処理についやした北杜市であった。

2007年12月稚内では、凍てつく寒さの中で、第一期工事が終了しつつあった。

この冬の工事により、太陽電池の設置角度が33度では、降雪により降り積もった雪が、太陽電池から滑り落ちずに、発電に影響を与えることが判明。急遽太陽電池の設置角度を45度に変更することになった。しかし、太陽電池の角度を変えたために、太陽電池パネルの背が高くなり、影の影響が発生して、前列の太陽電池の影が、後列の太陽電池にかぶさり、発電時に影を落とすとともに、発生した日陰により降雪した雪が残り、急遽、前後の間隔を広くする工事が開始され、結局、北杜市と同じように第一期工事が遅れたようである。

(シンポジュウム2008・12・15資料より)

北杜市では、


2007秋1


2007秋2


2007冬1


2007冬2

このような状況でした。

太陽光発電を研究している者としての疑問

稚内の太陽電池設置角度を決定するにあたり、降雪を考慮した設計とは考えにくい。北杜市内に点在している、浅川各太陽光発電所では、降雪や雪質に配慮し、設置太陽電池の地上高は70cm以上、太陽電池の設置角度は40度是後としています。稚内の地を考えると、雪質や地形を考慮せずに、なぜ太陽電池の設置角度が当初33度に決定されたのか、また、33度の太陽電池設置位置で前後の太陽電池の設置間隔を考えず45度に設置し直したのか、太陽電池の設置角度を大きくすることは、緯度の高い稚内では、太陽高度の季節変化を軽視して、太陽電パネルの影は長くなることを想定していないともとれ、このようなミスともとれる事態が発生したことに、太陽光発電研究者としては、疑問が残りましたが、現在は適正に設置されているようです。北杜市においては、疑問や注意事項があった場合は、直ちに連絡を取り、適正に処理できるように、注意深く、私どもや環境団体等が見守っています。

2008年3月北杜サイト第一期工事終了・第一期工事の完成運用式典開催


2008春1


2008春2

北杜市サイトと稚内サイトを比較すると、造成工事は両者とも必要で、塩漬けの未使用地を有効活用した点は、評価できる。稚内サイトにおいては、新設系統連系線を5km新設したのに対して、北杜サイトにおいては、敷地内を送電線が通過しているので、連系は容易と思われたが、敷地内の送電線では容量不足のため、約1km先のもう一経路の送電線に連係する予定。稚内サイトは、主研究者が電力会社なので、5km先でも系統連系に関しては問題がなさそうである。

太陽電池の適正設置角度については、NEDOが発行している「太陽光発電導入ガイドブック」2000年版に発表されているのに、北杜サイトにおいて、設置角度が違う太陽電池が有るとの指摘もあるが、設置角度の違う太陽電池は、太陽電池の種類(アモルファス太陽電池と単結晶太陽電池)が違うので、あえて比較しているようである。


1868


1943

(研究課題 日射量の変化の多い場所においてのアモルファスと結晶系の比較と思われる)
北杜サイトでは、立ち木等により発生する影が発電に及ぼす実験もされており、立ち木による影が、太陽電池にかかるようすも見ることができる。


1922


1940

また、北杜サイトは、長年使用されていなかった農地が原野となっていたために、野生動物も住み着いていたが、危惧された猛禽類は定住者が無く、動物も、小動物が主で、管理区域内に原野を残すことにより、生態系を維持することができ、環境に与える負荷も少なくなっている。荒廃農地を転用し、造成したため、降雨時の表面水の流出には、各太陽電池間に集水路を設けて、表土の流出を防ぎ、集めた雨水は、北杜サイト下流にある農業用溜め池で洪水管理を行ない、放水路を経て河川に放流。なお、表土の流出防止に太陽電池の周りに芝の種を蒔き、環境保全に勤めている。


2675

北杜サイトの横を、中央自動車道が走っており、中央道から見ると荒れ放題の景色(自然が豊)が一変して、整然と太陽電池が並ぶので、景観が損なわれると発言する環境団体もあるが、この景色を見ることの出来る一般住宅は2軒だけであり、その両軒からは、景観が損なわれたとの指摘は、無いようである。

中央道を走りなら見えるとの指摘もあるが、運転者が見たならば、脇見運転です。危険ですので脇見運転はなさらぬよう御願い致します。

稚内サイトは、北杜市サイトよりも実験規模は大きく、自然環境に与える影響も大きいのではと、情報収集を致しましたが、プロジェクト内容を理解した情報は、インターネットで見る限りはこちらのページになります。

http://www.rera-vie.jp/project_04.html

このように、活躍されている団体が、稚内サイトを見守っていれば、自然条件の厳しい稚内においても、良い実験結果が得られると思います。

今回のようなプロジェクトには、地域の協力が必要になり、長い時間をかけて、実験結果を集積し、発表することが大切です。短期的なデータではあまり意味が無く、私たちの実験場でも、10年以上実験を続けた結果、太陽電池の特性をつかまえることができ、私どもに太陽電池を提供している企業に対して、改良点等をつたえ、今後の太陽電池の開発に役立つようにしています。

私たち北杜市においては、自然条件に恵まれ、日射量の変動幅が大きく、太陽電池には厳しい環境で、大規模実験をすることにより、思わぬ成果が得られると思います。特に、太陽光の強い場所での連系試験は、太陽電池に大きなストレスを与えることになり、太陽電池の劣化が進みやすく、太陽電池製造時の通常試験では発見できなかった不具合が、製造から5年くらい経つと発見することができます。(空気中に塵が少ないので、大きな宇宙線を捉えることもある)

特に、太陽電池の発電電圧が高い場合は、この傾向が見られます。現在では、各社とも、太陽電池は200V代で使用することが、太陽電池の寿命を延ばすことにつながるようです。私たちのところでの実験結果では、配線や配電線面積を大きくすることにより、高電圧でも使用可能となり、長期間使用できることが解りました。(製造後25年を経ても発電能力90%以上)

また、再利用も可能であることも実証しており、正しい再利用は、太陽電池の寿命を延ばし、立派な資源になることを私どもが実証しています。

話が横道にそれましたので、メガソーラーに話を戻します。

現在の北杜サイトでは、2期工事が執り行われ、太陽電池の架台を設置中です。


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それと、見学者のために、駐車場とトイレ整備を北杜市が行なっています。

完成は、春の観光シーズンまでには、駐車場とトイレは完成する予定です。

現状の2期工事は、造成終了地に架台を設置し、太陽電池の到着を待つばかりとなっています。第1期工事で完成したシステムの内、2期工事では性能の良いシステムを選抜し、設置すると聞いていました。あるメーカーからは、発注を受けたけれど、生産が間に合わないので検討中と言うのが1社あり、生産工程管理の難しさを知りました。年を明けてからは、各社発注を受けた各メーカーの中には、すでに納品したともとれる発言があったので、1月下旬には太陽電池パネルが並ぶのではと思われる。また、北杜市は残りの部分の造成工事を実施し、周辺整備に取りかかるようです。

とりあえず、周辺設備が整い、駐車場とトイレさえあれば、一般の方々が安心して見学できる施設に一歩近付くことになり、オープン形式の見学施設になるのではないかと思っております。

ぜひ、周辺設備が完成致しましたならば、北杜サイトを訪れ、太陽光発電システムを見学して、北杜市内を散策して見て下さい。

北杜サイトの案内でした。

つづいて、北杜市内の太陽光発電情報です。

今回、私どもが北杜市内の太陽光発電所を調査したところ、現状で約1.1MWあり、これに一般住宅の0.8M(2004年度まで)を足すと、総出力は約1.9MW北杜サイトの完成時には北杜市全体で約3MW以上になり、東京電力管内での各営業所の中で、太陽光発電所が一番多く点在し、出力も最大の地域となります。これもまた、一つの研究テーマとなりそうです。

北杜市全体が太陽エネルギーの宝庫であり、自然の豊かな市であることが立証できます。

北杜市や稚内市は、大気中に塵が少ないので、太陽光発電には最適と言って良いと思います。しかし、私どものような条件の良い場所でも、実際に太陽光発電所の営業運転を考えると、現実は厳しく、現在の制度では、収益面で成り立たず、複合体収益を考えないと利益はありません。

今後、大規模太陽光発電所の建設を考えておられる自治体等は、太陽光発電所が負の財産にならぬよう、計画性を持って実施することを願っております。

2009.01.吉日
浅川太陽光発電所
所長 浅川 初男

▲上に

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