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大規模気象変動 2007: P1 - P2(動植物編) - P3(八ヶ岳編) - P4 - P5 -

大規模気象変動 P2
(動植物編)

 私どもの住む、八ヶ岳南麓における地球温暖化の兆しは、現在ご覧いただいている浅川太陽光発電所のホームページ(2000年から)で、機会あるごとに紹介いたしてまいりましたが、昨年度より急速な現象が現れ、急遽、実体験したものを、大規模気象変動2007 P1で紹介いたしました。

前回、紹介できなかった昨年度の現象や、過去を含むものを報告するとともに、私どもよりも、はるかに正確な研究をなされた方の論文がありましたので、私どもの体験いたしました現象と比較できると思いますので、紹介いたします。

農業・生物系特定産業技術研究機構果樹研究所  杉浦俊彦氏 の発表による「1. 中長期的な気象変動予測から推定される温度変化の果樹農業への影響」 として、以下のアドレスで発表されています。

http://www.fruit.affrc.go.jp/kajunoheya/ondan/1.pdf

私どもの見識よりも、細部にわたり研究なされており、果樹農業だけの問題ではありませんので、農業に従事する皆様には、貴重な参考資料と成りますので今後の農業経営の参考に是非一読ください。

私が、八ヶ岳南麓で異常気象として認識し始めたのは、生物と植物の移動によるものでした。特に驚いたのは、1995年頃から始まった猿ナシの異常繁殖です。

ここ八ヶ岳南麓の、私が住む地域にはもともと、猿ナシの自生はありませんでしたが、2000頃から所有する山林の管理に行くと、見たことの無いツルが木に巻き付いているに気が付き、成長とともに花が咲き、実がつくまでに3年ほど観察時間が、係りましたが、実がついた時点で調べてみると猿ナシでした。

(写真 さるなし1 猿ナシ )

実際のところ、木の成長を妨げるので、普通だったならば、すぐに取り払うはずでしたが、珍しい葉が茂ったので、マタタビかと思い残したツルでした。

また、シダ類の繁殖も認められ、何かがおきていることを山林が知らせておりました。この頃から、冬季の最低気温が氷点下10度以下まで下がらなくなり、我が家の夜間の電力消費量が年々減少傾向を示しており、2007年の2月の減少率は、過去5年間で最高値を示しました。5年平均値よりも20%も少ないのです。言い換えると、二割も暖かくなったことになります。私どもの地域の夜間の平均気温が−5度ですから、ここ5年間で、平均温度が1度上がったことになり、私たちが子供の頃の2月の夜間温度−10度以下まで下がっていたことは、夢になりつつあります。(ジュースやサイダーの瓶が凍って割れたこと)

ここ、5年間の夜間午後10時から翌朝8時までの夜間消費電力量の変化をグラフにして見てみますと次のようになります。

単位は、kWhです。

このグラフの見方は、2002年が[黄色]で表されております。2002〜2007年3月までの電力消費量をグラフに表したものになります。

このグラフで、特徴的なものを表している部分は。八ヶ岳南麓地域での夜間電力消費量を捉えるところから見えることは、5月から10月までは夜間における気温の変動が少なく、すごしやすいことが解ります。11月から急速に夜間の電力消費量が伸び始め、1月が最も寒く、2月、3月、4月、と急速に暖かくなり、3月と12月が略、同じような夜間温度であることが電力消費量から判断出来ます。(八ヶ岳南麓の標高900m地域の夜間温度による消費電力変化)

2007年を1月、2月、3月と入力してみたところ、各平均値よりも電力の消費量が少なくなっていることが判断出来ます。(地球温暖化の影響か)

「この表に表されている深夜電力は、そのほとんどが、冬季においては、凍結防止用のヒーターによる電力消費量を表しておりますので任意にデータを作ることは不可能な数値であることをお知らせいたします。またこのデータは、東京電力の検針から作成しております」夏季の電力消費は、冷蔵庫2台と、パソコン2台、ファクス電話、が主な消費電力になります。

昼間の電力は、太陽光発電システム(6kW〜10kW)がありますので、太陽がある限りは発電を実施しますので、多少の天候変動により急激に電力消費量が増えることは無く、気温の変化と消費を的確に表していると思います。

現状から確認すると、2007年に入り、気温が全体的に高めに推移しているために、冬季の夜間の電力消費量が減少しているのが、確認できます。

このグラフから地球温暖化現象として、夜間の電力消費量の変化が最も現れると思われるのは、4月、11月、12月で、この3ヶ月の消費電力量を観測することにより、地球温暖化の変化を捉えることができることを表しています。

詳細な、気象データは関係機関が持ち合わせているので、そちらの研究担当者が発表すると思われますので、専門的な部分はおまかせするとして、このように一般家庭の電力消費からも、地球温暖化の影響を確認できる状況になっていることを知っていただきたいのです。

 東京では、このようなことは起こりえません。

東京は、ヒートアイランド現象により、周りの地域よりも常に2度以上気温が高いために、冬季においては、温暖化の兆しを捉えることは難しく、常に温暖な気候となり、郊外との温度差が広がる傾向にあります。

地球の平均気温が上昇したことに伴い、低気圧の発達も強力なものとなり、低気圧通過時には強風による被害が予測されます。特に、夏期における都心部での熱風現象には注意が必要です。通常の対流層も変化しておりますのでおだやかな日でも突風等には注意が必要です。(高所作業には注意が必要)

参考文献といたしまして
「気象予報士学科試験対策(?)ノート 一般知識編」 としてインターネットで紹介いたしておりますから、ここにアドレスを紹介いたします。

http://homepage1.nifty.com/weather/yoho-note/ippanmenu.html

必要と思われる箇所を参考にしてください。

対流層が高くなり、ヒートアイランド現象も広がりを見せていますが、季節風や、強風が吹いた場合は、ヒートアイランド現象を引き起こしている対流層が吹き流され、郊外と同じような気温に急速にさらされます。

強風が吹くような場合は、体調管理に注意をそそぐことをお進めいたします。
また、熱源近くの気象変化は極端なものとなり、局所的な気象現象を引き起こすことになります。特に、高層ビル群に囲まれている地域においては、強風による影響を受けやすくなりますので、日ごろから風邪の通り道を確認しておき強風時には、近付かないように心がけることが必要になります。「都心において、大規模気象変動の影響を受けるのは、気温の上昇により、起こりえる対流現象で、都市部における風の動きをいち早く捉える対策が必要です」

私どもの地域においては、地球温暖化の影響を見事に利用した作物として、稲作を上げることができます。我が家で初めて、コシヒカリを作付けしたのは昭和50年代でした。地域では、まだどこの農家もコシヒカリの存在を知らずにいましたが、亡き父が何処からか種籾を手に入れ、10a(標高850m)に栽培したのを覚えております。栽培当初は、高冷地のために、気温や水温が低いのでコシヒカリは栽培に適さないと営農指導員から心配されましたが、努力して作り続けました。他の品種と比べると収穫量は3分2程度しか収穫できませんでしたが、食味は大変良く我が家の主食として5年ほど作付けをいたしましたが、管理が難しく、病気の発生に悩まされ、ほどなく「ひとめぼれ」に作付けを変更しました。現在では、この地域においてもコシヒカリの作付けが大多数を占めるまでになってきて、我が家の一番高地にある田圃(標高950m)でも、難無くコシヒカリの栽培ができ、収穫量も予定数量を収穫するまでになってきております。このように、地球温暖化の影響により、当初、平野部でしか作付されなかったコシヒカリが、標高1000m付近まで作付け可能になったことから、ここ、15年で急速に地球温暖化が米作りに影響したことがわかります。

また、本年はここ標高900mにおいて、1月の下旬にはフキノトウが花開き、例年であれば、残雪があるべきところに全く無く、温暖な気候に恵まれましたが、動物界では、餌不足が深刻化で、畑に植えていた作物が見事に一晩で食べ尽くされ多様子を見ると、山林部での食料不足が深刻であることが解ります。

動物界の異常繁殖も御知らせすべきでしょう。近年八ヶ岳南麓において、シカやイノシシ、猿、その他動物の異常繁殖が始まり、農作物に多大な被害を与え始めています。温暖化現象と密接な関係は解りませんが、シカやイノシシ、サル、それにペットの野生化により、鳥獣被害が全国に拡大しています。

地球温暖化は私たちの地域に色々な形で現れており、コシヒカリ作付けの北限が広がったり、私たちの地域よりも標高の低い地域では、高温障害の発生があり、通常の肥料配分だと稲の分蘗が著しく現れ、一株の本数が増え過ぎて、株間を塞ぎ、もやしと同じように成長してしまい、強風にさらされたり、雨にさらされると、稲穂が実ると簡単に倒れてしまい収穫量の減収となり、悪くすると全滅につながります。これらを防ぐには、作付け時期をずらし、成長期の高温時期に対応するようにし、高温障害から防ぐとともに、田植えの時に株間を空け、植え付け本数に注意と、田圃に入れる肥料の選定が問題となります。

長年米作りに携わってきた農家は、経験から学び取り、対応いたしますが、新規に就農する方は、全ての面で注意が必要になりますので、地域の農業経験者のアドバイスを受けることをおすすめいたします。

高温下での稲作栽培には、致命的な問題があり、遺伝子レベルで種子に記憶されているために、食味が長粒種的なパサパサに近付く傾向があり、連作を続けると収穫量は増しますが、食味は落ちてしまい、現在のコシヒカリやササニシキ等がもっている特徴は薄れて行きます。美味しいお米の生産には、温暖化が進行しすぎると、日本の関東平野部以北では、美味しいお米は生産可能ですが、それより南の平野部においては、一部の地域を除いては、米作りに最適と言える気候風土が無くなることになると思われます。

しかし、亜熱帯気候に近くなるので、施設園芸での育農は容易になると思われる。しかし、果物によっては、生産に向かない気温となり、特に我が県では、特産品である果物栽培に大きな影響が表れることが予測できるので、本年の1月に県農政部との会合において対策を取るように要請致しましたが、小規模の調査予算を組んでいるとの回答で、対策に充てる予算はないようです。

農政は現状で温暖化に対応した処置を取っておかないと、山梨の果樹産業は高温障害により数年後には大打撃を受けることになるでしょう。果樹園芸農家の高齢化に伴い、現在の果樹園芸地帯が自然衰退するのが早いか、地球温暖化により高温障害の発生で、栽培に適さなくなり、果樹産業主力の梨や葡萄、桃などは、高冷地栽培か関東以北への農地移動と言うかたちでの栽培になるでしょうか。

これは、冒頭に紹介いたしました論文と同じことなので、説明は省きます。

 私は、空の色が変化していることをお知らせいたしましたが、否定なされる方もおられると思われますので、フルター層の存在を証明するには、と考えた場合、植物の生育状況と太陽光発電の発電量の変化からお知らせ致しましたが、新しいフィルター層が形成されているのであれば、自然環境の観測体制が整っている両極に現れるオーロラの色の変化が予想されます。オーロラ研究は各国の研究機関で研究されており、公平な研究発表がなされると思いますので、オーロラの発光現象時に色の変化がどのように起こっているか研究結果発表があると思いますので、現在注意して、論文発表を見ているところです。

また、私たちが普段見ることのできる月の色合いにも注意が必要で、月や星の輝きにも大気層の変化は現れますし、身近なところでは私たちが幼い頃から記憶している朝焼けや夕焼けの色を覚えておられると思います。

(皆さんの記憶にある色合いと比べてみてください)

ここ八ヶ岳南麓では、気になる天候が続いております。毎日が晴れていて、太陽光発電には最適で良いのですが、降水量が少なく乾燥しており、もうじき、田圃の準備に取りかかることになりますが、水田に引く水の確保ができるかが問題になります。地球温暖化がもたらすもう一つの現象が水不足なのです。

日本の農業は、季節に合わせた農作業が決まっておりましたが、季節に合わせた水が確保できるかが、これからの農業の大きな問題となってまいります。

また、温暖化の影響として、必要以外の時に水が出ることにもなりますので、水の管理と、河川管理が重要な農業の課題となってきますので、農業をする場合に、これらの問題点を克服でき、消費者と生産者が直接対話できる農業を実施したところが地球温暖化に対応できるのではないかと思われます。また、地球温暖化の影響を受ける農業への理解と、地球温暖化に対して消費者自身の理解と協力が必要になります。規格品だけを求める消費者から、農業生産物を無駄なく利用する食の連鎖環境を整え、農家が規格品しか出荷できないような消費行動を考える時期に来ています。全てを無駄なく利用する農産物や農業製品のリサイクルシステムが必要です。地球温暖化により起こりうる大規模気象変動に対して、急速に対応することができないのが、植生なのです。

地球が誕生して、水ができ、海ができ、というように、順番で地球環境が生物の活動に適した環境に整えられ、微生物から動物へと進化してまいりましたが、地球環境の歴史から見た場合、人類の誕生は、ほん一瞬でしかないのに、その人類が、ほんの一瞬で、地球環境を破壊しようとしているのです。

地球誕生からの歴史を一週間に例えたとしたならば、私たち人類が登場したのは、最後の日にちの24時間のうち、ラスト7分にも登場できない人類の歴史が、地球環境を破壊して良いのでしょうか。

人類が地球環境を破壊しているのは明白なのです。

人類自らが、大規模気象変動を誘発し、地球温暖化を推し進めているのですから、人類自らが、努力すれば地球環境の悪化を防ぐことは夢ではないと思います。

 自宅近くに、園芸品種ではありますが、琵琶の木が昨年の冬と本年の冬を無事に、歳を越し葉を広げております。昭和50年代に東京都心近郊でやっと越冬していた琵琶が、現在では、ここ八ケ岳南麓の標高850m付近で越冬し葉を広げており、後、数年もすれば琵琶の実がつくかもしれません。
このように、果樹においては、的確に温暖化によると思われる生育分布の変化が見られる現象があり、大規模に広範囲で気象変動が起こっていることがわかるのです。

昭和40年代にはゴールデンウィーク過ぎに山桜が咲いていたのに今では、ゴールデンウィーク前に咲き始める八ヶ岳南麓です。

今回、紹介致しましたのは、大規模気象変動のごく一部分の私ども「農業」に関係する部分の紹介となりましたが、多くの方が環境問題を考える時に、少しでも参考になればと考えて、大規模気象変動2007P2を書き上げました。

多くの方が、この文章に興味をいだき、最後まで御付合いいただけたことに感謝致します。

2007.03.28
            浅川太陽光発電所 所長 浅川 初男
               農業従事者       浅川 初男

▲上に

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